ドビュッシー フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ | 音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

音に巡る想い(2005~2010) / ビデオ画像と音楽(2011~)

クラシック音楽に目覚めたのはSP時代だった。知人から借りたレコードが
きっかけ。後にLPを集めたりしたが、時に感動して涙した頃が懐かしい
な~。/

主に四季の花や自然の風景などビデオ撮りした動画に、出来るだけ自作のBGMを付けて載せたいと思います。

今日は珍しくドビュッシーを。 ドビュッシーはあまり聴かないのだ
けれども、この「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ

第2番」はかなり特異な曲であろう。 決してとっつき難くはなくて、

とても新鮮で、そのユニークさに 最初驚いたものである。

何がユニークかって、3つの楽器編成が特異ですよね。 そして
各楽器の音色がなんとも巧妙に生かされて絡み合う曲作りには、
まさに天才の成せる技と思うのです。

おもむろに始まるようなハープ、それに乗って出るフルートの幽玄な

旋律。するとヴィオラの音が一瞬重なったかと思うと、そのままヴィオ

ラだけがその音を続けている。はっとするような音色の変化に思わず

息を呑む。
この部分を解説では次のように記してある。
「・・・・重なったmiのなかから、ヴィオラがひとりのこってmiを延長する
ことにより新しい旋律を提示するのだが、このとき、miの音色の瞬間
の変化が、何かほれぼれするような旋律を聴いたのと似たよろこびを
私たちにあたえはしないだろうか。」


短い楽句を気の赴くままに綴っていくような感じに聞こえるが、全体と

しては神秘的・幻想的である。
中程での細かく早い楽想は、森か湖の妖精が現れて、踊り戯れるよう
にも思える。
やがて静まって、妖精たちは深い森の中へと消えるように、この楽章は
終わる。ハープの低音の残響だけがかすかに尾を引くのも、心憎いほど
の幽玄さである。


第2楽章は、妖精の姿を目にした人が、独り空想・妄想に耽っている。
幻想的ではあるが、第1楽章よりは明るさもあり、開放的で、また自由
な趣きを感じる。その人は一体どんな空想を広げていったであろうか。


第3楽章は細かく早い楽句の連続である。気分的には怪しさである。
ヴィオラの音色がそれを醸し出しているように思う。
それは、フルートの奏法に唇を震わせて、特殊な効果を生み出すのが
あると思うのだが、それに似た感じをヴィオラが出している。
楽譜はトレモロなのかどうかよく分からないが、妙に震えるような音の
連なりがかなり多用されている。

もうひとつ、凄い高音をフルートの音の上に聞こえる瞬間・・・多分1小節
分くらいの長さ・・・があって、一体何が鳴ったのかと疑うほどだが、これは
ヴィオラ以外にはないので・・・。 ヴィオラのこんな高音聴いたことがない。


以上3つの楽章のソナタであるが、初めに触れたように、なんと言っても、
奇妙な楽器の組み合わせと、その音色の面白さが大きな魅力であろう。
ある時は3つが寄り添って旋律とやさしい伴奏を分け合ったり、ひとつの
パッセージを途中から別の楽器が受け継いで歌ったり、稀に2つがユニ
ゾンで奏したり。 勿論3つが烈しく協奏するところも・・・。

とにかく、いろいろ混ぜ合わせて、よくもこんなに巧く作れたものか。
ドビュッシー晩年の傑作、と言えるのではないか。


 演奏:クリスチャン・ラルデ(Fl)、マリー=クレール・ジャメ(H)、

     ジェラール・コーセ(Vla) (LP盤)