狂気と題したからといって、
別に、フーコーを論じるわけではない。
あくまで、ボクシングにおける具体的な
表現で使っている。
ボクシングのトレーニングとして、
マスとスパーがある。
マスは、言ってみれば、
寸止めで、当てない。
理性的に、ルールにのっとって、
互いの技術を、交換する。
それに引き換え、スパーは、
ほとんど、試合に近い。
ヘッドギアや16オンスのグローブを、
つけてはいても、基本、殴り合いである。
だから、ライトスパーでいきましょー、
といっても、がちんこになることはよくある。
圧倒的な差が、スパーには必要で、
手加減してやるということは、むずい。
もっとうまくなるためには、
スパーの数をこなさないといけないが、
自分よりレベルが上の人とやらないとだめだ。
レベルが近い、もしくは、同等の人とやると、
怖れのため、たいへんしんどい。
なぜなら、基本、どつきあいだから、
狂気に身をゆだねることになる。
それが、どうも好きではない。
狂気と理性のバランスをうまく保って、
やれるようになりたい。
そのためには、もっとうまくなる必要がある。
そして、狂気に身を任せることも必要になる。
そのあたりが、悩ましいところである。