今の日本の経済状況は、
あきらかにデフレである。
賃金上昇がないので、現役世代の家計は、
かなりたいへんである。
専業主婦なんて、ほとんどいなくなって、
少しでも家計の足しに、主婦も働いている。
ホームレスの数も減少していない。
失業者も、なかなか職が見つからない。
将来の不安やさまざまな理由から、
今の状況では、家計消費を伸ばすことは無理だ。
ほかの消費部門、企業はどうか。
内部留保を溜め込むか、
借金返済に必死である。
国内投資はまだまだ行われそうにない。
残るのは、政府部門しかありえない。
約20年と長引く景気後退は、ただ事ではない。
日本の経済は、いまだ危機的状況であって、
これは日本の一般大衆にとって、
優先順位が一番高いのである。
いろいろなところで、景気はどうですかと聞くと、
さっぱりですわと、みなさんが言う。
その中で、増税それも極めて累進性が逆の
消費税を上げるということは、火を見るよりも
明らかな状況を生み出すことになる。
現代社会の一番の社会矛盾は、
権力ですら、金で買える、という
米国社会の根源的な問題なのである。
合意システムが機能していない。
それどころか、多国籍企業が、
合意システムを踏みにじり、ルールを破り、
自分たちの都合の良いように変更している。
米国には、コーポレートランドという言葉がある。
特徴は、2つある。
大企業は儲けるだけ設けて、税金を回避し、
利益は、株主配当と役員の高額収入に回す。
米国の歳入に占める法人税の割合は、
1950年代には、全体の23.2%だったが、
2010年には、7.2%にまで下がっている。
個人が支払う所得税額の六分の一である。
日本も法人税が高いから減税というが、
70%の企業が払っていない。
おまけに、大企業はせっせと節税に励んでいる。
タックスヘイブンを利用して・・・。
今回の消費税はもっと惨く、輸出系企業は
一切払わないでいい仕組みになっている。
この仕組みを見直さないで、
一般大衆にだけ払わせるのか。
コーポレートランドの特徴の2つ目は、
企業利益が拡大しても、雇用が増えないことである。
安倍首相は、法人税減税を行い、消費増税を
行うのならば、必ず一般大衆の支持を失う。
近代以降、一般大衆の合意なくしては、
権力は、その正当性をもてなくなる。
消費増税を行う決断を行えば、
一般大衆の支持を失い、正当性が消える。
具体的には、もしかすると、橋本内閣以上の
最悪の結果が起こり、汚名だけを残すことになる。
彼の腹はもう決まっているだろうが、
来年、増税決断となれば、駆け込み需要の後、
地獄の一丁目がぐつぐつと待っている。
しかし、そうなったとしても、日本人の希望は失われない。
我々日本人の現在の敵は、あいも変わらず
政官財であって、システムの根治的解決を目指すだけである。