ベテランという単語は、もちろん英語である。

退役軍人などの意味合いも含まれたりする。



ここでは、ベテランは今、現在使われている

感覚そのままで、用いてみる。



教え手は、みなこの修羅場を離脱しないなら、

当然、ベテランになってゆく。



始めは、有り余る体力にモノをいわせ、

考え付くことをみなやってゆく。



そして、だんだんと無駄な作業を

理解し、切り捨てて、どんどん大きな視座を

手に入れるようになる。



教え手は、初期の若い頃、すべての生徒に

愛情を注げるわけではない。



若さがゆえに、自分の範囲内の

子供しか、愛せないという欠点をもつ

そんなように思われる。



たとえば、それはオタクと言われる範疇の

子供である場合、自分がそのソトにいると、

やはりそういう目線に立ち、接してしまう。



自分の場合は、やんちゃな子供が好きであり、

少々逸脱しているほうがかわいい。



しかし、それも自然と、オタクといわれるような

子供たちを愛せるようになった。



それは、彼らが純粋であるとこを

理解したからだった。



その純粋さは、今ではとても愛おしく、

ほほを緩めてしまうぐらいである。



他にも、女子と接し、導いてゆくのは、

正直、まったく分からなかった。



これは男性ならば、だれしもそうだと思う。

ただ、自分の場合は、見た目がよかったため、

大いに救われた面があった。



しかし、そのままではやっていくるわけもなく、

さまざまに試行錯誤してゆくうち、

自分なりの、「学び」への導き方を会得するようになった。



これにも膨大な経験値が必要であり、

かつ、数え切れぬ難局を切り抜けないといけない。



もちろん、この作業は、大量の犠牲者を出す。

当然、教え手の側のほうにである。



人の未来を左右する仕事であるから、

文字通り、命がけの「飛び越え」なのである。



近所の中学で非常に評判のよかった先生がいた。

その人は、部活に力をいれておられる先生だった。



先日、その先生が辞職されたと聞いた。

うつになり、ヘルニアも悪化したのが理由だという。



しかし、真の理由、また、そうなってしまった状況、

さまざまな苦悩が、読み取れてしまう。



まさに地獄、真面目なものほど、

バカを見る人間世界の悲劇が垣間見える。