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昔書いたやつをちょっとずつ直して、アップさせていただいています。

街の章 (18)

近づく音に耳を立てながら、非常口の隣に立っていた。

「カン…カン… …」
しかし、音は菊斗とあと一歩のところで、ピタッと止まった。

足音じゃなかったのか…?
菊斗は非常口のほうに身を出し、階段のほうを確認した。

「ドン!」
非常口に身を出した途端、菊斗の胸にデカい足が飛んできた。

ぐあっ!
菊斗は蹴りの衝撃でロビーの真ん中にまで吹き飛ばされた。激痛でそのまま倒れて痛い気分だったが、歯を食いしばり、かろうじて体制を整った。

しばらくすると、非常口から蹴りの持ち主が現れた。
図体のかなり大きい、男だった。最初は、その大きさから以前あった「彼ら」ではないかと思うくらいだった。
男は40代中盤くらいで、茶色の髪とヒゲをしていた。背中には、およそ愛桃の慎重に近いくらいの、大剣を背負っていて、結構年季の入っているゴツい服装を着ていた。

「お兄ちゃんー!!」
「ワン! グルルゥ…」
愛桃とジーンが菊斗のそばに駆けつけた。ジーンはすぐに正体不明の男に牙を向けた。

「あれ…? 何だ、機関の連中じゃないのか? まぁ、いいや。どうせ確認は必要…だしな!」
男は菊斗たちを見て、若干戸惑う顔を見せたが、すぐに表情を元通りにし、背中の大剣を取り出して菊斗にかかってきた。

くっ…
戦いの予想はしていたが、あの大剣を木刀で立ち向かえるのか? だが、とりあえずやって見るしかなかった。

*

「はあああっ!」
男は、大剣をを軽々しく振り回した。菊斗はそれをやっとの差でかわすのが限界だった。大剣はそのままロビーの床に打ち込まれ、破片を飛ばした。ロビーには、すでに大剣の跡がいくつもできていた。

「ハッ! よく避けてるな! まぁ、ここまで来ているから、それくらいはやってもらわないと!」
男はまるで菊斗を試しているかのように、楽しそうに剣を振るい続けた。菊斗はどうしようもなく、避け続けるしかなかった。

「ハハッ! いいね、その動き! どれ、もう少し速度を上げてみ…あぁ?」
男の動きが急に止まった。彼は、自分の足元に目をやった。
「グルゥゥゥ…」
ジーンが彼の右足に噛み付き、うなっていた。
「おい、こら! 何をする! 離せ!…」
男は足を軽く振ったが、ジーンはなかなか離れなかった。彼は困った顔にどんどん変わっていた。

しかし、これはチャンスだった。
菊斗は、木刀をぎゅっと握り締めて、男に向かって全速で走り出した。

「離さないか! くっ!」
男はさっきより強く足を左右に振り、ジーンを振り払った。ジーンは軽く飛ばされたが、すぐにまた起き上がり男に向かって吠えていた。

はぁぁぁっ!
男の目の前にまで迫った菊斗は、木刀を突き出した。
それに気づいた男は、素早く姿勢を整え、大剣を振り下ろそうとしたが、その大剣は菊斗の頭上にてビッタリ止まってしまった。
菊斗の木刀が、男の顎下をすぐにでも突き上げられるように、待機していたからだ。

二人は、睨み合ったまま止まっていた。