昨日ちょっと用事があって、
そのついでに本屋に寄ったのだが、
そこで伊藤三巳華の
「視えるんです。」の5巻を見つけた。

 

「視えるんです。」は
以前から読んでいたが、
以前の版は絶版になっているようで、
新装版が出ていることは知っていた。

 

どうしようか、
新装版の1巻目から、
改めて買おうかと迷っていたのだが、
昨日5巻目を見つけた時、
躊躇なく買ってしまった。

 

ちょっとこの即断は
自分でも意外だったのだが、
帰宅して内容を読んで、
ある意味納得した。

 

参考までに「視えるんです。」の
概要をご紹介すると、
この作品は作者の伊藤三巳華さんが、
自分自身とお知り合いの方々の
不思議な体験をマンガ化している、
オカルトドキュメンタリー(?)なのだが、
伊藤三巳華さんの能力は、
かなりのものだと僕は思っている。

 

そしてこの5巻には、
伊藤三巳華さんが、
ホラーマンガ界の大御所、
伊藤潤二さんと一緒に
太宰治の墓と、玉川上水の、
太宰が入水した現場を訪れ、
太宰の霊(?)と交信して、
入水自殺の真相を推理する、
というような内容の回があるのだ。

 

これだったのか、
新装版の5巻だけをいきなり買うなんて、
そんな暴挙に出たのには、
太宰治が関係していたのか。

 

僕は大学時代に
太宰治を研究していたのだが、
太宰治の死については
太宰が薬物中毒だったとか、
一緒に亡くなった山崎富栄による
他殺説だとか、
色々な説があって、
未だに真相は究明されていないのだが、
「人間失格」を出版社に納品した直後の
6月13日に行方不明になり、
太宰の誕生日の
6月19日に遺体が発見されるという、
センセーショナルな結末によって、
今でも桜桃忌(6月19日)には、
参拝者が絶えないという状態になっている。

 

晩年の太宰治は
正妻である石原美智子との間に
3人の子供をもうけていたが、
「斜陽」のモデルであった、
太田静子との間にも子供が生まれ、
そして最後は愛人関係であった、
山崎富栄と心中するという、
社会モラル的にはハチャメチャな
生涯を送ったわけだが、
その死については
僕も納得がいってなかった。

 

しかし太宰が死んだということは
事実であるし、その真相なんて、
どうでもいいし知りたいとも思っていなかった。

 

ただ「人間失格」は
太宰の遺書のようなものととらえるには、
あまりにも希望に満ちた内容なので、
それを肯定するわけにはいかなかった。

 

今回伊藤三巳華さんの
「ヘッポコ霊視」によって、
ある程度解明された真相には
なんとなく納得がいったのである。

 

ちなみに伊藤三巳華さんと伊藤潤二さんを
太宰の墓の前で会わせようと企画したのは、
中川桂子さん、なんと、
中川翔子さんのお母さんである。

娘の仕上がり具合を見ても
この人はタダモノではない。