考察の前に

 

 

高齢者皆殺し発言をしていたことで、

とても危うい状況に、置かれているのかな。

 

尊厳死(安楽死)が題材で白熱した議論が、

行われているのなら、様々な意見があるだろう。

 

人は必ず死んでしまう。

これだけはルソーも、平等性を否定できはしない。

 

鷲田清一だったかな、内田樹だったかな・・・たぶん鷲田。

確かこのような随筆を書いていた。

 

 

死を病院は持って行ってしまった。

 

道端に死体が転がっていることがなく、

指一つ、落ちていない。

 

人々が、人の死を目にすることができなくなった。

そのため人は死について考えることができないと。

 

ポンティから大きく影響を受けたため鷲田は、

身体性について論じることが多い。

 

 

考古学者か人類学者か分からないが、

英文で、こういう内容のものを読んだ記憶がある。

 

インカ帝国だったかな、その遺跡にはサウナがあったという。

それにより、民間治療の様子が書かれていた。

 

そう、現代では病も全部、病院が持って行ってしまった。

人は必ず病にかかる。

 

かつては、みなが持っていた病に関する知識も失われてしまった。

昔ならば、わざわざ病院にいくほどの病でなければ

なにがしかの対処をして、すぐに日常に戻っていけた。

 

医師の方も困った時代になった。

医師ならば、その方面のことをすべて知っているはずだと

全知全能だと思いこまれてしまっているからである。

 

医療知識や医療技術など、どんどん研究が進めば進むほど、

専門が細分化されてしまい、専門性が高くなればなるほど、

それ以外の医療知識や医療技術が分からなくなる。

 

専門性が高まると、些細な相違なのに、

危険な闘争の場と化す。

 

 

同じことが経済学にも言えるだろう。

お金にまつわることなので、あまにも生々しいために

内部闘争が苛烈になってしまう。

 

はたから見ると、まるでカルト宗教、神学論争をしていると

思われても仕方がない。

 

経済議論は、始め、みななんとか冷静に落ち着て行おうとする。

しかし話が進めば進むほど、感情的になり、

冷静で知的な議論が行われなくなる。

 

 

その結果、どんどん極論を言う人が出て、

火星が地球に衝突したらなんて、意味不明な喩えまで出たりする。

 

 

だから経済討論番組は、面白くなる。

このような時代だから、視聴者も参戦して、

議論が錯綜し、もっと面白くなる。

 

 

みんなの生活に関わることなので、笑ってはいけないのだろうが、

この宗教戦争は、必ず激化するので、

パッキャオ戦は塩試合にならないのと同様、

必ずうちあいになるため、面白いこと必定、視聴回数は絶対に上がる。

 

 

特に今回のような場合だと非常に盛り上がる。

竹中さんから見てきたが、緊縮財政派、積極財政派、

リフレ派、MMT派などたくさんいる人の中で、

個人的に、成田悠輔くんが一番面白い。

 

人間性は全く異なるが、これからも出てこないと言われる

ボクシング史上最高のパッキャオレベルかもしれない。

 

 

あらら、また長くなった、本題に入ろう。

 

 

① 横ばい力

 

横ばい力=日本経済=ひろゆき

 

 

たぶん、日本経済=ひろゆき は誰かの入れ知恵だろう。

だから、「横ばい力」の彼の言い分を見ていくことが

彼の本質を考察するのに、重要である。

 

横ばい力が、彼を追い詰めてしまい、

池戸さんを出演させて、鎮火したかった、これが肝になる。

 

鎮火するには、反感を買った人たち、ファンも含めて

相当数、納得させる必要がある。

 

 

だから、もう一度、振り返ってみよう。

 

「はぁ、いやろくでもないな、

だれかがなんか一言いったとかいわないとか

 

言葉尻で~、特に、元々の発言と関係のない

解釈をみんなが加えてい・・・

 

本来の話とほとんど関係がないところへ

飛んでいってしまって、

 

みんな大満足という日本のインターネットあるある

ちょっと残念な状況だと思いました。」

 

 

まず「言った、言わない」、肯定、否定

「言葉尻、関係のない」、肯定気味、否定。

「本来の話・関係がない」、肯定、否定、

聞いている側は、ゆすぶられ混乱し、思考が停止してしまう。

 

 

彼の弁論術の特徴は、一旦、賛同したかのように思わせて後、

疑念を呈してから、画面の向こうにいる人々に向かって、

否定するように、誘導する。

 

 

この手法は、実は2000年以上前から、

行われてきて、陪審員制の裁判で見られるありふれたものである。

 

古代ローマだとキケロが有名だ。

ラテン語を学ぶためには、キケロは欠かせない。

 

笑いあり、お涙あり、と陪審員たちの心を鷲掴みにする。

日本だと判断を下すのは、陪審員ではなく、判事なのできない。

 

しかし、マスコミでは、いつもこうやっている。

始めに、お涙頂戴で同情を誘い、最後に笑いにもっていく。

 

 

もうこの段階で、ファンへの懺悔は終了だ。

後は、経済学の知識をもつファン限定の弁明だ。

 

 

 

続き

 

「まあでも元々の発言は、そんなに推している、推していないんですよ

まあ単純に日本って元々の指標が驚くぐらい横ばいだったじゃないですか

 

んでそれは成長できてない、

さらには物価も賃金も上がらない

まぁ、だ、残念なことですよね。

 

ただここ数年は、たまたま世界経済が全体として

途轍もない危機の状態に入っているじゃないですか。

 

んでインフレ率もドカンと10パーセントぐらいまでいちゃった

んで2021年ぐらいから、2023年ぐらいまで、

 

ほとんどGDP成長みたいなもの・・だだだーと右肩下がりですよね。

そんな中で、日本だけインフレ率が数パーセントに抑えられている

 

、GDP成長率もほぼ横ばいと・・んでよくも悪しくも

世界からやや孤立していて・・安定していると・・・

 

まあこれ、この横ばい力が相対的に、ここ数年だけ、

日本の魅力として表れている・・・

 

それをもう少し広く解釈すると・・・日本て経済だけじゃなくて

政治とか社会とかがよくも悪しくも安定している・・・じゃないですか

 

んでこういう日本の安定というのが危機という局面では、

魅力として現れる、その程度の話です。

 

 

いやまったくないですね。

横ばいなぁと思って・・横ばいを保つ力があるってことだなと

思って、横ばい力というだけでそれ自体は、

ポジティブでもネガティブでもない

 

日本経済がひろゆきみたいな感じだと思います。」

 

 

まず、1行目で、肯定・否定、思考は停止する。

次に、横ばい=残念で、横ばいに同情して見せる。

 

 

次に、ショック・ドクトリン

(ショック・セラピー、災害便乗型資本主義)を持ってきた。

 

世界=高インフレ=悲惨

日本=低インフレ=善

 

横ばい力=日本の魅力=善

横ばい力=日本の構造安定=善

 

危機を煽り、日本=安定=魅力、そして笑いをとる。

この中にも、肯定からの否定を、何度も入れて思考を停止させている。

 

最後は、横ばいを連呼し、日本経済=ひろゆきで

画面の向こうのファンやその他を大笑いさせる。

 

 

 

これは、高度な技術、かなり手練れの脚本家じゃないと作れない。

文案ができてからも、練習は必要だ。

 

 

考察してみて、これは見事なもんだと感心した。

横ばい力=縮小均衡(デフレ)が吹き飛んだ。

経済学の書物を読み漁っている人以外は・・・。

 

 

そんな人は一握りだから、大成功だろう。

見事に「横ばい力(デフレ)」を放り投げたが、

この後も、大きな仕事が残っている。

もちろん池戸さん(財政の継続的な拡大)を論破することだ。

 

 

 

ふ~、これだけでめっちゃしんどいんですけど・・・・。

文字起こしをしたときは、バカにしていたが、

改めて、読み直すと手口はいつも同じなんだけど、

技術が向上している・・・生産性の向上か。

 

 

② 矛盾しすぎる仮定

 

1 1年365.2422日、日本人は働かない。

 

2 一人一億円、1.2京円お金を刷ります。(紙幣だね)

  各家庭に配ります。

  みんな1億円使います。

 

 

この仮定を考案し、文章化した段階で、

 

この3つ

お金を刷って、配ることができない。

GDPは0になる。

国民全員が、餓死してしまう。

 

これに番組作りに関わったすべての人が、

気付けないということは、ありえるのだろうか。

 

1号は、とても頭がいいように思えたので、

台本読んで、気付かなかったのだろうか。

気付いたけど、立場上、言えなかったのだろうか。

 

テレビ番組の制作予算が、半分ぐらい減っていて

前は2時間ドラマ7千万以上、今は4千万ぐらいと聞いた。

 

そりゃ、4半世紀デフレを放置していたら、そうなるよね。

そういう低予算化が、招いてしまったのだろうか。

 

成田くんは、なぜ気付けなかったのか

もし仮に台本がなくて、その場で思いついたと仮定しても

どう考えても、分からない。

 

 

③ 矛盾をさらに広げる仮定

 

1 1年365.2422日、日本人は働かない。

 

2 政府が一人当たり100万円分お金を刷りました。

 

3 みんなお金を使いたい。

 

4 ぱちんこに使いました。

 

5 急遽追加、ぱちんこ屋さんだけ働く。

 

 

 

1と2でもう既に矛盾が生じる。

3の状況を思い描けることが、分からない。

 

台本にあったとしても、3を発言してしまっていること

これが、また、全然分からない。

 

4のぱちんこを言わなければならないと思い込んでいたためか

なんで3と4が成立すると考えられるのか

 

突っ込まれて5を追加、訳が分からない。

5が入ることにより、傷口がもっと広がることに

なぜ、気付けないのだろう。

 

5を発動してしまうと、様々な経済活動が起動してしまう。

せめてほぼすべてが自動化された世界を設定できなかったのか。

 

横ばい力は、なんとか逃げ切ったのに、

なんでこんな稚拙なことになっているのか。

 

人間には、3つの世界像が必要なのに、

新自由主義エリートは、一枚しか持っていないかもしれない。

これぐらいしか、思いつかない。

 

 

 

④ 政府支出拡大と経済成長の因果関係

 

1 政府は、年間1人100万円分お金を刷り、

  みんなに渡し、みんな使いきります。

  低インフレで物価安定

 

2 1の仮定を否定、月100万円に増額

 

 

絶句

 

 

⑤ 韓国の事例

 

1 政府支出10%→2.5%経済成長に疑念

 

2 サムソンとBTS→税収増→政府支出増→経済成長

 

3 政府支出増→GDP増と経済成長に疑念

 

 

1は、怪しいけれど、まだなんとか許されるかもしれない。

(疑念を抱けることがすごい)

 

2は、資本主義以前の世界に適応したなら、分かる。

どこかにそういう国があるなら、分かる。

 

しかし、支出が先、税収は後、は、常識だと思っていたのだが・・

ここまではっきりと言いきれることに、吃驚。

 

日本だと、本年度予算成立、予算執行、年度末しめ、税収確定。

予算を執行しているが、税収は年度末になってみないと分からない。

 

この子は、それ以前の問題で、ただ単に知らないだけか、

あるいは、分かっていて、なんとかやり過ごそうとしているのか、

分からない。

 

上の矛盾から、考えると余計に分からない。

 

 

画像

 

 

島倉原さんのツイッター

「このグラフに対し、「GDPや税収の伸びに合わせて財政支出が伸びているだけ」

という意見を時折見かけますが、

 

拙著『MMTとは何か』でも明らかにしたように、

財政支出は中央銀行が都度通貨発行することで賄われており、

税収は支出の後について来るものです。」

 

 

相関係数がこれだけ高いと

どうやって否定できるのかな、と興味津々だった。

 

 

工作員のアトキンソン

 

 

 

続く。