整理できてきたとはいえ、なぜそう思うのか？
理路整然と説明できる程、まだ整ってはおらず
取っ散らかっている状態に変わりはなかった。
だから、その時の私は、親友Sに自分の心情を
明かす事はしなかった。
それに加え
自分の事のように証拠が出なかった事を
喜んでくれているSを
このタイミングではまだ
悲しませたくない
ガッカリさせたくない
という思いも間違いなくあった……
親友S「Masaki、最後にもう1つ
確認しておきたい事あるんだけど……
アノ女の事はどう決着つけるか？考えてみた？」
「うん……
離婚の場合だけね……心は決まってる
離婚を決断する場合は相手に慰謝料だけは請求する。
金額は取れても相場を遥かに下回り
微々たるものだろうって事はわかってる。
私には子供もいないし、部下に手を出したのも
誘ったのも旦那だからね。
それなのになぜ？って思うかもしれないけど
相手と直接会うことも、相手からの謝罪も
私は望まないから
最後に受け取れる唯一のモノとしては
慰謝料だけ。
だから、そこはツテを頼って
弁護士を立てて請求する。
微々たる金額を
相手が、ごねることなく
即日一括で払うのなら
もう、それで相手の事は踏ん切りつけれる」
「金額うんぬんじゃないし、Masakiの権利なんだから
それは当然だし、勿論請求するべきなんだけど
気になるのは……
仮にMasakiが離婚の決断をしたとして
アノ女は平然と今の旦那と暮らしつつ
懲りもせずRuiに
アプローチしてきてもいいの？
もしくは、アノ女が離婚してRuiと
再婚したいって言ったら？
謝られたって許しは勿論できない事だけど
アノ女から謝罪の1つも
誓約書も貰わなくていいの？」
「その点はどれも平気だよ。
離婚したら、2人がどうしようと
どーでもいいとしか思えないしね
もし、どこかで2人連れに遭遇しても
無表情、無感情で通り過ぎるだろうね
挨拶交わしたい相手でもないし
涙も出ないと思う。
自分でも時々、怖いって思う程
どーでもいいって思った瞬間から
変わり身早くて冷めた所がある……
そのあからさまな変わり様に
周りからもドン引きされた事もある位……
私と旦那が婚姻関係にある内は、絶対に許せないけど
無関係な間柄になればどうでもいい
2人が不倫関係を続けるとしても再婚しても
好きにしてちょうだいとしか思わないし
関心もなくなる。
それに、不倫がバレたとか、慰謝料請求された位で
すぐには反省や改心なんてしないって
わかってるから
軽々しく謝罪なんて絶対にして欲しくない。
とはいえ，
無関係な相手の娘さんの心を私自らの手で
傷つけることだけは断じて避けたいとは思ってる。
だから、私が慰謝料請求するにあたって
内容証明とかで万が一にも
娘さんやご主人に
バレる事がないようツテにも
そこだけは配慮してもらって慎重に進める。
そういう理由で
裁判沙汰にもしたくないと思ってるから
ごねずに即日一括
この1点だけは相手も承諾して欲しい。」
「 なるほどね。
Masakiの考えと理由がわかったから
納得はできたけど
私がMasakiだったらどうしただろうかって考えると
どうしてもアノ女のことを
娘さんにバレても自業自得じゃん？
って思ってしまう。
Masakiの方が母親みたいに子供の心を考えてるけど
我が子なのに、そんな事も
考えもしない母親だから不倫したんでしょ？って」
「どんな言い訳をしても娘さんの立場からしてみれば
結果的にはそういうことになるよね
コレは私が離婚した場合を考えた
結末ではあるけど
これまで私が歩んだ人生や価値観から
今、置かれた環境下で等身大の自分が判断した事。
女の子の事も、我が子がいないからこそだし
私が育った環境も大いに影響してると思うの
少しでも状況や環境が今の私と違っていたら
きっと私の考えも判断も変わる
例えばもし、我が子がいたら
発覚時、旦那を数発殴る位じゃ済まない気がする
病院送りにしてるかもしれない……
相手に対しても、向こうの家族も俄然巻き込んで
話し合いのために
即行で電話しただろうと思う。
我が子優先でしか考えないし
我が子が不幸にならないように
ありとあらゆる手段に出るだろうね 」
「確かにそうだよね……
全ては今のMasakiが判断してる事
さっきMasakiは
話してくれたけど
今よくわかる。
今のMasakiが判断してること
それって凄いこととホントに思う
誰にでも出来ることではない
私にはできないと思う
そんな事さえ気づかないだろうから
アノ女に対面できるなら私は言ってやりたい
全てを失って生きてくのもイヤになるほど地獄に
落としてやるって思う妻だっている
こんな事がある前から
苦労も努力も重ねてきたMasakiの配慮があるからこそ
娘さんからの信頼だけは失わずにすんでるの
忘れんなよってね」
「ありがとう、Sがそう思ってくれただけで
十分だよ、十分すぎるくらい」
だって、本当に心根が優しいのは
いつだってSの方だから……