「たとえ外国人には奇異に見えようとも、

生きている都市には固有の伝統が存在する。

 

それを無視して都市を切り売りすることはできない。

(中略)これがわれわれの街なのだ。

 

(中略)これがわれわれの伝統であり、われわれの街なのだ。

われわれは長い間共産主義者の独裁のもとで生きてきたが、

 

実業家の独裁のもとで暮らすようになっても

生活はいっこうに良くならない。

 

彼らは自分たちがいる国のことなど

まったく気にしていないのだ」

グレゴリー・ゴーリン

 

 

 

「真理を広めなければならない。経済学の法則は工学の法則と同じである。

ある一連の法則があらゆるところに当てはまるのだ」

ローレンス・サマーズ

 

 

 

 

クーデター後、ロシアは野放しの独裁政権下に置かれた。

議会は解散され、憲法裁判所は一時的に閉鎖、憲法も停止された。

 

 

戦車が巡回、外出禁止令発令、マスコミは広範囲にわたって検閲を受けたが、

市民的な自由は、間もなく回復した。

 

 

 

ミルトン・フリードマンを信奉するハーバードを中心とした連中は、

民主主義から解放され、手当たり次第に法律を作成した。

 

 

 

ジェフリー・サックス

ショック療法は、いまだにまったく行われていない。

 

 

「ちぐはぐで気まぐれ的にしか実施されていない」

「今こそ事を起こすチャンス」

 

 

Arthur Spiegelman ,"Western Experts Call for Russian Shock Therapy ,"

Reuters  ,October6,1993.

 

 

 

ニューズウィーク

「ここのところ、エリツィンの自由経済チームの動きが活発になっている。

ロシア大統領が議会を解散させた翌日

市場改革者たちに、法律の作成を始めよと指示が下されたのだ」

 

 

「嬉々として政府と密接に協力する西側の経済学者」のコメントを引用

この経済学者は、ロシアにとって民主主義が自由市場実現計画に障害とし

 

 

「議会が機能していない今こそ、改革の好機です。

(中略)ここの経済学者たちはかなり落ち込んでいた。

それが今では、昼も夜もなく働いていますよ」

 

 

ウォールストリート・ジャーナル

「人生でこんなに楽しかったことはない」

チャールズ・ブリッツァー(世銀のロシア担当チーム、チーフエコノミスト)

 

 

Dorinda Elliott and Betsy Mckay ,"Yeltsin's Free-Market Offensive ,"

Newsweek ,October 18,1993

 

Adi Ignatius and Claudia Rosett ,"Yeltsin Now Faces Divided Nation ,"

Asian Wall Steet Journal ,October5,1993

 

 

 

 

エリツィンの新自由主義革命者たちは

もっとも異論の多い予算の大幅削減

 

 

パンなど基本食品の価格統制廃止

さらなる民営化を急速的推進などの法案を強引に可決

 

 

即座に国民の生活の窮乏化を招き、

暴動を抑えるため警察国家化を推進した。

 

 

IMFのスタンレー・フィッシャー筆頭副専務理事

「あらゆる領域で可能な限り早急に事を進める」

 

 

Stanley Fischer ,"Russia and the Soviet Union Then and Now ,"

in The Transition in Eastern Europe ,ed.

https://www.nber.org/system/files/chapters/c6021/c6021.pdf

世界銀行の経済レビュー

 

 

 

 

Olivier Jean Blanchard , Kenneth A .Froot and Jeffrey D.Sachs ,

Country Studies , vol.1(Chicago :University of Chicago Press:1994),237.

Olivier Jean Blanchard , Kenneth A .Froot and Jeffrey D.Sachs ,  Country Studies , vol.1(Chicago :University of Chicago Press:1994),237の画像

Olivier Jean Blanchard , Kenneth A .Froot and Jeffrey D.Sachs ,  Country Studies , vol.1(Chicago :University of Chicago Press:1994),237の画像

Olivier Jean Blanchard , Kenneth A .Froot and Jeffrey D.Sachs ,  Country Studies , vol.1(Chicago :University of Chicago Press:1994),237の画像

http://www.econweb.umd.edu/~murrell/articles/The%20transition%20according%20to%20Cambridge,%20Mass..pdf

 

 

 

ローレンス・サマーズ(当時、クリントン政権の財務長官)

「民営化、安定化、自由化の三つの『促進』をすべて、

できるだけ早く行うべきだ」

 

 

Lawrence H.Summers ,"Comment, in The Transition in Eastern Europe,

Country Studies,vol.1, 253.

 

 

 

変化のスピードがあまりにも速すぎて、国民はついていけなかった。

多くの労働者は、自分の働く工場や炭鉱が売却されたことも知らなかった。

どのような形で、誰に売られたのかなど知るべくもなかった。

 

 

 

ショック・セラピーで利益を得たのは、ロシアとイスラエルの二重国籍者

一握りの投資信託のファンドマネージャー、ハーバード大学の連中だけで、

 

 

彼らは新たに民営化したロシア企業に投資をして

目もくらむような利益を手にしていた。

 

 

 

オリガルヒ(新興財閥)は、エリツィンの新自由主義革命者たちと手を組んで

価値ある国家資産をほぼすべて略奪

一カ月に20億ドルのペースで膨大な利益を海外に移していった。

 

 

ショック・セラピー以前には、ロシアには百万長者すら存在していなかったが、

2003年には17人の億万長者が、「フォーブス」の長者リスト入りした。

 

 

Jeffrey Tayler ,"Russia Is Finished ," Atlantic Monthly , May 2001 ;

"The World's Billionaires , According to Forbes Magazine ,Listed by Country ,"

Associated Press , February 27 , 2003.

 
 

 

 

 

 

理由の一つは、外国の多国籍企業が国家資産を

直接買収することを認めず、まずロシア人に買収させ

 

 

そのオリガルヒが所有する新たに民営化された企業の株を

外国の投資家に公開したところにある。

 

 

ウォールストリート・ジャーナル

「たった三年間で2000%の利益が得られる投資をお探しだろうか?

その望みをかなえるのは世界でひとつの株式市場しかない。

 

(中略)

それはロシアだ」

 

 

E.S.Browing ,"Bond Investors Gamble on Russian Stocks ,"

Wall Atreet Journal , March 24,1995.

 

 

 

 

続く

 

世界を不幸にしたグローバリズムの正体

 

 

リチャード・クー 解説より抜粋

 

「早く不良債権を処理して、腐った企業を淘汰し、解雇すべきものは解雇しろ」

 

という市場原理主義はによるショック療法の弊害は、

残念ながらいまの日本にもぴったりあてはまる。

 

 

日本の「小泉改革」はこれとそっくり同じ政策なのである。

(略)同じことがこの国でもいま起きているのではないかと、

恐ろしい感じにとらわれるのである。

 

 

腐った企業を淘汰して労働力を新しい分野に移動させよ

ということがいま日本でよく言われている。

 

 

(略)ところがいまの日本は完全雇用とはほど遠い。

(略)370万人が失業していて、ホームレスの数がこれだけ多くなっているときに

 

 

「とにかく不良債権処理だ。企業をどんどん潰せ」

というのは本当に恐ろしいことなのである。

 

 

(略)竹中経済財政担当大臣は解雇されてもITなどより

生産性の高い仕事が生まれるという理由で500万人の雇用が

創出されるなどと言っているが、

 

 

スティグリッツ教授は

「それほど瞬時に雇用が創出されると信じているエコノミストは

ほとんどいない」とばっさりそれを斬っている。

 

 

雇用創出の必要条件が整う前に雇用破壊につながる

政策をしたら経済はもたない。

 

 

新しい産業がまだ出てきてないのにどんどん古い産業を潰していけば、

回復どころか傷口をどんどん拡大してしまうだけである。

 

 

 

 

 

 

(P324~P326 より抜粋・要約・脚色)

 

 

新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る/マイケル・リンド/施光恒/寺下滝郎

 

 

視点は、マイケル・リンド『新しい階級闘争』から。