別に某アイドルグループの選挙の話じゃない。
経済学者のケインズの有名な言葉を俺なりに。
昔、学生時代にサミュエルソンの「経済学」の分厚い教科書を古本屋で買って、ほとんど自己満状態で読まずに放置してたw
当時、古本ですら8千円くらいしたのに。。。。
貧乏学生だったので、最初は買えず、3年後にバイトで稼いだ金で買ったが、結局、30ページか40ページだかしか読まなかった。
まず、初心者にも分かり易く書いてるつもりの例え話とかが欧米のカルチャーをベースにしたもんなんで、俺ら極東のモンゴリアンには、いま一つピンと来ない。
ところが、証券会社に入社して、まず、最初に実感として身につまされたのが、サミュエルソンの「経済学」で紹介されてた、マーク・トウェインの言葉。
「10月。株に投資するには最も危険な月の一つだ。それ以外の危険な月として、7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、2月がある。」
全部やん!www
皮肉屋のマーク・トウェインらしい。
ま、リスクとリターンの関係があるんで、リスクのないところに儲けは発生しないというのを逆説的に証明してる格言として活用できるという説明もあることにはある。
他人より、いち早くリスクに飛び込まないと儲からないのは事実だし。
October. This is one of the peculiarly dangerous months to speculate in stocks. The others are July, January, September, April, November, May, March, June, December, August, and February
ただ、こうして見ると、月の並びも意外と、なんか意味があるのかもしんないな。
研究はしてないけど、ブラックマンデーも10月だったし・・・
んで、サミュエルソンの経済学の教科書で俺がよく理解できなかったのが「美人投票」
意外と、分かるようで分からない表現だった。
なかなか腑に落ちないのだ。
Wikipediaの「美人投票」の説明では、
美人投票(びじんとうひょう、英:Keynesian beauty contest)とは、金融市場における用語の一つ。
経済学者のジョン・メイナード・ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』第12章第5節で、金融市場における投資家の行動パターンを表す例え話として示したことから使われるようになった。
ケインズは、玄人筋の行う投資は「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に見立てることができるとし、この場合「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」とした。
これを金融市場に当てはめると、基本的にはファンダメンタルズが反映され適正な値段として反映されるはずだが、実際は必ずしも業績のよい投資対象が高く、そうでない投資対象が安いとは限らず、その時々の投資対象に対する風評や先行きの期待感・失望感、あるいは需給関係などによって動く要素が多い。すなわち、自分以外の多くの人々の人気投票の結果が価格であるという意味である。
美人投票でのナッシュ均衡は、ちょうど美人候補の立候補者数だけ存在し、一人の候補者に全ての票が集まるというものになる。この中には、「美人の対極に位置すると投票者の誰もが考える候補に、票が集中」という極端に常識に合わないものも含まれる。なぜなら、正直な投票者が数人票を動かしても結果は変わらず、票を動かした投票者は「最も投票が多かった人」の的中に失敗するからである。このため、誰も美人の対極への投票を変更することができない。
と、なってる。
長げーな
まさに、経済学とか戦争学とか、今じゃマーケティングで必ず勉強しなきゃいけない「ゲーム理論」のことを言ってる。
「囚人のジレンマ」だとか、ハリネズミ理論の「ヤマアラシのジレンマ」のショーペン・ハウアーがどうだらこうたらっていうのは、なぜか高校の時の倫理の授業で繰り返し先生が言ってて、当時の俺は、「なんか、理解しやすいんだか、しにくいんだか、ようわかんねーけど、このオッサン、何を力説しちゃんてんの?」っていう感じだった。
大学で、ただ出席さえすれば単位が取れるっていう噂で受講しただけのマルクス経済学のバリバリの左翼の教授の論理学の授業で、なぜか、近代経済学に通じるゲーム理論を講義してて、非常に違和感を感じつつも、逆に近経の教授が説明しないような分かり易い事例を使ってたので、マルケイのバリバリの左翼教授のイメージとは違ってた。
なにせ、北アフリカの一夫多妻制の制度を、論理学、経済学と絡めて授業をしてんだもん。
当然のごとく、そんな理論はメジャーじゃないので教科書もなし。
まあ、3流大学だったので、完全に教授個人の趣味で授業やってたんだろうけどもw
ほとんど授業に出席しないような俺だったけど、それが面白くて、なんとか我慢して出席するようにしてた。
そうそう、美人投票の話だったな。
まず、ケインズさんの説明で良く理解できないのは、「自分が思う美人に投票する」んではなくて、「美人投票で一番になる候補者は、誰なのかを当てる」という設定。
まず、そんな設定のクイズは存在しないと思う。
普通は、「誰が一番の美人か?」ってことで投票するもんやろ。
それを、「大勢の人が、一番の美人だと投票するのは誰が多いか?」っていう、普通ではありえない設問。
ただ、実際にキツい証券会社の営業やってみたりしてみると、まさに、「それを当てろ!」っていうのがリアルに分かってしまった。
そんなもん、分かる訳がない!
自分が美人だと思う人を選ぶんじゃなくて、他の大多数が誰を美人だ思うかを選ぶかなんて、相当に悪人じゃないとできない。
そうなると、無力感を感じて、大型株とか、魑魅魍魎が跋扈する個人投資家に人気の仕手株を避けるしかないという結論になった。
要するに、参加者が少ない東証の二部市場とか、大阪市場の銘柄とか、店頭株とか、さらに地方市場の銘柄にシフトするしかなかった。
バブル崩壊後のその当時、お客さんを儲けさせるための最善の策としては、それが俺の結論だった。
で、お客さんを儲けさせるという観点では、結構うまくいった。
でも、言うほど簡単な話ではなかった。
まず、他社からも営業を掛けられてるお客さんを説得するまでには4か月くらいかかった。
お客さんを教育するところから始める訳だし。
「以前、お勧めした銘柄は、その後、こんなに上がりましたよ」っていう実績を作って証明するまでには、そんくらいはかかる。
その投資法でうまくいったのは1年くらいかな。
今じゃ摘発されてしまうんだろうけど、そもそも出来高が少ない銘柄なんで、安値で仕込んでおいて、仕込みの準備が整ったら、約定させる気のない下値支えの注文とか入れといて、高値を買い上がる。
普段、注目を浴びてない銘柄が急騰したとなると、「もしかして、なんか材料があんじゃねえか?」ってなるので、こちらの予想外に上がったりして、逆に「あんとき売らなきゃ、もっと儲かったのに!」って、お客さんに責められたりしたこともあった。
嫌われて本社から飛ばされて、上司からも先輩達からもイジメを受けて、引き継ぎ客ゼロの状態で何か月も放置されるような俺だったから、「ここはなんとか、自分で開拓したお客さんを儲けさせなきゃ、俺の顧客層が広がらないぞ!」と思って当時は一生懸命にやってたけど、それと同時に、「毎回毎回、お客さんを儲けさせる銘柄を発掘するのは容易なことではないぞ・・・」と、異様なプレッシャーを感じたのも事実だった。
今調べたら、直近は東証上だけでも3400銘柄あるということだが、当時ですら2000銘柄以上ある中で、お客さんの資産規模を考慮して手ごろな銘柄を発掘するのは至難の業だった。
基本的には、株価に影響を及ぼしそうな材料があるのかないのかってこともあるし、ファンダメンタルの業績の推移がどうなのかってのも自分としてはチェック項目を設けてたし。
決算発表、業績予想を毎日チェックして、気になった銘柄を四季報で毎日チェックして、その上、下手に支店で四季報とか株価やチャートを端末で見てると、「とっとと、営業に行って来い!」って怒鳴られる状態を掻い潜りつつ銘柄選びの研究しなきゃいけない。
過大なノルマをどうこなすかが営業マンの最大の課題なのに、「僕は銘柄研究に勤しんでます」なんていう言い訳は一切通用しない。
ノルマが達成できなければ、当たり前のように体罰やら、同僚からの冷たい視線にさらされる。
そんな中で、自分なりに最大限、誠実にお客さんのためになるように、時間を見つけて努力して、結果が出たのは営業に出て2年目の93年のこと。
自分が足を棒にして営業回って一軒一軒ピンポン押して開拓したお客さんとか、商店や会社に飛び込みで入ったり、カウンターにふらっと来店した「この人は大して財産なさそうだな」と上司が見切りをつけたお客さんをあてがわれるような状況の中で。
事務の女子職員から聞かされたけど、「来店客の割り当ては、支店長は口では公平に割り当てると言っておきながら、あれ嘘だからね。ゴマすりの社員にはいいお客さんを付けるけど、●●ちゃん(俺のこと)には、うるさそうな客とか、お金なさそうなお客さんしか割り当ててないよ、ほんと、あの支店長には腹が立つ!」って。
実は、昔、トラブルになったお客さんが再び来たケースとかが必ず俺が担当者で、「支店長は順番に割り当ててるだけだと言ってるけど、なんかおかしいな・・・」と感じてたのが証明された瞬間だった。
言っても始まらないので、過去にトラブルになったクレーム常習者のお客さんに対しても、周りが、「そこまでするか?」ってくらい精一杯、誠実に対応した。
そこまでする必要はなかったのかもしれないが、俺のプライドとして、周囲の「そこまでする必要はないんじゃないか?」っていうアドバイスを拒否した。
完璧主義者だからかもしれない。
その完璧主義でも93年までは、どうにかこうにかやれた。
しかし、94年に阪神淡路大震災が起きてから、それが狂った。
あの混乱で、俺が構築した相場観が完全に狂ってしまった。
それまでは、自分が思う美人と、世間が思う美人投票の結果が一致してたのだと思うが、震災が起きてからは、まったく違った様相になった。
投資家の関心は震災銘柄の建設株に移ってしまって、「時代遅れの談合ばっかりやってる建設会社の株に投資するのは理に敵ってない」と思う俺の理屈にズレが生じた。
数か月後には、やっぱり駄目だということが分かった建設株だったけど、実際、長年に渡って日本経済を支えてきた建設株が投資家の安心感もあるせいか、すごく人気で、俺の手の施しようがなかった。
自分で発掘して「この銘柄いいですよ」と言っても、お客さんは関心を持たないし、実際、俺が勧める銘柄が上がらなくなった。
震災が起きる前までは、俺の銘柄が当たりまくって、普段は店頭に来ない俺のお客さんが、毎日店頭に来るようになって、あんだけを俺をいじめてた支店長も、「お前の好きなように営業していいからな。本社から来る投信のノルマも、お前の分は別にできなくたって、俺が本社に言い訳してやるから、好きなようにやれ。お前が言うように、うちの支店は、まず新規開拓をして顧客層を拡大しなきゃダメなんだ」って言ってくれてたのに、急に手の平返しで、連日、説教をくらうことになった。
なんだっけか?あの頃、最初のうちは、「あんまり、力入れてやらなくてもいいぞ」って支店長が言ってたのに、募集期間が半分過ぎた途中から、急にノルマ達成が必達だからな!」って言うようになった投信は。
募集期間を半ば過ぎて、支店長が急に前言を翻したんで、俺は思いっきり反抗して完全無視で、そのファンドを売らなかった。
今で言うETFの前身みたいな野村投信のファンドだったような記憶があるんだが・・・
思い出せん。
かなり野村證券とかは力入れてたらしくて、お客さんのとこ行くと、「野村とか他社が盛んに勧めてくるけど、どう思う?」って聞かれて、「僕はあんまりいい投信とは思ってないです」と正直に答えてたので、それを急にお客さんに勧めるってのは整合性が取れない。
実際、運用成績はボロボロだったし。
クソみたいな運用成績と叩かれた野村の戦略ファンドは2000年の設定なので、それよりかなり前の時代のこと。
戦略ファンドの時もそうだったけど、ファンドマネージャーの固有名詞とか出して運用チームの宣伝をするようなファンドはダメだね。
戦略ファンドの時は、それまでに投資理論の本とか何冊も書いてる田辺何某が運用のチーフになってっることを売り言葉にしてて、その時は俺は営業じゃなかったが、「個人の名前を晒してるということは、そこまで自信があるということか?」って心配になって、「俺はお勧めじゃないけど、すごい運用成績を出したら困るなー」って思ったけど、取り越し苦労に終わってクソ笑った。
で、ファンドの運用ヘッドの田辺が3年くらいで辞めたんだっけか?
ほんと汚ねーよ
かなり長くなったので、この続きは別の機会としよう。
It is not a case of choosing those that, to the best of one's judgment, are really the prettiest, nor even those that average opinion genuinely thinks the prettiest. We have reached the third degree where we devote our intelligences to anticipating what average opinion expects the average opinion to be. And there are some, I believe, who practice the fourth, fifth and higher degrees.
経済学者のケインズの有名な言葉を俺なりに。
昔、学生時代にサミュエルソンの「経済学」の分厚い教科書を古本屋で買って、ほとんど自己満状態で読まずに放置してたw
当時、古本ですら8千円くらいしたのに。。。。
貧乏学生だったので、最初は買えず、3年後にバイトで稼いだ金で買ったが、結局、30ページか40ページだかしか読まなかった。
まず、初心者にも分かり易く書いてるつもりの例え話とかが欧米のカルチャーをベースにしたもんなんで、俺ら極東のモンゴリアンには、いま一つピンと来ない。
ところが、証券会社に入社して、まず、最初に実感として身につまされたのが、サミュエルソンの「経済学」で紹介されてた、マーク・トウェインの言葉。
「10月。株に投資するには最も危険な月の一つだ。それ以外の危険な月として、7月、1月、9月、4月、11月、5月、3月、6月、12月、8月、2月がある。」
全部やん!www
皮肉屋のマーク・トウェインらしい。
ま、リスクとリターンの関係があるんで、リスクのないところに儲けは発生しないというのを逆説的に証明してる格言として活用できるという説明もあることにはある。
他人より、いち早くリスクに飛び込まないと儲からないのは事実だし。
October. This is one of the peculiarly dangerous months to speculate in stocks. The others are July, January, September, April, November, May, March, June, December, August, and February
ただ、こうして見ると、月の並びも意外と、なんか意味があるのかもしんないな。
研究はしてないけど、ブラックマンデーも10月だったし・・・
んで、サミュエルソンの経済学の教科書で俺がよく理解できなかったのが「美人投票」
意外と、分かるようで分からない表現だった。
なかなか腑に落ちないのだ。
Wikipediaの「美人投票」の説明では、
美人投票(びじんとうひょう、英:Keynesian beauty contest)とは、金融市場における用語の一つ。
経済学者のジョン・メイナード・ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』第12章第5節で、金融市場における投資家の行動パターンを表す例え話として示したことから使われるようになった。
ケインズは、玄人筋の行う投資は「100枚の写真の中から最も美人だと思う人に投票してもらい、最も投票が多かった人に投票した人達に賞品を与える新聞投票」に見立てることができるとし、この場合「投票者は自分自身が美人と思う人へ投票するのではなく、平均的に美人と思われる人へ投票するようになる」とした。
これを金融市場に当てはめると、基本的にはファンダメンタルズが反映され適正な値段として反映されるはずだが、実際は必ずしも業績のよい投資対象が高く、そうでない投資対象が安いとは限らず、その時々の投資対象に対する風評や先行きの期待感・失望感、あるいは需給関係などによって動く要素が多い。すなわち、自分以外の多くの人々の人気投票の結果が価格であるという意味である。
美人投票でのナッシュ均衡は、ちょうど美人候補の立候補者数だけ存在し、一人の候補者に全ての票が集まるというものになる。この中には、「美人の対極に位置すると投票者の誰もが考える候補に、票が集中」という極端に常識に合わないものも含まれる。なぜなら、正直な投票者が数人票を動かしても結果は変わらず、票を動かした投票者は「最も投票が多かった人」の的中に失敗するからである。このため、誰も美人の対極への投票を変更することができない。
と、なってる。
長げーな
まさに、経済学とか戦争学とか、今じゃマーケティングで必ず勉強しなきゃいけない「ゲーム理論」のことを言ってる。
「囚人のジレンマ」だとか、ハリネズミ理論の「ヤマアラシのジレンマ」のショーペン・ハウアーがどうだらこうたらっていうのは、なぜか高校の時の倫理の授業で繰り返し先生が言ってて、当時の俺は、「なんか、理解しやすいんだか、しにくいんだか、ようわかんねーけど、このオッサン、何を力説しちゃんてんの?」っていう感じだった。
大学で、ただ出席さえすれば単位が取れるっていう噂で受講しただけのマルクス経済学のバリバリの左翼の教授の論理学の授業で、なぜか、近代経済学に通じるゲーム理論を講義してて、非常に違和感を感じつつも、逆に近経の教授が説明しないような分かり易い事例を使ってたので、マルケイのバリバリの左翼教授のイメージとは違ってた。
なにせ、北アフリカの一夫多妻制の制度を、論理学、経済学と絡めて授業をしてんだもん。
当然のごとく、そんな理論はメジャーじゃないので教科書もなし。
まあ、3流大学だったので、完全に教授個人の趣味で授業やってたんだろうけどもw
ほとんど授業に出席しないような俺だったけど、それが面白くて、なんとか我慢して出席するようにしてた。
そうそう、美人投票の話だったな。
まず、ケインズさんの説明で良く理解できないのは、「自分が思う美人に投票する」んではなくて、「美人投票で一番になる候補者は、誰なのかを当てる」という設定。
まず、そんな設定のクイズは存在しないと思う。
普通は、「誰が一番の美人か?」ってことで投票するもんやろ。
それを、「大勢の人が、一番の美人だと投票するのは誰が多いか?」っていう、普通ではありえない設問。
ただ、実際にキツい証券会社の営業やってみたりしてみると、まさに、「それを当てろ!」っていうのがリアルに分かってしまった。
そんなもん、分かる訳がない!
自分が美人だと思う人を選ぶんじゃなくて、他の大多数が誰を美人だ思うかを選ぶかなんて、相当に悪人じゃないとできない。
そうなると、無力感を感じて、大型株とか、魑魅魍魎が跋扈する個人投資家に人気の仕手株を避けるしかないという結論になった。
要するに、参加者が少ない東証の二部市場とか、大阪市場の銘柄とか、店頭株とか、さらに地方市場の銘柄にシフトするしかなかった。
バブル崩壊後のその当時、お客さんを儲けさせるための最善の策としては、それが俺の結論だった。
で、お客さんを儲けさせるという観点では、結構うまくいった。
でも、言うほど簡単な話ではなかった。
まず、他社からも営業を掛けられてるお客さんを説得するまでには4か月くらいかかった。
お客さんを教育するところから始める訳だし。
「以前、お勧めした銘柄は、その後、こんなに上がりましたよ」っていう実績を作って証明するまでには、そんくらいはかかる。
その投資法でうまくいったのは1年くらいかな。
今じゃ摘発されてしまうんだろうけど、そもそも出来高が少ない銘柄なんで、安値で仕込んでおいて、仕込みの準備が整ったら、約定させる気のない下値支えの注文とか入れといて、高値を買い上がる。
普段、注目を浴びてない銘柄が急騰したとなると、「もしかして、なんか材料があんじゃねえか?」ってなるので、こちらの予想外に上がったりして、逆に「あんとき売らなきゃ、もっと儲かったのに!」って、お客さんに責められたりしたこともあった。
嫌われて本社から飛ばされて、上司からも先輩達からもイジメを受けて、引き継ぎ客ゼロの状態で何か月も放置されるような俺だったから、「ここはなんとか、自分で開拓したお客さんを儲けさせなきゃ、俺の顧客層が広がらないぞ!」と思って当時は一生懸命にやってたけど、それと同時に、「毎回毎回、お客さんを儲けさせる銘柄を発掘するのは容易なことではないぞ・・・」と、異様なプレッシャーを感じたのも事実だった。
今調べたら、直近は東証上だけでも3400銘柄あるということだが、当時ですら2000銘柄以上ある中で、お客さんの資産規模を考慮して手ごろな銘柄を発掘するのは至難の業だった。
基本的には、株価に影響を及ぼしそうな材料があるのかないのかってこともあるし、ファンダメンタルの業績の推移がどうなのかってのも自分としてはチェック項目を設けてたし。
決算発表、業績予想を毎日チェックして、気になった銘柄を四季報で毎日チェックして、その上、下手に支店で四季報とか株価やチャートを端末で見てると、「とっとと、営業に行って来い!」って怒鳴られる状態を掻い潜りつつ銘柄選びの研究しなきゃいけない。
過大なノルマをどうこなすかが営業マンの最大の課題なのに、「僕は銘柄研究に勤しんでます」なんていう言い訳は一切通用しない。
ノルマが達成できなければ、当たり前のように体罰やら、同僚からの冷たい視線にさらされる。
そんな中で、自分なりに最大限、誠実にお客さんのためになるように、時間を見つけて努力して、結果が出たのは営業に出て2年目の93年のこと。
自分が足を棒にして営業回って一軒一軒ピンポン押して開拓したお客さんとか、商店や会社に飛び込みで入ったり、カウンターにふらっと来店した「この人は大して財産なさそうだな」と上司が見切りをつけたお客さんをあてがわれるような状況の中で。
事務の女子職員から聞かされたけど、「来店客の割り当ては、支店長は口では公平に割り当てると言っておきながら、あれ嘘だからね。ゴマすりの社員にはいいお客さんを付けるけど、●●ちゃん(俺のこと)には、うるさそうな客とか、お金なさそうなお客さんしか割り当ててないよ、ほんと、あの支店長には腹が立つ!」って。
実は、昔、トラブルになったお客さんが再び来たケースとかが必ず俺が担当者で、「支店長は順番に割り当ててるだけだと言ってるけど、なんかおかしいな・・・」と感じてたのが証明された瞬間だった。
言っても始まらないので、過去にトラブルになったクレーム常習者のお客さんに対しても、周りが、「そこまでするか?」ってくらい精一杯、誠実に対応した。
そこまでする必要はなかったのかもしれないが、俺のプライドとして、周囲の「そこまでする必要はないんじゃないか?」っていうアドバイスを拒否した。
完璧主義者だからかもしれない。
その完璧主義でも93年までは、どうにかこうにかやれた。
しかし、94年に阪神淡路大震災が起きてから、それが狂った。
あの混乱で、俺が構築した相場観が完全に狂ってしまった。
それまでは、自分が思う美人と、世間が思う美人投票の結果が一致してたのだと思うが、震災が起きてからは、まったく違った様相になった。
投資家の関心は震災銘柄の建設株に移ってしまって、「時代遅れの談合ばっかりやってる建設会社の株に投資するのは理に敵ってない」と思う俺の理屈にズレが生じた。
数か月後には、やっぱり駄目だということが分かった建設株だったけど、実際、長年に渡って日本経済を支えてきた建設株が投資家の安心感もあるせいか、すごく人気で、俺の手の施しようがなかった。
自分で発掘して「この銘柄いいですよ」と言っても、お客さんは関心を持たないし、実際、俺が勧める銘柄が上がらなくなった。
震災が起きる前までは、俺の銘柄が当たりまくって、普段は店頭に来ない俺のお客さんが、毎日店頭に来るようになって、あんだけを俺をいじめてた支店長も、「お前の好きなように営業していいからな。本社から来る投信のノルマも、お前の分は別にできなくたって、俺が本社に言い訳してやるから、好きなようにやれ。お前が言うように、うちの支店は、まず新規開拓をして顧客層を拡大しなきゃダメなんだ」って言ってくれてたのに、急に手の平返しで、連日、説教をくらうことになった。
なんだっけか?あの頃、最初のうちは、「あんまり、力入れてやらなくてもいいぞ」って支店長が言ってたのに、募集期間が半分過ぎた途中から、急にノルマ達成が必達だからな!」って言うようになった投信は。
募集期間を半ば過ぎて、支店長が急に前言を翻したんで、俺は思いっきり反抗して完全無視で、そのファンドを売らなかった。
今で言うETFの前身みたいな野村投信のファンドだったような記憶があるんだが・・・
思い出せん。
かなり野村證券とかは力入れてたらしくて、お客さんのとこ行くと、「野村とか他社が盛んに勧めてくるけど、どう思う?」って聞かれて、「僕はあんまりいい投信とは思ってないです」と正直に答えてたので、それを急にお客さんに勧めるってのは整合性が取れない。
実際、運用成績はボロボロだったし。
クソみたいな運用成績と叩かれた野村の戦略ファンドは2000年の設定なので、それよりかなり前の時代のこと。
戦略ファンドの時もそうだったけど、ファンドマネージャーの固有名詞とか出して運用チームの宣伝をするようなファンドはダメだね。
戦略ファンドの時は、それまでに投資理論の本とか何冊も書いてる田辺何某が運用のチーフになってっることを売り言葉にしてて、その時は俺は営業じゃなかったが、「個人の名前を晒してるということは、そこまで自信があるということか?」って心配になって、「俺はお勧めじゃないけど、すごい運用成績を出したら困るなー」って思ったけど、取り越し苦労に終わってクソ笑った。
で、ファンドの運用ヘッドの田辺が3年くらいで辞めたんだっけか?
ほんと汚ねーよ
かなり長くなったので、この続きは別の機会としよう。
It is not a case of choosing those that, to the best of one's judgment, are really the prettiest, nor even those that average opinion genuinely thinks the prettiest. We have reached the third degree where we devote our intelligences to anticipating what average opinion expects the average opinion to be. And there are some, I believe, who practice the fourth, fifth and higher degrees.