十日前のエントリー 自信を喪失してしまう の続き。
- 錯覚の科学/クリストファー・チャブリス
- ¥1,650
- Amazon.co.jp
この本は読みどころが多く非常にお徳で、エントリーの種も
幾つも拾えて美味しい。
今晩、本から引いてきたのは
「物の良し悪しを見分ける眼はそんなに人によってばらつかない」。
別の本だったか何かで、美人と不美人を見分ける傾向は人によって
それ程ばらつかない、というのは読んだ覚えがある。
千人の大学生の顔をコンピュータで取り込み、その平均を抽出して
合成した顔を、多くの人が「美人だ」と判断したという研究もある。
で、「ユーモアの出来、不出来の評価は人によりけりでばらつくか」
という切り口で、この本の中で挙げた研究は行っている。
結論を言えば、余りばらつかないって事なんだけど。
まずは「プロの」(それで飯を食っている)コメディアンに
例示したユーモアの出来、不出来を評価する作業をしてもらった。
その評価結果は概ね一致している。
そして、プロが上出来と評価したユーモアは、実際、大勢の客に
受けたユーモアであるのだそうだ。
プロは何が客に受けるか知っているワケ。
(じゃなきゃ飯が食えないんだから当たり前だけど)
価値の高いもの、評価の高いもの程、人々の間で
意見は一致するって事だ。
次に、何十人か何百人かの大学生に、同じ作業をしてもらった。
「ユーモア感覚のある」学生の評価結果は、プロの評価結果と
概ね一致している。
そして、「ユーモア感覚のない」学生は「一致していない」。
ユーモア感覚がない人間は、「面白くないジョークを笑う(!)」。
更に驚くのは、ユーモア感覚のない人間の自己評価に曰く
「自分は平均よりユーモア感覚を持っている」んだそうだ。
「縁なき衆生は度しがたし」って言葉を裏打ちする研究結果、でした!