第65夜
私は共通一次試験以来の大学構内の人になっていた。
行き交う学生の中で話しかけやすそうな、人の良さそうな男子学生に、ブラスバンドの部室を尋ねると、懇切丁寧な説明をしてくれて、迷わずに部室に到着した。
「失礼します、すみませんが、サックスをやってる服部さんはいますか?」
可愛くもブスでも無い女子学生は見慣れない訪問者にキョトンとした顔で
「あ、奥に居ます、どちら様ですか?」
「高校時代の後輩の阿部と言います」
小走りに奥に行くと、すぐに服部さんが姿を現した。
「おー阿部か、久しぶりだな、お前、音大受けたと噂に聞いていたけどダメだったらしいな」
「はい、ちょびっと無理でしたね、短大は受かったんですけど、諸事情で、、」
私としては、『行く気になれば、行けたんだ』と言うところを解っておいて欲しかったのだろう。
強がりが、負け犬の遠吠えにも似ていた。
「で、ウチうけるんだろ?じゃあ練習がてら部員になればいい。」
「いいですか?合奏とかアリですかね?」
「もちろん、定期演奏会にも出てもらう」
「楽しそうです、入ります」
「よし、話しは決まったから、来月、シンカンコンパやるから、来いよ」
「シンカンコンパ?」
「新入生歓迎コンパ!恒例なんだけど榛名湖畔で泊まりだからな、参加費は5000円」
去年の私なら5000円の大金を一泊に使うことなどあり得なかったが、収入のアテが出来て、気持ちに余裕がある。
「いいっすね、わかりました」
予定日を聞くと案の定、土曜日の午後に集合だ。
「あっ、服部さん、俺、クルマ無いんで、誰か乗せて行ってもらえますかね?」
「いいよ、大学から何台かに分乗して行くから、誰かに乗せて貰えばいい、話ししておく、大学出発時間には来いよな、時間厳守」
さて、頭の中で、マスターに如何に休みの話を切り出すか?
勤め始めたばかりだが、責任感は微塵も感じていない私は、嘘偽りなく休む理由を告げようと思った。
次に頭の中では、『なんだか、一泊のコンパは、女子学生との出会いのチャンスでもある。そして、定期演奏会で、キッチリとチューバを奏で、満場の拍手を浴びる』
そんな場面を思い浮かべて、ニヤついた。
そんな私に服部さんは、
「夜は凄い飲み会ニヤついたなるからな、覚悟して置く様に」
私以上にニヤついた顔で釘を刺した。
ACN活動報告
以前、ココアシェイクイットをご紹介しましたね、バンフォーテンのココアパウダーが終わってしまったので、次なる「味変」にトライしてみました。
鉄板だとは思ってましたが、バニラ風味に挑戦。
一、二滴プラスする事で、
「シリアルフレーバーがチョット、、」と言う人にも飲みやすくなりますよ。
是非ともお試し下さい。
これからも、いろんな味変に挑戦していきます。