精神的には誰も待ってくれてはいないと
わかっている家に
最短ルートで帰る気になれず
わざと会社からは15分ほどの距離がある
迂回路の駅に向かって歩いた



会社を出るときに親友Sが
少しでも気が紛れればと
一緒に寄り道するか?
Sの家に泊まりに来るか?
声をかけてくれたけれど断った



仮面が剥がれないように戦った1日
とにかく1秒でも早く
ひとりになりたかった
無表情の自分に早く戻りたかった



大好きな親友、大切な親友と
距離を置くほど
心に余裕がなかったから



自分でも自分がわからない
生きていていいのか
生きる意味があるのかさえ
わからない



生きていていいよと
言ってくれたとしても
誰の声も届かない



殻に閉じこもった自分は
サイテーな自分と
わかっているけれど
どうやっても
頭と心を切り替える事ができなかった



これまで
どんなにイヤなことがあっても
揉め事があっても
トラブルが起きても
どうにかこうにか気持ちを切り替え
頭を切り替え
乗り越えてこれたのに



夫が不倫をしていた
不倫ができる夫だった




ズドンとのしかかる
その現実は
私の思考と心と時間を止める


なぜなんだろう……

家族に傷つけられたのは
今回が初めてではないのに


血の繋がった家族に
傷つけられた傷の痛みは
深く深く残っているけれど


旦那の不倫は
血は繋がっていない家族の裏切りなのに
比じゃなかった


私の心の声は


どうしてあなたまで……
私を傷つけるの?


どうして?


あなたも私がキライなの?
憎たらしいの?


私は生まれてきてはいけなかった
なんで弟ではなく
私が生きているのだろう


弟が生きて
私が生まれてこなければ
全てのことは上手く回っていたのかな



……そう叫んでいた




弟のことは
旦那からしてみれば
何の関係も責任もなく
そんなことまで自分のせいにされたら
たまったもんじゃないよと思うだろう


だが、私の心の声は
年月をかなり遡って
私を責め立てる


心の声を拾うのであれば
そこも掘り下げなければ
いけないのだろうか


関係性はあるのだろうか


私が家族や結婚に
執着してることに
因果関係はあるのだろうか


向き合うにはあまりにも
キツすぎる



旦那の不貞の事実で
既にドン底をさまよっているのに
これ以上自ら落ちる勇気も覚悟も
もてなかった



それならば、まだ
旦那と向き合った方が
楽であり、マシな気がした