昨夜、オレはZの自動車税を代わりに納めてもらうため
ジュンジの家に行き、4万円を手渡した。
「こんなに渡して大丈夫なの!」
半ばビックリした様子のジュンジだったが、彼に
車の名義を貸してもらっているだけでも世話になっていると
いうのに、これ以上の面倒は見てもらうワケにはいかない。
オレ自身も少なからず、痛みを知るべきだとつくづく思い、
ジュンジの好きな煙草と、フルーツジュースを持って行って…
改めて日ごろのお礼を言ったというのが昨日の話だ。
さて、アメブロに記事を書くか…と、部屋に帰り、ポケットに
入っているはずのケータイを取り出そうとすると……
・・・また・・・ない・・・!
ジュンジの家の写真を撮ろうとしたときに取り出した覚えがあるから
100%ジュンジの家に違いない。ところが時間はもう夜の11:30過ぎ
大手宅配業者に勤務してるジュンジを、たかがオレのケータイごときで
叩き起すのは酷ってもんだ。
さて、今日の話だ。
オレは昨日と同じく、昼近くに起き出して古いケータイから、
ジュンジの番号を見つけ出し、電話をかけた。「もしもーし♪」と
陽気にジュンジが出る。しかし、次の言葉を聞いてオレのほうが
ビックリ!してしまった。
「オレ、ぎっくり腰やっちゃってさぁ…家にいるよ。いつでもおいで♪」
朝から、腰に来ている感触はあったらしい…話はやがて、
晩飯の話に及んだ。こういうときこそ「美味し!」なモノを喰うべきだ。
『ジュンジ、晩飯喰いに行くか?寿司食い放題で、払いは¥2000でいいぞ。』
「美味い店なら行くよ。5:30にオレの家に来てくれ。」
唯一かわいそうだったのが…「ジュンジの彼女」だった。その子は、
毎晩独り者のジュンジの家に弁当を届けていたのだ。
「今日はいらないよ♪」「何で!どうしてなのよ…」「言~わない♪」
まぁこんな調子だった。ジュンジは、女の扱いに関しては天下一品なのだ。
それでいて、男にも人情が厚い。モテナイはずがない。
さて、オレ達の住んでいる街からおよそ50キロ離れたところに件の
寿司屋はある。もちろん回る寿司なのだが、職人が握っているのと
魚の商社が直営しているので、比較的安価で…新鮮かつ、美味いのだ。
おいしいモノのためならば…50キロだろうが、行列だろうが……
オレには何の苦もない。Zは二つの市を突っ切り、寿司屋のある
大きな街に来た。
「ようここまで、寿司喰いに来るねぇ…」あきれ顔のジュンジに、
『美味さが、人を動かすのさ♪』…自信を持って言うと、好きなものを
好きなだけ喰え、トロ3連発でも構わんぞと勧めた。
なにせ、今日はケガの見舞いなのだからな。
回っていたシャコの皿を取り、何気にジュンジが口に運ぶ。
返ってきた言葉は…「うまい」だ。
オレは、特大イカ・ヒラメ・赤貝をジュンジの分も頼み、テーブルに
据えてあった「モンゴルの塩」で食べてみい、と言った。
オレは醤油を一滴も使っていない。塩と、持参したレモン汁だけで
寿司を堪能している。
何故に塩なのか?これは魚の鮮度が関係する。
新鮮な魚は、醤油をはじいてしまう。つまり、旨みを引き出せないのだ。
そこで、適切な調味料は「塩」であり、モンゴルの塩こそ
店主が選んだ絶妙な逸品なのである。
案の定、3皿とも塩で喰って
ジュンジから返ってきた言葉はやはり…「うまい」だ。
イカは、新鮮なものは「塩にレモン」をかけてやると、旨みが
更に引き立つ。白身魚の、ヒラメ・鯛・スズキなどもレモンは合う。
逆に魚自体の味が強いもの…マグロ・カツオ・ウニなんかは
塩のみで食べたほうが美味しだ。
こうして、二人で数十皿を喰い、存分にジュンジの見舞いと
させてもらった。帰りは、Zをジュンジが操縦したのだが…運転を
生業としているジュンジには、ミッションのZの操縦など余裕であった。
「走るクルマ乗ると、スピード出したくなるねぇ…♪」
腰の痛みも忘れてるくらい…笑顔でジュンジが言う。
久しぶりにナビシートに座ったオレも、ジュンジの操縦の上手さには
舌を巻いてしまった。
ミニストップでオレ達は、黒烏龍茶を買って飲み、操縦を代わった。
Zは、オレ達の街に向かって咆哮をあげ、走る。
一人で喰うメシは…正直味気ない。
今日は、心底美味いメシが喰えて……本当によかった♪