「雰囲気・場の空気」を意味する “vibe” と

「景気後退・不況」を意味する “recession” とを合わせた言葉

 

 

「空気後退」 “vibecession” (ヴァイブセッション)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アメリカの労働者たちにとって実質賃金は上がったのか下がったのか」

これが今年の大統領選挙の争点になるというのだが

 

 

ノア・スミスは、クルーグマンを支持する

狂信的なニューケインジアン(新自由主義者)で、元々おかしい。

 

 

とりあえず、彼の言説を見てみよう。

 

 

 

バイデンを批判する保守派も左翼も、リベラルどもは

賃金が上がっていると主張するが、まずいことになっていると主張

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「典型的な労働者にとって2023年のアメリカ経済は好調だけれど

2021年~2022年にはろくでもなかった」という見解、支持

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

就労年齢にある全成人の賃金中央値

ジグザグを繰り返しつつも,2021年~2022年に上昇傾向がくっきりと現れている

 

 

 

この2つのグラフの折り合い

 答え:「雇用率が上昇した」

 

 

2020年に仕事に就いていなかった人たちが 2021年にたくさん雇用され,さらに,2021年に仕事に就いていなかった人たちも2022年にたくさん雇用された

 

 

Bruenig のグラフには,こういう人たちがまったく含まれていない。

その間ずっと雇用されていた人たちだけだから

 

 

Radia のグラフには,2020年や2021年にまったく賃金を

稼いでいなかった人たちが含まれている。

 

 

アメリカの多くの労働者たちは2021年~2022年に賃金が下がってしまった。

2023年にまた賃金が上がりはじめとはいっても,

 

 

あの時期に下がったことには腹を立ててる。

バイデンのもとで雇用率が上昇したことで,

 

 

最悪の状態にあった労働者たちの多くは稼ぎを増やしてる。

雇用率もかなり高かった2019年以降に全体の実質賃金が上がってるということは,

 

 

アメリカ経済が労働者たちに期待どおりの結果をもたらす能力が

安定してよくなってきていることを示している。

 

 

というわけで,経済学ではよくあることだけど,

現実の物語は白黒つかない陰影があってややこしいんだよね。

 

 

 

と締めくくる、典型的な主流派経済学の詭弁

高橋洋一っぽいから、リフレカルトと言ってもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訳者の補足: アメリカでは,2023年に失業率を下げないままインフレ率が下がり,

マクロ経済統計をみるかぎりでは良好な経済状況になっていますし,

 

 

人々の消費行動にもそれが表れています.ところが,アメリカの人々が

感じている景況感の調査では,悲観的に見る傾向が強いままとなっています

 

 

 

 

どうも現状をうまくごまかせず

 “vibecession” (ヴァイブセッション)と表現している。

 

 

「空気後退」という訳語を当てているのだけれど

もっといい訳語があって、単なる「不況」

 

 

 

 

 

 

 

 

ところがこの原文を漁ると、オバマ政権にも潜り込んだ

クリスティーナ・ローマーの論文を引用

 

 

米国の経済成長は、過去2世紀にわたって

著しく安定してきた。

 

 

昔は、もっと長い時間がかかったが

大恐慌以降、景気後退は稀で、短くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分岐点は、大恐慌とルーズベルト政権

銀行規制を強化、金融システムを安定化

 

 

金本位制から脱し、FRBは不況を防ぐため

積極的な金融緩和を行うことができるようになった。

 

 

https://pubs.aeaweb.org/doi/pdfplus/10.1257/jep.13.2.23

 

クリスティーナ・ローマーは、1999年

上記の論文で、金融政策がより重要な要素であると主張

 

 

2度の穏やかな景気後退ではなく

4回の急激な景気後退が発生したはず

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ローマーの分析は、99年までだが2008年に始まった大不況は

金融政策のおかげで、大恐慌よりだいぶまし

 

 

 

 

今年は、大統領選挙だから、また米国の一般庶民を

けむに巻こうと必死なのは、いつものこと

 

 

 

 

JILAF|2012年 アメリカの労働事情(人物招聘事業)

 

 

 

図1(Figure1). 生産性と賃金のずれ. Source: EPI analysis of unpublished Total Economy Productivity data from Bureau of Labor Statistics (BLS) Labor Productivity and Costs program, wage data from the BLS Current Employment Statistics, BLS Employment Cost Trends, BLS Consumer Price Index, and Bureau of Economic Analysis National Income and Product Accounts

 

 

 

 

 

日本では、労働生産性が低いから、労働者の賃金が低い。

労働生産性が上昇すれば、賃金上昇は起きる、これが定番

 

 

確かに、1970年代中頃まではそうだったが

新自由主義の時代が到来して、米国の一般労働者の立場は激変した。

 

 

いわゆる労働生産性とやらが上昇しても

労働者の賃金上昇は起きず、利益はどこかの誰かへ流れてしまう。

 

 

 

 

図2(Figure2). 1947年第1四半期から、2016年の第4四半期までの非農業セクターの生産に対する労働分配率の推移. Source: US Bureau of Labor Statistics.

 

 

 

労働分配率は、60年間で

8%近く下落

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこかの誰かのために、乞食やってるのが、ノア・スミス

米国で起きている階級闘争において、もうこの程度では誤魔化せないだろう。

 

 

米国の経済学者や経済評論家のほとんどの意見は

下流階級の一般庶民の怒りに触れるだけである。

 

 

おまけにウクライナを使って、ロシアと戦争を行い

コスト・プッシュ・インフレという悪性インフレの引き金を引いた。

 

 

イスラエルも戦争を始めたことで

この悪性インフレは、まだまだ止まらない。

 

 

米国の一般庶民の生活は、さらに悪化する。

一般労働者が受けとるはずのお金は、どこかの誰かが持っていったが

 

 

そのどこかの誰かは、政治をその金で買っている連中

バイデンを当選させたいようだが、その奇妙な論理では説得は困難

 

 

 

もし再選させることができても

もっと激しい不満をため込むだけになる。

 

 

一般庶民とそろそろ妥協することが

米国を破滅的な混乱から救う、唯一の方法だろう。