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文筆家としても音楽家としても「批評家」である、と思った。
大谷能生氏の名前を知ったのは、菊地成孔氏との一連の共著だったのだが、
語り口は菊地氏の弁が強すぎて、大谷氏の色がいまいち見えづらかった。
その後、大谷氏の単独の著作をいくつか読んだが、
「ユニークな視点を持つ正統派の批評家」という印象を受けた。
この人がいたからあの「M/D」「アフロ・ディズニー」もまとまったのだなと思う。
その一方、音楽に関しては非常に前衛的で分かりづらかった。
参加しているユニットのsim、MASは、好きな人間ならたまらないのだろうが、
一聴すると、かなりとっつき辛いものだった。
ジャズのフレーズをネタにして、サンプリングしたヒップポップはよくある。
私はヒップポップに詳しくないが、US3やMADLIBは明らかにそうだろう。
US 3 - Cantaloop "HQ"
http://www.youtube.com/watch?v=ICP__GEuGb0
Madlib-Mystic Bounce
http://www.youtube.com/watch?v=jCmbHWgkXek
だがリズムトラックから全て、ジャズの音源を素材にして再構築したヒップポップは、
(少なくとも私は)初めて聴いた。
「ジャズにとってヒップポップは孫であり、ヒップポップにとってジャズは祖父である」
とは菊地成孔氏の談である。菊地氏のみならず、多くの人がジャズとヒップポップの類似性を指摘している。
ちなみに私がそれを知ったのは「文化系のためのヒップポップ入門」という本だったが。
文化系のためのヒップホップ入門 (いりぐちアルテス002)/長谷川町蔵

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おかげで、少しヒップポップに目がいくようになっていたのだが、
その本を読まなければ、このアルバムを聴こうとは思わなかったかもしれない。
「これはジャズとヒップポップの類似性を証明するアルバムである」と菊地氏はライナーノーツで語る。
サンプリングの技術が新しくなったからではない。
素材の見極め方と、再構築の仕方が素晴らしいのだ。
唯一オーバーダビングされているのが、大谷本人によるラップだ。
私はヒップポップにもラップにも、詳しくない人間だが、
こんなラップは初めて聴いた気がする。いやラップといっていいのか。詩の朗読に近い。
イメージとして「YO!」といった、ノリに任せて張り上げる感じのものではない。
語りかけるように、さりげなく韻を踏みつつ、リズムに寄り添いつつ
言葉をしっかり伝えようとするものだ。
ポエムリーディングでもなく、ヒップポップでもなく
そのどちらでもないところに、大谷氏のラップは歩いている気がする。
しかも声がいい。
大谷氏の関連作品の中で、はじめてかっこいいと思った。
商業性はかなり低いと思うが(笑)
あと、ジャズとヒップポップの類似性の証明というよりは、
あらゆるジャンルの音楽─ロック、クラシック、ポップス、テクノ、アニソンなどなど・・
─全てが他ジャンルの音楽へと、再構築が可能なのではないか?と聴いてて思ったのは私だけか?
Youtubeやニコニコ動画でもすでに始まっているようだが・・。
【SuperNova】すかさずアニメネタをMPCで叩いてみた。
http://www.youtube.com/watch?v=ZVI36ZLfz2E&feature=related
DQ3で、曲を作ってみた 【ヒャダイン】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1810315
追記
菊地成孔のDCPRGの新譜を聴いた。
ここでも大谷氏が、ラップで1曲参加している。
しかもボーカロイド「兎眠りおん」との競演ということだが、
ボーカロイドのラップは随分あっさりした感じだ。もっと聴きたかったのだが。
使うのが難しく、面倒だとかインタビューで言っていたので、今後は難しいかな?
「だったら声優にオファーすればいいじゃないか」と思うのは私だけか?
今作はSIMI LABなど、かなりラップがフューチャーされているのが特徴だ。
それ以外の演奏に関してはいつものDCPRGだったな、と思ってる私は相当耳が悪いかもしれない。
《SLAVE ROCK / アニメ声ラッパーRANL (ZooRock Remix) 》
http://www.youtube.com/watch?v=u5BktyMneCg
SECOND REPORT FROM IRON MOUNTAIN USA/DCPRG

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