今年の初めに掲げた行動指針の一つに、「迷ったら伝える」というものがある。
これは文字通り、相手に何かを伝えようと思ったら、遠慮せずしっかりと伝えていこうということだ。
僕は、店長という仕事柄、お店のスタッフや部下に対して指示を出したり、アドバイスをしなければいけない場面が多くある。
今では少しずつ「伝えること」ができるようになってきたと感じるが、以前は全くできなかった自分がいた。
「お前は優しいけど、言うべきことは言わないと駄目だぞ。」
上司からこうアドバイスをされても、なかなか伝えられない自分と葛藤していた。
思ったことを伝えられない理由は、「恐怖心」だった。
「これを言って嫌われたらどうしよう。」
そう思うと、どうしても伝えられない。
「ちゃんと伝えなさい!」
そう上司に怒られたときも、
「でも、みんな頑張っているんだから…」
なんて言い訳をしてしまう。
こんな経験ってあなたにもあるんじゃないだろうか。
こんな葛藤と向き合いながらも経験を重ね、少しずつ成長することができたように思う。
特に大きな気付きを与えてくれたのは「別れ」の瞬間だ。
自分の元で働いてくれるスタッフ、たまたま配属された部下、そんな人たちともずっと一緒にいることはできない。
会社の都合で異動するようなこともあれば、自らの意思で去っていく者もいる。
そんなときに後悔するのは、自分の考えや想いを伝えられなかったことだ。
「目の前の人に自分が何ができるのか」と考えた時、
上司としての自分は、考え方や想いを伝えていくことが何よりも重要だと思う。
もちろん相手の喜ぶことをすることもできるが、それは一時の感情に過ぎない。
仕事を通じて成長することこそが、相手にとって一番大切なことである。
少なくとも僕はそう思っている。
自分の上司がそうであるように、自分も導いていけるようになりたい。
「自分ではなく相手のために」心からそう思えた時に、
「伝えること」への恐怖はなくなっていった。
かなりかっこつけて書いてみたが、
これを実践していくにあたり大切にしている考え方が二つあるので、こちらを紹介したい。
一つ目は、「人は経験でしか語れない」ということだ。
僕が何かを伝えようと思ったとき、それは自分の経験を通して学んだこと、成長できたと感じることをシェアしているに過ぎない。しかしそれが確実に相手のためになるかどうかは、自分にもわからないということである。
そして二つ目は、「それをどう受け取るかどうかは相手次第」ということである。
僕は自分が経験した中で、自分が相手にとってベストだと思う考え方を伝えている。
でもそれは強制することはないし、一つの考え方として伝えることを大事にしている。
少し言い訳のように聞こえるかもしれないが、
いい意味で相手は相手、自分は自分なのだ。
極論、「自分の為にではなく相手のために伝える」というと聞こえが良いが、
実際には、自分が良いと信じているものを、自分の為にシェアしているのだと思う。
そう考えたら「伝えること」は難しいことではなくなった。
なかなか複雑な言い回しになってきてしまったが、
世の中はそういう風にできていて、またそうであってよいと思う。