明日も早いのに、早く寝ないと。

また、今日も不思議な階層の人と会った。

今日の人は上流階級の女性。

都内の繁華街やらに商業ビルをいくつか所有し、ハワイのホテルの共同経営までやってるとか。

一時はゴルフ場のオーナーだったこともあるとか。

テレビによく出るセレブともお友達。

ただ、最近は経営が少し傾いてきて、焦ってお金を稼ごうと人脈を使ったビジネスをしてみたところ騙されたりなんやらして、更に金銭的に厳しいことになってるとか言ってた。

俺にとっては、どうでもいいっちゃ、どうでもいいのだが、誰も、よう担当せんから、とりあえず俺に振られてしまったので、会って話を聞きましょか?ってことになった。

親父の代のバブルの頃は大変な羽振りで、それでもなんとかバブル崩壊のさなかを、資産の切り売りをしてなんとか切り抜けて破綻を免れたものの、円高デフレの2000年代に入って、にっちもさっちも行かなくなって、金策に走ってた親父が脳溢血で倒れてしまった。

いざ親父が倒れたら、それまで番頭さんだった人らが裏切って去っていき、その時、初めて世知辛い世の中の実情を肌で知ったとかなんとか言ってた。

そんでも亀井さんの作った法律で、一族がなんとか生き残ってきたものの、このままじゃジリ貧なので挽回しようと新ビジネスに手を付けてみたところ、騙されて大やけどを負ってしまった。

昔からセレブ達とのお付き合いがあるので、そこを狙われてしまったらしい。

ま、人脈を使った口利きビジネスで、「話だけはお友達のセレブに通しておきましたから、あとの細かい詰めは、下々の人達でやってください」つって、いつもの癖で任せたところが、金を持ち逃げされ借金だけが膨らんだというお粗末な顛末。

で、いくら盗られたんですか?つったら、1千万とか言う。
それを悔しそうに言う。

なんだ、たったそれポッチかよ?あれ、セレブじゃなかったんでしたっけ?とかいう感想を隠して、それは大変でしたねとか相槌を打つ。

取り戻そうとして、結局、弁護士費用なんかで、更にボッタくられてることを理解していない。

苦笑しつつ聞きながら、呆れてしまった。

でも、最後まで話にお付き合いした。

セレブの人達は、ほんと仲間内のアバウトな話だけで、「それいいわね」とか話が盛り上がって、お金を平気で右から左に動かすだけで濡れ手に粟で儲かると思ってることに、まず驚いた。

そんなんだったら、振り込め詐欺に引っかかるお婆ちゃんと全く変わらない。

だけど、自分たちの階級の接触できる人間の中に、人を騙すような、まさかそんな低俗な人間が紛れ込んでるなんてことを容易に信じない。

芸能人みたいな下層階級の間で有名な人間と違って、私たちは上流階級の間では有名なので、その私たちを騙すみたいな人間なんかが、お友達から紹介されるワケないでしょ!みたいなノリで呆れてしまった。

待ってくださいよ、でも、騙されたと、ご自身が既に認めてるじゃないですか?って指摘しても話が噛み合わない。

普通、俺らは、商談をまとめるまでの掛かった必要経費の支払いとか事前に契約書を交わしたり、必要経費を請求したりするけど、それってないんですか?って尋ねたら、そういうことはしないのだそうで。

商談がまとまるまで経費とか自分の持ち出しでやるんですか?って聞いたら、不思議そうな顔して、そうだって。

契約書なんて交わさずにいて、いざ商談がまとまった時に、それまで掛かった経費も含めて、ぽーんと、配当を分配するのが自分達の常識なんだとか。

いや、それじゃ、いきなり配当金の分配が何千万とか何億とか入って納税する時に、いっぱい税金払わなちゃいけなくなるから大変じゃないですか?って聞いたら、お友達同士なので税金を取られるようなことにはならないようにしてくれるはずなんで、そんなことを心配したことがないのだそうだ。

えっ?それって、収入をきちんと税務申告してないってことを、おっしゃってるんですよね?

俺の疑問に大して、向こうが「何かおかしいの?」って顔をしてるので、もうええわ!って思って、あちゃー、この人たちの世界ではそれが当然のことだと思ってんだーと、何も言う気がなくなってしまった。

多分、足が付かないようにキャッシュで配当還元があるんだろう。

こういう人らの口座とかは、ロットの大きい資金の出し入れが常にあるので、どれが無申告の所得かどうか税務署も分かりにくいのだろうし、下手に疑って、それがもし間違いだとなった時のリスクが高くて、税務署もなかなか手が出しにくい手合いなんだろう。
お友達同士のお金のやり取りだから、お友達が税務署に疑われても、平気で「あれは、お友達にお貸ししたお金です」とか口裏合わせられてしまって、それだったら所得ではないので、納税してなくても構いませんと税務署も撤退せざるを得ない。

私たちにとっては、数千万円なんてのは、はした金ですので、すぐにお返ししていただかなくても別に構わないと、お貸ししたのです。

とか口裏合わされて言われてしまうと、税務署としてはどうしようもない。

そんで、すぐに返済できなくても、その分は人脈を紹介することで、また次のおいしいお金儲けの案件が入ってくる。

「ある外国の大使館に、私のお友達が居てね。お友達をご紹介してほしいって言ってるのよ」とか言えば、それで有耶無耶になる世界。

別に俺はあなたの使用人じゃないので・・・

って時々、言ってやらないと、あの人らは誰でも彼でも自分の使用人かのように錯覚してるのか知らんけど、「もしもし、なんか俺のことを勘違いしてませんか!?」って感じる時があったりする。