2010年9月1日(水)に始まった6ヶ月コースの教育。
2011年2月24日(木)の52回目をもって終了。
前回お話しした‘行動ステップ’で、これでもかっていうほどの自責の念に駆られたわけだが、
教育の仕上げにすることは、出所後の生活設計について。
これを‘セルフマネージメントプラン’といいます。
‘行動ステップ’は、実際に自分が歩んできた、歩んでしまった‘過去’の自分を分析したもので、
それに対して‘セルフマネージメントプラン’とは、これからなりたい‘未来’の自分を思い描くもの。
だからもちろん、そこに‘行動ステップ’のような重く苦しい思考、概念は存在しない。
受刑者って、全員が出たらまずは何しよう?って日々考えているものなんです。
最初はとにかく小さく下らないことなんですが、静岡刑務所ならば目の前にサンクスがあるんですが、
そこでタバコと缶コーヒー買って飲みたいってみんな言います。
川越だと、ちょっと離れてるんだけどローソンがあって、当時流行ってた‘プレミアムロールケーキ’を食いたい、
ってみんな言ってましたね。実につまらない願いでしょ?
当たり前のことが当たり前にできなくなった人間の願いなんて、所詮そんなもんなんですよ。
じゃあそれをずっと当たり前のようにしていくにはどうすればいいか?
それを自分なりに考えて、実践できる‘計画書’を作ることが‘セルフマネージメントプラン’です。
刑務所の役目って、そりゃあ一般社会に置いといたら危険な人間を隔離するって目的がある。
でも、死刑じゃない限りその隔離した人間はいつかまた野に放たれるんです。
そいつらがまた同じように悪さしたら、また隔離すりゃいいんですが、被害者はたまったモンじゃない。
だったら新たなる被害者を生まないように、刑務所はイヤな辛いところって思わせるのと同時に、
人間としての姿勢を教育で、本来あるべき姿にしようっていうのも目的の一つ。
もちろん全員がこの教育を受けるわけではない。
最近じゃ犯罪も、種類によっては‘病気’であるという認識が主流のようだ。
シャブはもちろんだが窃盗、痴漢なんかも専門の病院があったりする。
そこらの犯罪って、意外と刑期が短かったりする。
となると大した教育期間が取れないわけで、でも潜在的な病気として治療しなければならない。
てことで出所はさせるが、専門医の指導の元、時間をかけて治してくようだ。
この教育、拒否してもいいんですよ。
そのかわり、出所が満期出所になりますけどね。
つまり、仮釈もらうために仕方なく受けて、その場しのぎのウソ八百並べてテキトーに書いてるヤツもいる。
おざなりにやったってわかりっこないですからね。
実際、この教育受けたって再犯率はゼロにはならない。
教育受けて出所して、一週間もしないうちに同様の犯罪で逆戻りっての新聞でも読んだし。
病気と逃げるのは簡単なことですが、やっぱ個人の‘気概’の問題なんだろうな。
これが実際の用紙になります。左が行動ステップ、右がセルフマネージメントプランの本仕上げ用の用紙になります。
これ、実際はテキスト、ワークブックの中の1ページなんですが、書いたらやぶいてコピーとります。
2部ずつコピーとるんですが、この2つは提出しないといけないんです。
1つは仮釈の面接をする‘関東地方更生保護委員会’で、もう1部は‘保護観察所’に、出所後自分で提出します。
はい、仮釈の面接時の参考資料にされ、人によっては内容を質問されます。
保護観察所では、仮釈期間中にも同種の簡単な教育を受けるので、そこで使うためです。
行動ステップのときには、聞き慣れぬ‘トリガー’だの‘メンテナンス段階’だのが出てきましたよね。
‘セルフマネージメントプラン’になると、さらにその状態を示す単語がいくつか出てきます。
まずはどうなりたいのか?出所してから私はこうありたい、みたいなことを書きます。
ではそうなるために、何をすればいいのか?何をしなければいいのか?を考えて書き出します。
この、なりたい自分に進むために必要な要件を‘コーピング’といいます。
ただ、日々生活していればいろんなイヤなことだって山積していますよね。
例えば、どんなことがあったらイヤな気分になるか?
これは、行動ステップでも出てきた項目の‘慢性トリガー’です。まだ悪化してない段階です。
それを乗り越えるためにはどうするのがいいか?
これはなりたい自分を維持することと同じで、対処法である‘コーピング’を考えます。
イヤなことをコーピングで乗り越えはしたけど、いろいろあったり積もり積もればどうしても気持ちは沈む…
そうなると‘蓄積段階’へと進行してしまうわけですが、じゃあ何を気にしてみれば回りが気付くか?
そう、この段階で誰かが、あっ、今悪い方向に向いてるな!?って気付くことが重要なんです。
それがわかれば進行を食い止めることができるかも知れないからね。
そこで、もし自分がこういうことするようになったら危ない、こういうこと言い出したら注意して!
ってサインを、事前に伝えておくことが大切なんです。それが‘警告サイン’というもの。
で、それが自分でわかったならする対処法を用意しておきます。
ただし、ここからは多少強引な、強めのコーピングが必要になってきます。
それだけ悪化してきてるってことなんで。。
そして、いよいよそれでももうどうしようもないくらい追い詰められて、自分でも追い込んでしまった。。
加害の一歩手前、もう犯罪に手を出しかねない・・・
そんな状況になってしまった‘引き金’が‘急性トリガー’なわけです。
もう目の前に、加害する対象物、加害するに値する対象者がいる状況。
これであとは行動に移せる環境が整うのを待つのみ。。
はたしてそんな状況で冷静に、この‘緊急時のコーピング’が作用されるか甚だ疑問ではありますが、
コンマ何秒かでも思い起こされたならめっけモンなんでしょうね。
刑務所に収監されたことを思い出すとか、手錠されたことを思い出す、って書いた人もいたな。
自分逮捕されたとき手錠かけられなかったんでこれは効力ゼロなんですけどね。
この、あと1cmで手がかかる、って瞬間に思い出せれば、教育の効果が実証されるって寸法です。
この解答にたどり着くための半年。
正解か不正解か、試す機会がないことが一番いいんですけどね。。