下を向いたまま話しを聞いているが
旦那の仕草や醸し出す雰囲気から
かなり銷魂しているのはわかっていた
これ以上話せば旦那は
自暴自棄になるかもしれないと
前夜同様、感じてはいたが
考えが前夜と変わった私は
それならそれで構わないと思い
旦那の人間性を観察する為にも
話しを続けた
「会社の顔として、従業員を指揮統率する者として
立派な発言をしたり、偉そうな事を言っておきながら
裏では不倫、それも従業員に手を出すなど
自分自身に嫌気がさしませんか？
恥ずかしくないのですか？
どんな顔して、みんなと接していたのですか？
私が部下ならそんなしょうもない上司の発言など
クソ喰らえだし、一刻も早く上司の座から
引きずり下ろすでしょう
アナタの事を慕い、尊敬し、信頼して
ついてきてくれた部下や
真剣に支えてくれた関係者に対して
顔向けできない事を自ら進んでやって
自分自身が積み上げた努力も功績も
自らふいにする様な事
私には到底できません。
アナタは色々な人も裏切ってますが
自分自身も裏切っているのがわからない人。
そんなの蔑み以外、何もありません。
仕事をするという事は
大なり小なり、ストレスも不満もあるでしょう
だからといって
その気持ちを共有し理解してくれる人と
不倫をするのですか？
んなバカな
まともな人は
人に顔向けできる
まともな方法で
ストレス解消します
アナタが従業員と不倫する為に
他の人が時間も労力も
差し出してるワケじゃないんですよ」
旦那は青白い顔をして
落とした肩の深さが増していた
「ごめんなさい……
気持ち悪くなって……
トイレに行かせてください……」
そう言うと、走ってトイレに行った
（弱いな……）
その時の私が真っ先に思った感情だった
次に
（話しを聞くのがイヤになって逃げたのかも
）
）とも思った
旦那の事を全く信用できなくなった私は
そーっとトイレに近付き
聞き耳を立て暫くじっとしていた
……
腹痛と吐き気に
旦那が苦しんでるのは
間違いなかった
だが、私は
言わなければよかったとも
大丈夫だろうかとも
思わなかった
（自業自得）
ただ、それだけしか感じなかった……