5月13日(土)、京響の第500回定期演奏会を聴きに行って
きました。(指揮:大友 直人)
演奏に先立って、アシスタントコンサートマスターの岡 忠継氏が
4月29日に逝去されたとの訃報が指揮者から告げられ、故人を
追悼するためにバッハの「アリア」がステージの照明を薄暗く落とし
たままの状態で、演奏されました。
静かに終わって、管楽器奏者が登場し、照明も明るくされて、改め
てコンサートの開演となりました。
第一曲はモーツアルトの「ジュピター」交響曲。
しめやかに聴いたアリアの後だけに、力強く感じられますが、まあ
普通の演奏だったと思います。
第3楽章はやや音をセーヴしたように感じましたが、変わって終楽
章はやや速めのテンポで爽快に、かつエネルギッシュな演奏を強調
しているようにに思われました。
「ブラボー」の声と盛大な拍手に指揮者は2回ほど舞台に呼び出され
ました。
休憩の後は楽しみにしていたR.シュトラウスの「アルプス交響曲」
です。大規模な編成だからステージの上は大勢の楽員で一杯。
予習していた通りの音で始まりました。でもやはりチューバの音など
の低音が早くもずっしりと響きます。
登山の旋律はレコードよりも鮮明で、かつ勢いよく感じました。
頂上に達するまでに、しばらくの間は予習した感じとはまるで違う
ように聞こえる部分がありましたが、やがて山頂を極めるクライマッ
クス近くでのオーボエのソロ。 これがなんともすばらしかった。
柔らかく澄んだ音色で、情感が込められてゆっくりと、本当にほれ
ぼれと聴き入りました。
さあ、まっしぐらにクライマックッスへ突入。大編成の音響のすばら
しさを最も感じたところでした。
レコードではクライマックスの音の頂点で第1面が終わっていますね。
興をそがれ、今ひとつ感動を呼び覚まされない大きな原因になって
いたことが分かります。
さらに巧かったのは、雷雨の前の不気味な静けさで奏される、クラリ
ネットのソロと言うか、弱く不気味な旋律。これが先ほどのオーボエに
劣らぬすばらしさ。(第一クラリネットの巧さはいつも思っていたこと)
そして音響的には最も凄い雷雨の音楽。 ほぼレコード通りの音に
感じました。音響のみならず、ここの描写は実にすばらしいですね。
いい感じで聴きいっていると、早くも下山してしまいました。
そしてここからが良かった。大友氏の演奏は、あまり弱奏を強調しな
い点が特徴の一つと思っていますが、やはりここでもそうでした。
むしろ音をしっかりと保って、旋律を明確にして運んでいきました。
回想的に出てくる色々の旋律、その対旋律も各パートの音が、そして
それらの旋律がしっかり聴き取れました。
しかも抑揚がかなりつけられていたので、私の予習で感じたよりも
豊かな情感が込められているように聞こえて満足でした。
オーケストラの音では低音の迫力とオルガンの響きに、レコードとの
違いを最も大きく感じたのは言うまでもありません。
面白いことにチューバに長い帽子のような格好の物をかぶせての演奏
が一部にありました。あれは弱音器なのでしょうか、初めて見ました。
ともかく大編成での大音響、生のすばらしさに接することが出来たこ
とと、こう言っては京響に失礼だが、創立50年を過ぎて遂にここまで
来たか、と感心。すばらしい演奏だったと思います。
京響 ブラボー!!![]()