バッハ、ヘンデルの次はモーツアルトにします。
11月4日にハ短調というセレナードの異色の傑作を記事にしま
したが、それとカップリングの曲「セレナード第10番 変ロ長調
K.361(グラン・パルティータ)」で、オルフェイス室内管弦楽団の
演奏です。
13管楽器による大規模な管楽合奏で、管楽器の特徴をフルに
生かしたような音色の魅力に、どこをとっても次々と繰り出される
すばらしい旋律一杯の、モーツアルトの魅力溢れる傑作ですね。
先ずは重厚な和音の輝きはすこぶる音が大きい。続くクラリネット
のソロも大きい音。オルフェイスによるこのCDの音響は凄い。
アンプのヴォリュームを下げる。
輝かしい音響のみならず、表現も豊かに見事なアンサンブルを
聞かせてくれます。
第2楽章のメヌエットは、前半がいささか長い感はあるが、中間部
の短調がなんともいい。
第3楽章 映画「アマデウス」で、サリエリが天を仰いでモーツアルト
の才能に感嘆した曲。「雲間から光がさしてくるようだ」だったか、その
オーボエには泣けるね。
第4楽章 このメヌエットのトリオも短調だが、第2楽章のそれが哀愁
ただようのに対して、こちらはやや劇的。
さらに第2のトリオでは、また趣きが異なる。
大変巧みに出来たメヌエットだと思う。
第5楽章アダージォとアレグレットの対照が妙。
第6楽章 主題と変奏でクラリネトットがよく活躍する。
第7楽章 多彩な音楽が繰り広げられたこのセレナードの最後は、
なんと晴れやかな開始で始まることか。はっと驚くような効果を生み
だして鳥肌立つ思い。
しかも中程では、モーツアルト特有の翳りの香りも滲む。
そして最後は、まるでオペラを連想するような音楽で華やかな終りと
なる。
短い終曲に、これほど変化に富む楽想を盛り込むとは、モーツア
ルトの才能にただただ驚嘆の他はない。