ばたらの恩師…『トモヤス先生』 | 元教師・ayanamigagaの航海日誌ヽ(`Д´)ノ

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学校批判・文科省批判・その他徒然に。

トモヤス先生という方がいる。


小学校の5、6年のクラスの担任をやってくれた先生だ。今でこそ恩師である。

なぜならば、オレが今の学校相手に起こしている戦いについても…

「最低限の礼儀は通しておくべきだよ」と、諭され…オレは言われたとおりにし、

事実、その言葉が間違っていなかったことを知ったからだ。お世辞抜きで

オレは言った。



『トモヤス先生が担任でよかったですよ…。自分は、今でこそそう思います。』

「そう言われると、本当に…心から教師冥利に尽きるよ…。」トモヤス先生は

控えめに、電話の向こうでそう答えた。



オレは、先生にとって扱いづらい生徒の一人だったに違いない。

「無口・キレる・いじめられている・机の整頓ができない・運動もできない」

先生なりに何とかしようとしたのだろうが、トモヤス先生もまだまだ経験が

浅かった上に、当時のオレは「ひねくれていた」から、互いに解り合うことなど

できるはずもなかったのだ。心に傷の十字架を背負ったまま…8年の

歳月が経った……。



運動ができないというコンプレックスは、ふと出会った体育の先生と、先生が

受け持つ「ラグビー」の授業で、体を鍛え上げて…傷は少しだが癒えた。




しかし夏休み前のある晩、過去の心の傷にさいなまれたオレは、

6畳1間のアパートで、酒を飲んでも眠りに就くことができず…恨みに近い

感情が心を塗りつぶしていったのだ。それは必然的にトモヤス先生へと

向けられた。……『会おう、会って話をしよう』。数日後実家に帰ったオレは、

電話帳を広げ、電話をかけたのだ。




一軒の小料理屋で、オレはトモヤス先生と10数年ぶりに再会した。

久しぶりだなぁ…何年ぶりだろうなと、通り一遍の挨拶を交わしご馳走になる。

心には「刃」握ったままだから…今更ながら「非礼極まりない」とは思うが。




ふと、用足しに席を立ち…戻ると、トモヤス先生はやや物憂げに

グラスにビールを注いでいる。オレが座るなり、先生はこう切り出してきた。



「キミは、あの時が懐かしかったからと云ってオレのところに来るタイプの

生徒じゃないことはわかっているよ。何か言いたいことがあったんだろう?

遠慮なく言っていいよ」と。




ならば、とオレは、過去に受けた傷にさいなまれて眠れなかった夜の話、

あのとき、もっと違う対応を先生がしてくれたなら、十字架のような傷を背負うことは

なかったのではないかと…もちろん、今となっては手遅れだが、「オレのような

生徒を、もう増やしてほしくない」とも言ったのだ。




トモヤス先生は、あの頃はほかの先生と競り合うことに、躍起になっていたと

語り始め…その上でオレに、一生残る傷をつけたのなら心から詫びるよと。

もう、十分だった。わだかまりを解くには……。




先生とオレは、新しいビールの栓を抜き、『固めの杯』とした。

それ以来、トモヤス先生はオレの恩師だ。酒はあれ以来飲んでいないが、

ちょくちょく電話をかけたり、オレが手詰まりになったときに

支えとなる言葉を頂いたりしている。




今の戦いに、目処がついたらトモヤス先生と一緒に、いつもの寿司屋に

行こうと思う。もちろんオレのおごりでだ。世話になっている礼をしなくちゃな。

その日まで……頑張ろう。