- ハレ管弦楽団, シベリウス, バルビローリ(ジョン)
- シベリウス:交響曲第3番
秋にはブラームスの他はシベリウスが似合うかな。
で、シベリウスを一曲挙げておこうと思って、交響曲の
第3番を聴いた。
シベリウスの交響曲に惹かれたのは、C・デイヴィス/
ボストン響の全集からで、3番もよく聴いたものだ。
シベリウスはベルグルンドがいいと聞いたのは近年で
ヘルシンキ・フィルとのCDを買って、それを取り上げて
いる(昨年の5月)。
それで、今日はバルビローリを一度聴いてみようと思っ
た。ハルレ管弦楽団との演奏である。
先ず、テンポが遅めでやや重い感じに思った。
しかし、やがてチェロの旋律になった時、そのやさしさに心
打たれた。確かにベルグルンドを聴いた時も、そこの非常に
含蓄みのある歌わせ方が印象的だったことは覚えているが、
バルビローリのしっとりとした、真心こもったような歌い方に
心を奪われたのである。それは展開部での非常に静かな
弱奏でも感じられた。
第2楽章も遅めのテンポに思う。デイヴィスの演奏でこれを
聴いた最初から、舟歌のような旋律に魅せられたものだが、
バルビローリはただその旋律だけでなくて、低音も効かせて
かなり厚みがある。奥深さと言ってよいだろう。弦の柔らかい
厚みとピツィカートの含みのある音がそれを醸し出している。
第3楽章と4楽章はひとつに繋がって独特であるが、第3楽章
の軽妙さにも神秘性があり、第4楽章も単純な行進曲風の
旋律だが、そこに妙な怪しさが表現されている。
全体を通して、最も幽玄と幻想を感じる演奏ではないか。
デイヴィスはもっとすっきり感が強い。ベルグルンドは・・・・
一回聴いただけだが、非常に入念な表現、それに凄みを覚えた
ような記憶が残っているが・・・・。
演奏:バルビローリ/ハルレ管弦楽団(LP盤)