物心着いた頃から中学生までずっと
私は写真を撮られる事がキライな子だった
撮ってもらった写真を見返しても
くったくのない笑顔の写真は数える程しかない
ファインダー越しに
『はい、笑って~』と言われると余計に笑えず
ぎこちない写真の方が多い
頑丈に鍵をかけたはずの心の奥を
全て見透かされているようで
投影されそうで
怖かったからだ
たまにしか会わない
親戚の集まりでも
子供らしくないとか
しっかりし過ぎてるなどと
言われるような子だった
友人宅に遊びに行ったときも同じ
我が家ではごく当たり前のことをやってるだけだが
何か行動する度に
偉いわ~きっと
親御さんの躾がしっかりされてるのね~
と言われるも
私はちっとも嬉しくなかった
むしろ、胸が苦しくなる言葉だった
子供らしくない子供だと
自覚していた
そして
子供らしくできたらどんなにいいだろう
どれだけ歯を食いしばって生きているか
私の生活の何がわかっていて
そんな呑気なことを言えるのだろうと
心の中で思ってはいたが
弁解する気は起きなかった
誰も人当たりのいい明るい母と
無口で生真面目そうな父からは
想像もできないだろうことも
信じてもらえないだろうことも
承知していたから
仮に信頼できる大人がいて
話せたとしても
かわいそうにと
同情されたくはなかった
可哀想な家の子
残念な家の子
と思われたくなかった
その思いと同じくらい
当時は
両親のことを
悪く言われたくも
思われたくもなかったのだろう
自分でも矛盾してる
おかしな心理状態だったと思うが
私と同じ経験をした子供たちには
割と多いことかもしれない
と、歳を重ねた今は思う
ニュースで最悪な結末を見たり
私の周りの
とても想像も出来ないような若い子が
ひょんなことから
サラッと子供時代の
経験談を明るく話す姿を
目にする度にとても心が痛む
子どもが子供らしく
作り笑いではなく
くったくのない笑顔を
向けてくれることも
笑顔でいられることも
決して
当たり前ではない
その笑顔を生み出している
家族だったり、環境だったり
友人だったり
愛に包まれ安心できる場所
幸せだと感じられているからこその笑顔
だからこそ
貴重で絶やしてはいけない
生きていればいくらだって
辛いことはあるし
別れもある
その時その貴重な笑顔が消えてしまうかもしれないが
誰かが意図的に仕組んだことではないなら
防ぎようがなく止めることもできない
成長する上で仕方がないとも言えるだろう
だけれども
子供より遥かに経験も知識もある
大人が衝動的だろうと
意図的だろうと
子供の笑顔を
奪っていくのは
防ぎようがあることで
仕方がないでは済まされないこと
と、私は自分の経験上
どうしても
強く思ってしまう
旦那の不倫相手の〇〇〇〇さんの
お子様の笑顔も
同じこと
それこそが私の心の核
あの女の子がこの先
事実を知る時がもしもあるならば
自分の母親をどう思うか
それはわからない
だが、そのきっかけを作った
張本人である旦那に対しては
恨みや憎しみは
沸き起こる気がしてならない
殺したいほどの
罪人と思われても当然だと思っている
そして、旦那の不倫を
止められなかった
見抜けなかった妻の私にも
怒りや憎しみを
持たれて当然だと
受け止めている
心の底から
誠心誠意
ごめんなさいと
謝りたい
そんなことで
済まされないことは
わかっていても
時間が戻され
不倫を止められるのであれば
どんなにいいか
わからない
それが叶うなら
なんだってする
しかし
現実の私にできることといえば
ひたすら
謝ることしかできない
本当に
本当に
ごめんなさい
貴女のあの笑顔が
消えるようなこと
願うはずがなかった
貴女のことを
傷つけたくなかった
心に傷を残すようなことを
したくなかった
それだけは
誓って
本当なの
それなのに
傷つけている現実
本当に本当に
ごめんなさい