老兵 | 今流行りの蒸発記念

今流行りの蒸発記念

百回記念のため生前葬を取り行った後、
ウクライナかベルギーへの蒸発を計画中なり。

夏期講習で弁当を忘れたために、
高校生独りで繁華街までブーラブラ。

昼休みが2時間もあるから
遅刻する心配もない。


ラーメンでも食べるかと考えていると、
叙々苑が目に入る。

「高校生が」「独りで」焼き肉はありなのだろうか?
どっちかだけでも議論の対象なのだから、
二つ同時は無しだろうな。

肩身が狭くてコソコソ食べなくてはならないのは困る。


ラーメン屋も何軒か見つけたけど
全部、熱血だの気合いだのとエネルギッシュ。

美味しそうだけど僕の場合は、
胃腸が熱血を消化出来ないかもしれない。


消化出来そうな物は蕎麦しかなかった。

「高校生が」「独りで」蕎麦屋もコソコソものだが
敢えて疲れきったサラリーマンを装い店に入ると店員が
「お煙草はお吸いになりますか?」

席に座ってふと右を視れば
本物の疲れきったサラリーマンが並んで座っている。
しかも、熟練の老兵ばかり
偽者の新兵は肩身が狭い。

思い思いの疲れきった表情を視れば
「ああ、家に帰らないでこのまま蒸発したい・・・」
「いったい誰に、俺の後を継がせりゃいいんだ?」
「このままでは倒産するとなんで社長は判らないんだ?」
「俺の蕎麦はまだか?」
と思っている感じしかしない。


出された冷茶をゴクゴクハァー・・・
と溜め息をして飲む。
ハァーの前にプが付いていた気もする。

蕎麦湯も飲んだ後にハァー・・・
歯に挟まった葱を楊枝で取ってハァー・・・

なんだか、高校生のやることではない気がする。
勿論、席を立てば立ち眩みもおきた。


ちなみに、鴨せいろを頼んだけど、
正直、鴨の調理方法がダメだった。
大体、鴨は汁と一緒に煮込むのではなく、
予め焼いてから入れるのが旨いと云うのに、
手を抜いてあがる。


蕎麦は旨いし皆が静かにしているから良いと云うのに
途中からやって来た女三人はピーチク、パーチク。

「女三人寄れば姦しい」とはこの事か






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