森永卓郎氏『ザイム真理教』が示唆する「アベノミクス失敗」の ...

 

 

 

 

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増税しないと本当に日本は破たんしてしまうのか? ――『マンガ 日本を破滅に導くザイム真理教の大罪』 『マンガ 日本を破滅に導くザイム真理教の大罪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他人の血

これらの男たちは、人生で一度も裁縫をしたことがない。

 

 

 

 

サム・ポリット作、「筋肉の記憶」。2017年、合成粘土、木材、82.7 × 68.9 × 7.9インチ。アーティスト、コンポジット(ブリュッセル)、ヴィトリン(ロンドン/バーゼル)のご厚意による。

 

 

 

 

新自由主義をテーマにした映画を作るなら

ポール・ボルカーという人物を主役に据える必要があるだろう。

 

 

1979年から1987年まで連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたボルカーは

世界で最も影響力のある中央銀行家だった。

 

 

この時期は、アメリカとイギリスで産業労働者運動が敗北し

第三世界の債務危機が勃発した時期と重なる。

 

 

これらの危機は、いずれもボルカーの影響によるところが大きい。

1979年10月6日、FRBの公開市場委員会(FOMC)の臨時会合後

ボルカーは国の通貨供給量の伸びを制限すると発表した。

 

 

これは、FRBが加盟銀行への国債の売買を通じて

銀行準備金の伸びを左右することで実現される。

 

 

資金が不足するにつれ、銀行は金利を引き上げ

経済全体の流動性を制限することになる。

 

 

金利はFRBの政策の結果ではあったものの、マネーサプライ目標のおかげで

ボルカー議長は自ら直接金利を引き上げるという

政治的に爆発的な印象を与えることを避けることができた。

 

 

ボルカー・ショックとして知られるこの実験は1982年まで続き

大恐慌以来最悪の失業率を引き起こし

1960年代後半から世界経済を悩ませてきたインフレをようやく終息させた。

 

 

ボルカー・ショックのあらゆる結果――工場の閉鎖、労働組合の崩壊

目まぐるしい金融化――を列挙することは

2019年現在もなお我々が受けている混乱ぶりを描写することに等しい。        

 

 

 

ボルカー・ショックのピーク(あるいはどん底)では

プライムレートは20%を超え信用力が低い場合はさらに悪化した。

 

 

法外な借入コストにより、数万もの企業が倒産し

全体として22ヶ月にわたるマイナス成長につながった。

 

 

1982年12月の失業率は10.8%だったが、求職活動を諦めた労働者や

安定したフルタイムの仕事が見つからない不完全雇用者を含めると

20%近くに達した。

 

 

絶対数で見ると、その月には1200万人のアメリカ人が失業しており

さらに1300万人が「求職意欲喪失」状態または不完全雇用状態にあった。

 

 

 

国内の工業地帯が最も大きな打撃を受けた。

失業者の90%は鉱業、建設業、製造業で発生した。

 

 

企業にとって債務返済や投資資金の借入は高額になり

ドル高はアメリカの輸出品の国際競争力をさらに低下させた。

 

 

ミシガン州フリントやオハイオ州ヤングスタウンのような場所では

労働者の5人に1人以上が失業した。

 

 

アクロンでは、解雇されたタイヤ工場労働者が献血を求めて列をなしたため

商業血液銀行は買い取り価格を20%引き下げた。

 

 

ピッツバーグ周辺地域では自殺率とアルコール依存症が急増し

住民はホームレスシェルターの空きを巡って争った。

 

 

アフリカ系アメリカ人の失業率はさらに深刻で、1983年初頭には21.2%で

ピークに達した( 1979年には既に危機的状況あった約12%から上昇)。

 

 

 

ボルカーを称賛する人々は、彼がインフレの「背骨を折った」と言いたがる。

連邦準備制度理事会で唯一の反対者だったナンシー・ティーターズは

 

 

別の比喩を用いた。

「私は彼らにこう言った。『あなた方はこの国の金融構造を

あまりにも強く引っ張っているので、破れてしまうでしょう。

 

 

布地が一度破れたら、元に戻すのは非常に難しく

ほとんど不可能だということを理解すべきです。』」

 

 

(連邦準備制度理事会初の女性理事でもあるティーターズは

ジャーナリストのウィリアム・グライダーに

「これらの男たちは誰も人生で一度も縫い物をしたことがない」と語った。)

 

 

布地か背骨か、どちらのイメージも暴力性を伝えている。

いずれにせよ、物価指数には背骨も縫い目もないが

1980年代初頭の壊れた体や破れた衣服は人々のものだった。

 

 

レーガン大統領の経済顧問だったマイケル・ムッサは

「連邦準備制度理事会がその信頼性を確立するためには、血を流す覚悟

 

 

それも大量の血、他人の血を流す覚悟を示す必要があった」と述べたが

彼の言葉の方が真実に近かったと言えるだろう。

 

 

 

この苦難の目的は、ベトナム戦争中に問題となり、1980年4月に

月間ピークでほぼ15%に達したインフレの上昇を食い止めることだった。

 

 

そのサイクルはこうだ。

今日物価が高ければ、人々は明日物価が上がると予想する。

 

 

企業はそれに合わせて価格を上げ、労働者は

収入の実質価値を維持するために賃上げを要求する。

 

 

購入を検討している人々は、お金にまだ価値があるうちに

そして不足が現れる前にすぐに購入しようとする傾向がある。

 

 

ボルカーは、期待を変えるには、誰も見逃せないほどの

決意を示す必要があると確信していた。

 

 

マネーサプライを縮小し金利を引き上げると、投資や消費のための借入が

難しくなり、既存の債務の返済が難しくなり、貯蓄がより有利になる。

これらすべてが総需要を減少させ、物価水準の低下と失業率の上昇につながる。  

 

 

 

ボルカーは失業を物価安定の手段と意識的に考えていたのだろうか。
ロードアイランド州選出の議員が、失業率の大幅な上昇が
彼の政策の必然的な結果なのかと尋ねたところ
 
 
ボルカーは「短期的にその結果を避けるためにどのような政策を
とればよいのか分かりません。…… 1981年にその問題を解決できるような政策を
今実施することはできません」と答えた。
 
 
これは必然的副産物の見方と言えるだろう。
インフレ抑制が最優先事項であり、人々を職場に戻すためのあらゆる行動は
インフレ期待を高めることになる。
 
 
インフレが克服されれば、成長と完全雇用を追求できる。
しかし、それだけではない。物価が安定した後でも
完全雇用はかつてのような意味を持たなくなる。
 
 
レーガン政権の好景気にもかかわらず、1986年になっても
失業率は6.6%にとどまっていた。
 
 
これは、ミルトン・フリードマンの「自然失業率というものが存在し
それを下回ろうとすれば必ずインフレを引き起こす」
という考えを具体的に示したものである
 
 
(このため、この概念は「非加速インフレ失業率」として知られている)。
ここでの論理は明白だ。
経済が正常に機能するためには、何百万人もの失業者が必要なのである。
 
 
 
ボルカーのような中央銀行家は、国内の民主政治から隔離されているため
どの程度の雇用が多すぎるかを判断できる。
 
 
米国以外の世界は、この問題に関してさらに発言権が少なかったが
より大きな打撃を受けた。
 
 
金利ショックは世界的な景気後退の引き金となった。
また、ラテンアメリカ全域で債務危機を引き起こした。
 
 
各国政府は、世界的な景気後退によって主要な外貨獲得源である
一次産品輸出価格が下落する一方で
ドル建て融資の返済コストが急騰していることに気づいた。
 
 
こうした出来事は、世界的な一次産品ブームによって支えられていた
新国際経済秩序の提唱に代表される、1970年代の
野心的な第三世界政治にとどめを刺すことになった。
 
 
メキシコ、ブラジル、ザンビアなどの国々で発生した債務危機の震動
そしてそれに続く失われた10年は、その後グローバル・サウス全域に
導入されたIMF構造調整の序曲となった。     
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

全目次】ザイム真理教 / 森永卓郎【・もくじ・評価感想 ...

 

 

 

 

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「非加速インフレ失業率」、このあまり知られていない言葉は

ミルトン・フリードマンの有名な概念で

 

 

自然失業率というものが存在し、それを下回ろうとすれば

必ずインフレを引き起こすという一緒の呪文のようなものである。

 

 

国民民主の玉木が、偉そうにこの言葉を解説していたが

完全に間違っていて、たいへん驚かされたことがある。

 

 

新自由主義者にとってのインフレ退治は、総需要を破壊すること

つまり大量の失業者を出して、人々にモノを変えなくすることを意味している。

 

 

仕事がないからお金が稼げない、お金がないからモノが買えない

この行動変容を促すことによって、インフレを退治するという

悪魔の所業だと言えよう。

 

 

 

 

 

この際、ちょうと都合がいい条件は

コスト・プッシュ・インフレである。

 

 

現状それに見舞われており、それを実際に実行に移した最初の政権は

マーガレット・サッチャーその人

 

 

目を覆わんばかりだが、何の因果かマーガレット・サッチャーを

尊敬してやまない人間が、総理をやっている。

 

 

 

これほどの悪夢はあるのかと疑いたくなるが

実際、高市のポンコツ具合を見れば

 

 

日本経済を襲っている悪夢そのものが、日本の総理をやっていて

これから訪れるであろう危機を考えれば、愕然とする。