「ハチミツとクローバー」で鮮烈なデビューをかざり、

作品は、アニメ化、ドラマ化、映画化と、大ヒット。

さて次作は、と期待された羽海野チカの「次作」は、

期待をはるかに上回る出来の「3月のライオン」であった。

 

棋士という特殊な職業は、

その特殊さから、題材としては時々取り上げられるが、

「月下の棋士」「ハチワンダイバー」など、

ちょっと色物的に扱われることも多い。

 

羽海野チカはこの題材を使って、

少年の孤独を描いている。

自分ひとりだけの力で、

世界に立ち向かおうとする少年。

 

しかし、ただ孤独だけを描いているのではなく、

その孤独の中で、少年が気付かないうちに、

拒絶する必要がないものまで

拒絶してしまっていることを教え、

その孤独から抜け出す道を指し示そうとしている。

 

きっと羽海野チカも孤独なのだろう。

孤独だからこそ、

これだけの作品を書いて来れたのだろう。

 

そういう意味では、

孤独は人間を成長させるし、

感性を砥ぎ澄ましてもくれる。

 

もちろんそこが到達点ではなく、

孤独を糧として、孤独に育まれた心が、

さらに次の段階に進むためには、

何が必要なのかを、

教えてくれようとしているマンガである。