長銀マンか
俺らの頃、学生が就職したいランキングのトップだった。
船上パーティー
バレンタインデーに舞浜のホテルを予約するのが、どうだとか言ってたっけ。
ITバブルの頃にしても、影の主役は、ホリエモン世代ではなかったしな。
あいつら、今どうしてんだろう。
相も変わらず、常にどっかで起きてる、お祭り騒ぎを嗅ぎつけて、ボウフラのように湧いて現れてるのかな。
とりあえず、宴会芸とかは大得意なので、意外と、どこ行っても重宝されてんのかもしれん。
余人の真似できない彼らの特技だからな。
でも、かなり年食ってきたし、宴会芸やんのも、しんどくなってきたろう。
さすがに、それだけじゃ、なかなか通用しない年齢になってきたし。
一介のトレーダーなんかで雇ってもらえる年齢でもないしな。
アリとキリギリスじゃないけど、何も造らず、何も学ばず、で過ごしてきた奴らは、ほんと、どうすんのやろ?
それまで、うまいこと、金を稼いでもいりゃいいが・・・
ヨメも子供も贅沢に慣れきってるんで、今更、節約なんかできねえだろうから、荒稼ぎした金も、大半を食い潰してる可能性が高いだろうし。
ニューヨークやらロンドンに派遣された経験のある元銀行マンや元証券マンに会う機会があったりするが、そんな奴らは、まだ真面目だったから、転身を果たして、今でも辛うじて生き残っている訳で、真面目じゃなかった人間は、彼らのように今の舞台には立ってないだろう。
東北の田舎出身で、日本語で喋るときには方言の訛りがきつくても、英語では訛りがないので、自信持って外人とやり取りしたりしてる姿を見てると、日本じゃ訛りを馬鹿にされるから生きにくくても、外国人相手なら、全然、差別とか関係ないんだなと思ったりする。
新渡戸稲造や野口英世にしても、日本語で喋るときは、訛りがきつかっただろうけど、英語なら馬鹿にされないから、自分の能力を発揮できたのではないかな。
下級武士出身であろうが、貧しい農民出身であろうが、努力が報われて、立身出世が叶った明治時代は、ある意味、現代より、夢のある時代だったのかもしれん。
今は、江戸時代末期みたく、階級社会が硬直し出している。
だから閉塞感とか、不平不満が溜まってる。
マグマはいつしか爆発する。
現時点が、どこまでマグマが溜まった状態なのか知らないが、社会変革が起きそうな気配がないではない。
ただ、過去の歴史が示す通り、変革が、必ずしも人々に幸せをもたらすとは言えないのは事実。
フランス革命然り、ロシア革命然り、文化大革命然り。
反対派の人間を、ことごとくギロチンに掛けたロベスピエールや、毛沢東、スターリン、ヒットラー、ポル・ポトも、そもそもは民衆の味方として現れた救世主のはずだった。
救世主が人を殺さないという保証はない。
過去に救世主と呼ばれた人間は、むしろ、実は、人殺しだったことの方が多いのかもしれない。
2、3歳の頃の、自分の写真を見て、思わず涙が出てきてしまったことがある。
貧しい借家の板床の上で、あどけない顔で昼寝してる写真だった。
このあどけない顔で眠ってる幼児が、後に、どれほど辛酸を舐めたかを思い起こして、涙を禁じ得なかった。
親父は土日もなく働きづめで、疲労のあまり、体に出来物が何度もでき、母親は、家計を助けるために、1個何十銭の弱電会社の部品作りの内職や、洋服のタグ付けの内職をして、俺らを育て、教育を与えてくれた。
俺も子供の頃、母親の内職をずいぶん手伝ったつもりだが、学校に行ってる間はしてないんだから、大した手伝いはしてないんだろう。
家族旅行なんか一度も行ったことがない。
家族で遊園地や動物園に行ったこともない。
どんだけ、昔、自分が貧乏でも、今も、死ぬ思いの責任の重い仕事を押し付けられて、心が折れそうになっても、この親子の絆は忘れちゃいけないと思いながら、骨惜しみをせず、日々、精進してかなければいけないと思うようにしてる。
最後は、損得じゃなく、人としてどうなのかが、問われると思ってる。