「己を知らざることや、

知らぬことを知っているように空想して、

知っていると思い込むことは、狂気にもっとも近い」

クセノフォーン『ソークラテースの思い出』

 

 

 

楽しく読むだけでアタマがキレッキレになる 奇跡の経済教室【大論争編】

 

(P172~P175より、引用・抜粋)

 

 

100年ほど前に、スイスの心理学者

ヘルマン・ロールシャッハは以下のことを発表した。

 

厳選した10種類のインクの染み(インクプロット)

これを見て、何を連想するかで、深層心理が分かるという。

 

 

画像

 

 

島倉原さんのツイート

 

このグラフに対し、「GDPや税収の伸びに合わせて財政支出が伸びているだけ」という意見を時折見かけますが、拙著『MMTとは何か』でも明らかにしたように、財政支出は中央銀行が都度通貨発行することで賄われており、税収は支出の後について来るものです。

 

 

島倉さんのグラフから、

ロールシャッハ・テストのようなことをやってみよう。

 

 

 

成田くんの発言を逐一追っていく。

 

 

① これで政府支出を増やした国は経済成長が高まったって

お話があったじゃないですか、

 

なんで政府支出が経済成長を動かす・・断言できるんですか。

単純に経済成長していない国は、うん、お金も入ってこないので

 

政府支出を増やしようがない、

ただそれだけの・可能性もありますよね。

 

でもそれで政府支出をしたら経済成長しますっていう

断言がまったく分からないですから

 

 

なんでそう断言できるんですか

 

(略)

 

か、韓国はー、それは韓国人はサムスンを作った、BTSを作った

だから稼げるようになった

 

稼げるようになった国は、

みんな税金を納めることができる

 

だから政府支出を増やせるようになった

それだけかもしれないじゃないですか

 

 

(略)

 

そ、そうです、そうです

 

 

政府支出を増やしたからGDPを

ふや、ふや、増えたっていう

 

因果関係を断言できる根拠が

何もないじゃないですか

 

 

(略)

 

 

そ、そ、それはそうですよ

自由に通貨発行できる政府が支出をしたら

 

経済成長が高まるって断言できる理由は

なにもないじゃないですか

 

 

(略)

 

そ、それが理由で勝ったかもしれない   

だけど全然、別の理由によって経済成長が作り出されていて

 

経済成長できた国は、増やせているだけ

かもしれないじゃないですか

 

だから、おっしゃっているのはAかもしれないBかもしれない

だからAだって言ってんのとおんなじなんですよ

 

 

(略)

 

② ・・いやそれは2つが連動している、

ただそれだけじゃないですか

 

それ以上でもそれ以下でもないですよ

 

 

で、もしかしたら政府支出をちゃんと増やしたから

経済成長したっていうあなたのシナリオ通りかもしれないですよ

 

でもそうじゃないかもしれないじゃないですか

 

そんな中、お金を刷ればぁ~、

おか、おか、お金をすれば経済成長するって

断言するって無責任すぎませんか

 

 

月に100万円を配って、ハイパーインフレ起きたら

どうするんですか

 

(可哀想だから、ボクの考えるハイパーインフレは割愛)

 

(略)

 

 

それでね、それだと典型的な経済評論家の

ただの感想じゃないですか、それ、

 

こうかもしれないって、ただそれだけで~、

100個あり得るシナリオのうち~1個を抽出して

 

それが起きるって断言してるって

だけじゃないですか、それ

 

 

それは世界恐慌が起きますって断言し続けている

よく分からない経済評論家の人たちとまったく同じですよ

 

 

(略)

 

 

でも、それは・・・じゃあ、

僕は代わりの仮説を提示しますよ

 

日本人はサボってしまった

韓国人は、頑張っていた

 

だから、韓国人は経済成長できて

日本人は経済成長できなかった

 

ただそれだけかもしれないじゃないですか

 

 

(略)

 

ほんとに、だ、だ、大丈夫ですか

 

(略)

 

ん、うん、よく分からないですね

 

(略)

 

うん、まあいろんな可能性があって、

いろんな原因が組み合わさっているんじゃないかと

勝手に予想してます

 

 

もしかしたら、まあ、まず一つは高齢化の問題は、ありますよね

ね、高齢化して、まあ、みんな働く労働生産性とか

 

効率みたいなものも落ちているかもしれない。

働ける絶対量も減ってきている

 

で、最近だと人口がどんどん減っている減り始めている

で、まあまあ人口が減るぐらいのことが起き始めたら

 

経済成長も止まりそうだよねっていうような話もあるって

思うんですよね、

 

 

で、それ以外に、もしかしたら、まあ

中国とかアメリカが作り出せたような超巨大な新しい産業を

 

作り出すことに失敗してしまった

で、それはもしかしたら超、少数の途轍もない起業家を

 

輩出する仕組みが、たまたまここ数十年、日本が作れなかったとか

それっぽい人たちが出てきても、特捜検察とか出てきて

 

 

逮捕しちゃうみたいな~ことによって~

芽が摘まれたのかもしれないしれないですよね

 

で、そういういろんな要因があると思うんですよ

多分、そういういろいろな要因が組み合わさって

 

とても複雑なことが起きていると思うんですよ

んで、そういう複雑なことが起きている時に

 

 

何の根拠も論理もなしに、何かが特定の原因だ、

で、その原因さえ摘めば、問題が解決しますって

 

断言するのは、

ただの情弱ビジネス以上でも以下でもないじゃないですか

 

 

んで、そういう人たちが、テレビとか

ネットとかに蔓延っているということを

 

ボクは、心の底から軽蔑しているということです

 

 

(略)

 

③ いや、まったく分からないんですがー、あー

でもさっきの話に戻ると、

 

なんで、政府支出しないのかっていうと、

まぁやっぱ政府支出、ふ、ふ、増やしましょう

 

ま極端な場合、お金を刷って配りましょうってことをやって、

で、まあみんなが使い始めたとするじゃないですか

 

まあ、世の中に出回る紙幣の数が増えちゃうんで、

まあ普通に考えると、インフレが起きても、

 

全然おかしくないじゃないですか。

で、一度インフレが起き始めてしまうと

 

 

どうにかそれを抑えたくなりますよねぇ。

だって一度、一月100円貰えますって国民がー

 

 

その100万円を取り上げられることを許すかって

たぶん許さないと思うんですよ

 

 

そう考えると日本みたいな民主国家では

一度、政府支出を増やし始めると、

 

なんか問題が起きてもそんな簡単には、

元の水準に戻せないと思うんですよ

 

 

あの薬打ち始めちゃったみたいなもんなんでー           

そういう政治と、その経済の物凄く難しいバランス関係があるので、

 

 

政府支出を増やす時にはすごく慎重に

ならなくちゃいけないっていう風に考えて

 

で、そのためにいろいろな制度を作ってきたっていうのが

ここ100年ぐらいの様々な国の歴史で、

 

 

だから日本も原理的にはおっしゃった通り、

日銀がお金を刷る、それで政府が発行した国債を引き受けて

 

 

そのまんま、おんかね、(お金?)をばら撒く

できるちゃ、できますよね。

 

 

だからそれをやるとやばいってということで

それをやる時には、国会の審議が必要、と

 

いろんな制約を課しているってことだと思うんですよ

 

なので、政府支出になんのリスクもないみたいなものは

全然、根拠がないと思っていて

 

 

もちろんリスクがなくうまくいく可能性が

ゼロじゃないと思いますよ

 

 

ただ同じようにインフレが起きて、みんなが悲惨な目に会う

可能性だって十分あるとってことだと思います

 

 

(略)

 

 

ま、そんな年間100万円って数字

特に、根拠ないですよね

 

 

(略)

 

 

いや、いくらかかるっていう、それ

 

ただ~、ま、一般論として言えば、いくら発行するか、

と、それと同じかそれ以上に何に使うかってことが

 

どう考えたって大事だと思うんですよ

んで、何の価値も生み出さない、あの、ゾンビ企業に投資するのと、ぉ

 

今後100年間、頑張って働いてくれる新しい子供に投資するので、

同じわけが、普通に考えてーないと思うんですよ

 

 

(聞き取れない)長い目で見た時に、社会とか経済の成長とか

豊かさに貢献してくれそうなモノに投資するってことが大事だ

 

 

っていうごくごく当たり前のことが、いくつかある

 

 

(略)

 

④ 全体として思うのは(感想)、その、お、さっきから、

ずっと経済学者がーとか、国がみたいなことをおしゃっているんですけど、

 

その経済学者とか、国の偉い人たちが、何かを考えて、

はい、何かやれって、一言、言ったから

 

 

国全体の経済が成長するっていう世界感が、

自体が何の根拠もないと思うんですよ

 

 

で・・・経済ってそんなに単純なものじゃないからこそ~

一億人もいる人たちが、それぞれ何をやったらいいのか

 

分からないまま、試行錯誤して、いろんな会社を始めては~

一部はうまくって、ほとんどはダメになるってことを

 

 

繰り返す訳じゃないですか、

で、だからーそのーおー、経済を動かしていくって時には、

 

 

何か人が結果として求めていたようなサービスとか

財とか新しく作り出す

 

で、それが価値があったから、それにお金を払いたい人がうまれる、うー

だからそのものに値段がつく、

 

 

その結果としてみんなも稼げるっていう当たり前の

循環があるわけじゃないですかー

 

 

で、こういうその経済の実態のことを議論せずに、

 

 

国の中にいる審議会の経済学者が何をすべきか決めるだけで

経済成長できるってこと自体が根拠がないと思うんですよ

 

で、その根拠のないとこをーなんか、

ネットに入る人たちがぁ、妄想で描いた世界像に基いて

 

ぇ、議論するから、あー、例えばなんか竹中平蔵さんみたいな

人が日本経済をダメにしたっていう議論になると思うんですよ

 

 

ちょっと考えれば、竹中平蔵さん1人が日本経済をダメにしたり

よくしたりできるわけないじゃないですか

 

 

 

 

 

まず、成田悠輔くんは、政府がどのようにして予算執行しているか

全然、知らないということが大問題。

 

 

財政支出は中央銀行が都度通貨発行することで賄われており、

税収は支出の後について来る。

 

 

この程度の経済常識すらない。

現代における資本主義自体を、理解できていない。

 

 

政府が、みんなからお金を巻き上げてから、

政府は、予算執行しているという仮説自体が、間違っている。

 

 

 

次に、相関・因果関係

 

画像

 

このグラフを見て、相関関係があるかもしれないが、

因果関係をを説明できていないと主張する。

 

 

典型的な御用学者や新自由主義者もしくは

(工作員の)アトキンソンのそれである。

 

 

緊縮財政論者(健全財政)たちは、財政支出を拡大しても経済成長できない。

財政支出の拡大は、良くても無意味、悪くて有害と。

 

成田悠輔君の場合は、極端で、有害だと語っている。

 

 

そうであるなら、「経済成長したから財政支出が伸びた」という

因果関係を考えるのも、困難になる。

 

 

財政支出を拡大しても経済成長できないという見解が正しければ、

なぜ、日本以外の国々は、経済成長したから、

 

それに合わせ、財政支出を拡大しなければ、

ならなかったのか。

 

 

財政支出を積極的に抑制して、経済成長させた国の事例を

出さなければならない。

上記のグラフには、一つも見当たらない。

 

 

 

さらに、奇妙なことは、緊縮財政論者(健全財政)は、

積極財政は制御不能なインフレを引き起こし、

デフレ下での財政出動にも反対してきた経緯がある。

 

 

制御不能なインフレが起きるとの過程に立脚すると、

経済が成長したら財政支出を増やすなどという財政運営は、

景気が過熱し、高インフレになるはずである。

 

 

しかし、上記のグラフでで、日本以外の国は、

すべて日本よりも財政支出の伸び率が高いが、

高インフレで苦しんだ国が1つもない。

 

 

緊縮財政論者(健全財政の主張

 

「財政出動は高インフレをもたらす」

上記のグラフは、「経済が成長すると財政支出が伸びるという因果関係を示す」

 

非常に、矛盾していて、墓穴を掘っている

(中野剛志 奇跡の経済教室 大論争編(P171~P175)

 

 

矢野財務次官や小黒一正教授などは、またこれぐらいで済むが、

成田悠輔くんの場合は、もっとすごい。

 

 

 

②のところ、

 

・・いやそれは2つが連動している、

ただそれだけじゃないですか

 

それ以上でもそれ以下でもないですよ

 

 

 

このように、自分で、相関・因果関係を認めてしまっている。

ほんとに、だ、だ、大丈夫ですか、となる。

 

ナチスや共産党などの独裁政権下では、

殺処分に対象になるレベルである。

 

 

 

ちなみに、これらの話は、ウクライナ戦争以前のもので、

戦争による悪政インフレとは、無関係。

 

 

戦争による悪政インフレ(コストプッシュインフレ)に対処するには、

消費税の減税もしくは廃止、

 

 

ガソリン税など輸入資源価格の上昇が見られるものも

凍結ないし、石油ショックで行われた原発再稼働も不可欠。

 

 

輸入財に頼っている食料品価格上昇も、国民生活が厳しいので

農家への大規模な補助金、所得補償などの大きな財政出動が必須になる。

 

 

食料は安全保障上、最も重要であり、食料自給率を高める必要がある。

第一次産業への大規模な財政出動が、今こそ求められている。

 

 

 

デフレ下の悪性インフレに苦しむ今こそ、

政府部門の圧倒的な財政政策を、強調したい。

 

 

 

次回の成田悠輔くん考察では、

成田悠輔くん主張と米国の経済学者の主張の比較をしてみる。

 

成田くんとルーカス考えていたのに、横道にいちゃった。