新しく好きなマンガ家ができるということは、

とてもうれしいことなのだが、

ちょっとだけ困ることがある。

 

それは、その人のマンガをなるべくたくさん読みたくなって、

あちこちのブックオフを巡ったりすることになるので、

時間も労力も、そして当然お金もかかって、

そのうえ本棚にその人の本がドンドン増え、

本棚を増設したり、

他の本を処分したりしなくてはいけなくなるからだ。

 

それでもその人のマンガを読むことによって得られる喜びや、

新しい視点やアイディアや、

なにより、その人の人間性の一部に触れるということが、

何物にも替え難い貴重な体験であるので・・・・

 

と、なにもここまで大仰に言うこともないのかもしれないが、

ついに伊藤理佐というマンガ家との出会いを果たしてしまって、

その喜びの余韻がかなり長く、もう一カ月近くも続いているので、

なんとかこの感動を言葉にできないだろうかと、

色々試みてはみるものの、いつもこの体たらくなのである。

 

もちろん伊藤理佐という名前は以前から知っていて、

書店の棚でも「えびちゅ」とか

「微熱なバナナ」とかの背表紙を

しょっちゅう見ていたのだが、

なんかエロっぽいマンガとか、

ほのぼのした動物ものとかを描く人なのかな、

くらいに思っていた。

 

ところが最近、吉田戦車の育児マンガで、

伊藤理佐と吉田戦車が夫婦であることを知り、

吉田戦車がリスペクトしているマンガ家なら、

避けては通れないじゃないかと、

しかし、何から読めばいいのだろうかと、

正直戸惑ってしまい、多少憂鬱でもあった。

 

それは、冒頭にも書いたような様々な苦難が、

自分の身にふりかかってくる恐れがあるからで、

事実すでに15冊くらいの伊藤理佐の本が本棚を浸食しており、

棚に入りきらずに横置きにして積まれており、

それでも、もっともっと、

伊藤理佐のマンガを読みたくてたまらないのである。

 

ものすごく贅沢な悩み、ものすごい幸せ。

こんな風に、まだ出会っていないマンガ家、

まだ自分の知らない作品世界が、

あとどのくらいあるのだろうか、

きっと無限に近くあるに違いない。

すごいワクワクする。でもちょっとだけ憂鬱。