長月は、甲斐バンドで。
計算高く生きるのも、生き抜く術だが、
人生はそんなに甘くない。
むしろ不測の事態が、常に生じることがある。
不完全な人間世界では、それが当たり前である。
ミスを犯し、転げまわって、這いつくばって、
その中をなんとか生き抜いて、なんぼの世の中である。
人を好きになることも同様で、
計算づくというわけにはいかない。
だから、哀しき恋の結末もやむをえない。
幻想がぱちんとはじければ、現実だけが横たわる。
そして、「氷のくちびるが僕を奪い、
波のように砕けては散る」思いを味わうことになる。