- M/D 上---マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究 (河出文庫)/菊地 成孔
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- M/D 下---マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究 (河出文庫)/菊地 成孔
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2008年に発売された、ジャズの帝王マイルス・デイヴィス論の文庫化。
当時は高価だったので、図書館から取り寄せる形で
2週間で急いで読んだのだが、その論述の深さに圧倒された。
感動してレヴューも書いたのだが、 今回あらためてじっくり読み直した。
今まで検証されたことない分野・テーマを
これまでかといわんばかりに追求しているが、
逆に深く追求することがなくそれまでの研究書の論述を
そのまま追認している箇所があることに、今回あらためて気付いた。
セロニアス・モンクとの喧嘩セッションや
アルバム「ジャックジョンソン」の真実、
またジミ・ヘンドリックスやスライ・ストーンとの交流については
「マイルス・デイヴィスの生涯」(ジョン・スウェッド著作)の
記述そのままなのだが、これらは中山康樹氏によって
事実に反していることが明かされている(むろん出版後のことだが)
74~75年バンドや80年代のアルバム・ライブバンドに関しては
素通りで、本書では実はあまり深く検証されてはいないのだ。
まあアルバム全てを検証・論述したら1冊では済まない量になるのは明白で。
ましてやジャズ史上の名作である「kind Of Blue」を
敢えて触れていないという問題作でもある。
あとがきの中山康樹氏との対談において著者2人も言っているように、
本書はあくまで見立て・仮説によるものであり、
今まで他の人がやったことがない分野をやっただけで
マイルス研究の決定打とはいえないということに今更気付いた。
決して、「間違っているじゃないか」などと言いたいわけではなく。
それはマイルス研究の第一人者である中山康樹氏も同様だと思うし。
つまり、「仮説」から検証しなければ真実が見えにくいという
謎の存在、マイルスデイヴィスという人物の巨大さに
みんな未だに戸惑うばかりであり、
尚且つ更に魅力が増していくという訳で。
いずれにしても両者とも非常に面白く、信頼性がある仮説で、
感想・評価は全く揺らがない。
「ジャズはマイルス・デイヴィスだけ聴いていればよい」
という中山氏の格言があるが、
マイルス研究に関してはこの「M/D」と
中山氏の著作(特に「マイルスを聴け!」)を読んでいればよいと
改めて思ったりした。