現在、ゆとり教育はずいぶん進み、

大学三回生まで、その範囲は及んでいる。



同様に教育の格差は、スピードをまして、

今や止めようがなくなっている。



これからやっとゆとり教育の見直しがおき、

本格的なカリュキュラムに手がつけられるのだろう。



子供を高校や大学へ送る受験屋として、

いくつかの注文がある。



抽象的な理念よりも、今回は具体的な問題を

考えてみたい。



そう表題どおり、中学から高校への理科の

カリュキュラムを大きく変更してもらいたい。



数学は、中学からたくさん高校課程に移したために、

数I・Aには従来の中学課程が入り込み、

その影響をもろに数Ⅱ・Bが大きく膨らんでしまった。



結果、本来、高等教育で学ぶべき、

基本的な数Ⅲ・Cが習得されないまま、

大学へと進学してしまう。



これでは、大学側は一般教養にかなり

時間を奪われて、学生が専門的なコースを

本格的に習得していくために、

大きくラグを生じてしまう。



これと同様のことが、いや少し異なるが、

理科という学習分野でおきている。



中学時代、理科は得意だったという人も多いかと思う。

しかし、高校に進学してからは、一体なにがなにやら、

ちんぷんかんぷん、になってしまうケースが、

大方になっている。



この傾向は、ずっと昔から続いているが、

この人口減少社会では、理系人口の獲得は、

とても大切な政策だと思われる。



そのために、中学から高校への理科を、

今一度、見直してはどうかと思う。



へんな総合理科などという科目を中途半端に

作って、中途半端に学習させて、

混乱に陥れるより、中学の理科の延長線上に、

うまくのっけて、そこからスタートしてはどうかと思う。



例えば、各種のモル計算も、丁寧な問題集と

丁寧な解説とをセットで渡してあげるべきだろう。



いきなり、原子を教えるのはいいとしても、

すぐさま原子量に入るのは、混乱をまねく。


なぜ、原子量や分子量ということを学ばねば

ならないのかから、始めてあげるべきだと思う。



力学はもっと惨い。



物理をみなが敬遠するのは、

この力学にやられるケースが大半である。



以前、同志社の工学部に合格させたとき、

物理で合格したのは、その学校で、ウチの子だけだった。



力学も、実はきちんと手渡せば、

誰もが理解できる代物である。



その誘導ができる人物を未だに見かけたことがないが、

そういう人物を育成することは、

実に簡単であると思われる。


やる気さえあれば、高校生以上で、

通常の知力の持ち主であれば、

絶対に誰でも理解可能である。



それには、やはり中学からきちんとした

道筋をつけてあげないと、ある特定の人々しか

学ばない学問になってしまう。



今年も、ノーベル賞を3人の方が受賞したが、

これは、以前からの遺産であり、

過去の日本の姿である。



湯川先生が受賞されたときとは異なり、

現在進行中なのは、理系からの大脱走が起きている。



それを現場で、目にしていて、

とてもやるせない気持ちで一杯である。