以前ロジェストヴェンスキーのシベリウス交響曲全集の
記事を見かけて、やや衝動的に買ってしまったCDから
最も好きな第6番を聴いてみました。
一聴して、これは今まで聴き慣れたシベリウスとは大分
異なったものでした。
おおむね、がんがん強奏で押し迫ってくる印象です。
おおまかと言えば語弊がありますが、あまり細部には
拘らずに、ぐいぐい全力で精力的に邁進あるのみ、と
でも言えそうな。そこにある種の険しさすら感じます。
音が硬質なことがそれに拍車をかけているようです。
特に弦がそうで、ヴァイオリン高音は金属的な色合いで
険しい感じを引き立てるようです。
ですから、この6番も叙情的な感じよりも、質実剛健といった
趣きが強いのです。
この印象は、第4楽章で最も顕著で、冒頭の弦の旋律から
かなり強烈です。
演奏が進むにつれて、それは募る一方で、大自然の猛威を
想像してしまうほどです。新潟の地震や台風が襲ったばかり
だからかも知れませんが・・・・。
強風が吹き荒れ、海岸には大波が押し寄せてくるようなすさ
まじさが、この演奏に感じられるのです。
で、最後の静寂さはどんな感じになるのだろうか、と思って
いると、そこは特にそれを強調するというよりも、さっと潮が
退けるように、むしろ簡潔に終わります。
それだけに、これはまた一味違った良さなのかも知れません。
ともかく、装飾を排し、男性的逞しさを感じる演奏でした。
演奏:ロジェストヴェンスキー指揮、モスクワ放送交響楽団