男性と女性がいなければ子どもは生まれない。とても当たり前のことなのに、妊活・不妊治療となると、まだまだ「女性ががんばるもの」というイメージが強いよう。印象的な商品を開発するTENGAから出されていたパンフレットは、「男性のあなたも不妊治療の当事者ですよ」と投げかけていた。

「愛と自由とTENGA」というキャッチ―なコンセプトを掲げるTENGA。
性の課題を恥ずかしいものでも、隠すものでも、消費するものでも、苦笑するものでも、誰かをいじるためのものでもなく
当たり前の身近なものとして、自分と自分の大切な人を守るために向き合おうという思いが伝わってくるWEBページは、見ていてわくわくする。

今回はTENGA HEALTHCARE部門で配布していたパンフレットの内容が、興味深かったのでまとめてみることにした。
【私はパパになれますか?7つの数字で見るパパの真実 自分を知ることから始めましょう】




こんなにストレートに、男性の不妊治療や妊活へのメッセージが込められたパンフレットはみたことがない🤔
「妊娠は、あなた方男性も当事者ですよ。あなた方男性にもできることがありますよ」と投げかけているわけである🤔
私はこのパンフレットを知人の助産師から手に入れたのだけど、
もしこれがTENGAの商品売り場の横に並べられていて、興味本位で商品をみにきた人の目にとまったりしたら、すごくいいなと思う🤔

シンプルかつ端的でキャッチ―なこのパンフレット。
ぜひ多くの人に知ってほしい、と意気込み、内容をまとめてみることにした。

が‼️‼️‼️‼️‼️‼️
残念なことに示されているデータのもとの情報源が書かれていないページも多く、
どの調査からわかったことなのか、嘘の情報だといわれないように、信ぴょう性を高めるために書いた方がいいのに…とちょっと肩を落としてしまった😑

パンフレットの内容と、できるかぎり情報源となったと思われるものを探した私の追加の調べと感想をひとつずつかいてみた。
TENGAを素晴らしいと言っておきながら[私の感想]は情報源が曖昧なことへの不満たらたらになっていて申し訳ない。でも私は正しい情報源を示してこそ、だと思っているので許してほしい😐

これのパンフレット(と私の感想)を読んで、男性はどう感じるだろう。

⓵不妊の原因の約50%が男性にある

不妊の原因は女性だけにあるのではなく、男性にも、男女ともにも、そして不明な場合がある。
男性不妊の原因の8割を占めるのが、元気で異常のない精子が必要量つくれないという問題。
ある調査によると欧米人の精子数は40年で半減しているというが、日本人はさらに少なくなっているという。

[私の感想]
やや情報源が古いのだが、1996年の論文、Comhaire FHのLondonという雑誌にのったMale Infertility&Hall
Medicalにて、不妊の原因は
女性のみ:41%
男性のみ:24%
男女とも:24%
不明:11%
で、男性で合わせると約50%というわけだ。
ちなみにこんな調査結果もあった。これでも男性要因は33%ということになり“ゼロではない”。


⓶日本男性の5人に一人に不妊リスクがある

WHOは精子量、精子濃度、運動率など自然妊娠するための精子の基準値を定めている。
この基準に照らし合わせてみると日本男性の5人に一人は、精子の運動率が低い、濃度が低い、射精液が少ないといった不妊リスクを抱えていることになるという。


[私の感想]
“男性 不妊 リスク WHO”などの検索ワードでしらべてみると
4人に1人だとか、5人に1人だとか、NHKのドキュメントだとか、いろいろなものがでてくるので
現在不妊治療業界では言われていることなのだと思う。
ただ、私の力及ばず、WHOのもととなる論文を見つけられなかった。
WEB記事を書く皆さま、私の力不足を他人のせいにしているように見えますが、どうかもとの情報源の論文記事を載せてください…

⓷元気な異常のない精子の数は加齢とともに減少する

卵子の老化といわれるが、女性と同じ、年齢を重ねれば妊娠する確立は低くなる。
20代では活発な精子の数は1.88億個といわれるが、30代では1.45-1.5億個に、40代では1.02個に。
運動率が低くて卵子までたどり着けない、DNAの情報が損傷しているなど精子の老化がすすむ。


[私の感想]
正確にこの数字を記載した元の研究論文には、またもたどり着けず
しかし近い情報の論文はあった。
2009年のHum. Reproという雑誌に掲載されたParternal age and reproductionという論文で
カップルが妊娠までにかかった期間を男性年齢別にみた研究では、20代で半年、30代~40代前半で10か月、40代後半では19カ月、50歳以上では32カ月だったという。
これに女性の年齢も高くなれば、さらに長くなるともいえる。

④現在世界的に外的要因によって、毎年精子力は1.9%低下する

過去50年でデスクワークの増加による座りすぎ、睡眠時間の短縮、肥満の増加、大気汚染といった地球環境やライフスタイルの変化により、運動精子数、つまり精子力の低下が世界的に危惧されている。

[私の感想]
ほんとうにこれは情報源みつけられず…
でもほんとうにそうだとしたら怖いこと。絶対女性の体にだって影響してるでしょ?と思う。

⑤精子がつくられる最適な温度は32-33℃

下着による圧迫や、サウナなどを長時間使用することは精子をつくるのに適した体の環境をつくっていないかもしれない。
妊活中はサウナを控えるべき。

[私の感想]
日本Men’s Health医学会のページにて
男性不妊症の予防法として、ウォーキングなど軽めの運動でメタボ予防/1日3食バランスよく/1日7時間程度の決まった時間に就寝と起床/長風呂をせず長時間のサウナを避ける/自転車やバイクに長時間乗らない/深酒しない/禁煙
があがっていた。
精子をつくる精巣は温まると精子をつくる力がおちる、というのはある程度言われているらしい。

⓺5組に1組以上のカップルが不妊に悩んでいる
第15回出生動向調査によると、過去に不妊に悩んだカップルはおよそ3組に1組。

全体の5.5組に1組に実際に医療機関で不妊の検査や治療をうけている。
現代人にとって不妊は珍しいことではない。


[私の感想]
ここだけはちゃんと情報源がのっている。
3組や5組に1組のカップルが不妊を考えたことがある、という事実、軽々しく人の多い場で不妊治療をからかったり、適当な知識や安易な発言をすることが、誰を傷つけてしまうかわからないと感じる。

⓻日本は受精の成功率は7%、世界最低ランク

自然妊娠からきりかえ、不妊治療として体外受精を選択するカップルも増えている日本。
医療技術の進歩に伴い受精の成功率も上がっているかと思いきや
日本の受精の成功率は7%と世界では最低ランク。
不妊治療をうけるカップルの年齢が高いことも影響しているといわれる。


[私の感想]
7%!10組に1組以下!こんな衝撃があるだろうか。
ICMARTという世界各国の不妊治療の成績をモニタリングしている調査機関の2010年のデータを訳した結果によると、
確かに日本は排卵回数に対して出産率、つまり実際に赤ちゃんが生まれるまで至った確率は6.2%だという。世界平均は20%らしい。


さて、この7つの事実をつきつけられ
「男性のあなたも不妊治療の当事者ですよ」という思いに至れただろうか。
最後のページで、精子を守るための7か条が書かれている。



え?こんなことから?意味あるの?というものも多いかもしれない
でも、まずそう思わせたら、このパンフレットは成功なんじゃないだろうか。


これを男友達とか身近な人に配ってみて反応とかみてみたいけれど
ちょっとそこまでの勇気がわかない自分も正直いるので
性の問題は難しいものである🤔


参考文献    
TENGA MEN’S LOUPE
https://tengahealthcare.com/products/mensloupe/
公益社団法人 日本産科婦人科学会 不妊症とは
www.jsog.or.jp/modules/disease
公益社団法人 日本生殖医学会 一般のみなさまへ Q$A
www.jsom.or.jp/public/funinsho_qa07.html
不妊症・不育症応援サイト あしたのママへ
https://www.mochida.co.jp/ashitanomama/sp/hunin/index.html
35歳で始まる!「精子老化」の真実 河合蘭
https://president.jp/articles/-/10936
日本は世界一の「不妊大国」だった 体外受精の成功率が低すぎる理由
https://wotopi.jp/archives/40398