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オノ・ヨーコはおそらく世界で最も有名な日本人である。
故ジョン・レノンの夫人として。そして「ビートルズを破壊した女」としてだ。
松村雄策氏が語るように、ビートルズを知る人間はオノ・ヨーコに対して非常に複雑な感情を抱く。
だが決して彼女だけがビートルズを破壊した訳ではない。その一因かもしれないがすべてではない。
ジョンのわがままとポールの強引さ。ジョージは飽き、リンゴも嫌になった。
他にもアラン・クレイン、フィル・スペクターなど、外部の人間も掻き回した。
結局ビートルズは解散すべくして解散したのだ。後年リンゴが語っている。
「解散したのはあの頃僕らが30歳になっていたからだよ。
若者4人がやっていることがビートルズだったんだ」
大人になれずに解散したビートルズの瑞々しい音楽は今でも売れ続け、マスターピースとなっている。
あの当時ビートルズは間違いなく革命者であった。だが決して先駆者ではなかった。
初めてコンセプトアルバムを創ったとか、録音技術を向上させたとか色々言われるが、
実際は違っている。リアルタイムで聴いていたかまやつひろしや細野晴臣からすれば、
少なくとも初期においてはビートルズは決して新しい音楽ではなかったのだという。
ビートルズの偉大さは「誰もが歌い継ぐポップミュージックを大量に産みだした」ことにある。
その一点なのだ。
オノ・ヨーコの音楽は当時から前衛的だった。
ビートルズにしても、また周りの人間にしても極めて異物であり、まさしく「ノイズ」だったと思う。
その時代からすれば受け入れるのはあまりに早過ぎたし、とてつもない大暴投だった。
彼女は元々前衛アート─今で言う現代美術・現代音楽─の人間だった。
そういうジャンルにおいてはエリート的というか、「分かる人間にしか分からない」という
選民意識がある様で、私みたいな凡庸な人間には分かりづらいものだった。
だがその「ノイズ」が今受け入れられている。
様々なアーティストが彼女の音楽をリミックスしており、
現在、ダンス/クラブ・プレイ・チャートで1位を何度もとっているという。
あのLady Gagaとも共演している(http://www.youtube.com/watch?v=AimU35Qoceg)
ビートルズの再評価が始まったのは80年代後半から。マイルス・デイヴィスは90年代後半から。
オノ・ヨーコは00年代の後半から始まっているようだ。
私にとってこの「BETWEEN MY HEAD AND SKY」というアルバムは
オノ・ヨーコという「ノイズ」が初めてポップミュージックに聴こえた作品だった。