「人間の理性はある種の認識において特殊な運命を担っている。

すなわち、理性が退けることもできず、

 

 

かといって答えることもできないような

問いに煩(わずら)わされるという運命である」

イマヌエル・カント   『純粋理性批判』

 

 

[石川文康]のカント入門 (ちくま新書)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

政府は、いくらでも借金できるのか?

 

 

ひどいインフレにならなければ、主権通貨を持つ国は

いくらでも借金ができる、これがMMTの中心的な主張

 

 

この財政的な予算制約がないとする

主張は、正しくない。

 

 

理由は、繊細で複雑

負債(債務証書)が貨幣として流通するには、ある緊張が内在

 

 

負債が価値を持つのは、いずれ返済されるからだが

返済完了すれば、その債務証書は貨幣でなくなる。

 

 

流通できないので、負債であるところの貨幣には

アンチノミーがある。

 

 

いずれは返済されなくてはならないが

決して返済されてはならない

 

 

矛盾しているのに、負債が貨幣として機能するとき

この両方の条件が満たされている。

 

 

 

これに対し、大澤真幸は以下のように答えてみせる。

続けてみよう。

 

 

いずれ返済されなければ、負債は

ポジティブな価値へと転換されない。

 

 

だが、その「いずれ」は永遠にやって来ないことを

われわれは、皆、知っている。

 

 

われわれは、決済日がいつかやってくるかのように

想定し、行動している。

 

 

行動において、何を想定しているかは

何を信じているか、を示す。

 

 

知っていることと信じていることとの間には

ときにギャップが生ずる

 

 

知っているのに、信じていないということがある。

その負債は永遠に返済されないことを知っているが、信じていない。

 

 

この知と信の間のねじれがあるため、先のアンチノミーが成立

よって負債が流通し、貨幣として機能する。

 

 

 

 

ひとまずおいて、アンチノミーという言葉を軽々しく使っているので

アンチノミーの簡単な説明からいこう。

 

 

正しい命題が二つあり、それらが互いに矛盾している状態

これをアンチノミーという

 

 

この場合、カントを持ち出すまでもない

まず大澤真幸の場合、アンチノミーが成立していない。

 

 

正しい命題が二つないといけないのだが

決して返済されてはならない、この命題がいきなり間違っている。

 

 

経済3主体は、政府、企業、家計部門に分かれるが

企業や家計部門に、これは当てはまらない。

 

 

続けてみよう

 

 

いずれ返済されないといけないが

それが、永遠にやって来ないことを、われわれは皆、「知っている」のだという

 

 

そのようなことが、人間に可能だろうか

ここで、大澤真幸は主観と客観がキレイに一致する、と述べているに等しい。

 

 

続ける

 

 

永遠にやって来ないことを知っているにもかかわらず

やってくるかのように想定し、行動している

 

 

行動においては、想定より

何を信じているか、を示す

 

 

知と信の間には、ときにギャップがあり

知っているのに、信じていないことがある

 

 

負債は永遠に返済されないことを知っているが

信じてはない、このねじれゆえに、上記のアンチノミーが成立

 

 

 

いわゆる謎言話法の一種

信じているが知らない、であれば皆すぐに分かる

 

 

これを反転させ、思考を混乱させている。

知らないけれども信じていることもあれば

 

 

知っていて(かのように思っていて)信じていることもある。

知っているのに信じていない、これは誰かを騙す時に行われる

 

 

それも大澤真幸は、この「知っている」という人間の認識の根幹

つまり主観と客観をキレイに一致させて使用しているのである。

 

 

主ー客の一致が不可能であることを知りつつ

「知っている」という言葉を使用、謎言話法を用いて困惑させる。

 

 

実にあざといというか、薄汚いやり口

もし不可能性を知らなかったとすれば、論外としか言いようがない。

 

 

とりあえず主観ー客観がキレイに一致することなどあり得ないので

大澤真幸がたてたアンチノミーは、決して成立することはない。

 

 

このように誤った誘導を行い

緊縮財政、彼らの言うところの健全財政を説く。

 

 

 

サクッとやっつけようと思っていたのに

時間がかかりそう、ちまちまやっていくか。

 

 

それにしても、大澤真幸ってこんなにレベル低かったっけ

80近いから劣化したのか

 

 

大澤真幸なんて読んだの、ずいぶん前だかんな

読み返そうかと思っていたけど、必要ないな。