各地に大きな被害をもたらした熊本地震。

 


4月14日の前震はなんとか耐えきった我が家も、16日の本震時には倒壊とまではいかずとも本棚食器棚は倒れ、散乱した中身が床を台所を埋め尽くし、屋内での寝食は不可能な状態に。幸い駐車場は広けて安全だったため、前・本震時には妻子とともに車中泊とあいなった。

 


「車でねるのたのしいいい!」

 

 

そんな逞しい長男(5)も本震後の朝には「あきた!」とのたまい、職場も都合よく震災休業となったことで

 

同じく熊本市内に居を構える兄一家と共に、安全な田舎の実家へ避難することになった。

 

 


仕事場はもとより、学校・幼稚園の再開の目途が立たないこの状況。不安を抱える大人たちをよそに、供たちは無邪気に再会を喜び、田舎の広い家の中を「ヒーローごっこ」で跳ね回る。

 

甥(7)
「おれ仮面ライダーウィザード。ショウタイムだ!」

 

長男(5)
「じゃあぼくはゴーズト! いのちもやすぜ!」

 

姪(3)
「あたし、カニかいじん! かにかにー」

 

次男(1)
「まんま」


「中佐おじちゃんは、街の人ね」


うわー、ライダー助けてー。配役おかしくね!?

 


必殺技の巻き添えを食らうわ、興奮した一歳児が足元をうろちょろして危ないわ、居間の写真立てはひっくり返すわで、震災のことを考える暇がない。全くこういう時の子供というのは…

 

 

 

 

実にありがたいものだ

 

 

 

 

…?

 

 

ふと、長男の様子がおかしいことに気付いた。ついさっきまで必殺技を叫んでいた口を閉ざし、甥の呼びかけにも答えず、何やら考え込んでいる。

 


いきなりどうしたというのだろうか。とりあえず長男一人を居間から別の部屋に連れ出す。

 

 

具合でも悪いのか? 必殺技が痛いとこに当たったのか?

 

 

首を振る彼の手に、ひとつの写真立てが握られているのが目についた。おお、懐かしい写真だな。

 


「おとうさん」

 

 

そういう息子の目は不安と非難に満ちている。

 

 

「だれとけっこんしたの?」

 

 

……質問の意味がわかりませんが?

 

 


写真は間違いなく私と妻の結婚式のものだが。

 

……ああ、そういうことか! 腑に落ちた!

 

 


この女の人に眼鏡をかけて、髪をおろしたら……さあ誰だ?

 


「…わかいおかあさんだ!」

 

 

私が何か言う前に、長男は腰に腕を回ししがみついてきた。私の腹に顔を埋め、小刻みに震えながら。

 

 

「ぐへへへへへ」

 

 

気色悪っ!

 

 

「だましたな!だまされた!」

 

 

とんだ濡れ衣だが、そういえば今まで結婚時の写真を長男に見せたことがなかった。結婚式の女性の晴れ姿は、五歳児には別人に見えてもおかしくはない。

 


お父さんが別の人と結婚したと思ったのか?

 


顔を見せないまま頷く息子の頭に、そっと手を置いた。

 


口には出さないが、彼も今回の地震で不安を抱えていたのかもしれない。そんな時、いつの間にお父さんが結婚⇒別の人がお母さんに⇒お母さんがいなくなる!? と早合点したのだろう。その思い込みの激しさは誰に似たんだ。私かそうか。

 


「おかあさんとけっこんしといてね」

 


お母さんがお父さんを嫌いにならない限りは大丈夫です。

 


「おとうさんは、おかあさん好き?」

 


勿論。心配しなくても他の人と結婚したりはしません。

 


そう言うとようやく安心したのだろうか、顔を上げた息子の目にはいつもの光が戻っていた。しかし、その視線はなぜか私の後ろに向けられている。

 


…で、妻よ、いつからそこに?

 


「ぐへへへへへ」

 


息子よ。

 


「なに?」

 


お父さん、死にたくなった。

 


「いきろ! いのちもやすぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


写真の背景には、熊本城が映っている。

 


今回の地震で天下の名城も大きな被害を受け、しばらくは同じアングルで撮ることはかなうまい。

 

城が再建される頃には息子たちも大人になっているに違いない。あるいは結婚し、孫も生まれているかもしれない。

 

 

 

 


そうだな。

 

 

 

 

 

少なくともその時までは

 

 

命燃やして生きるとしよう。

今日は長男の年中の修了式。早いもので春休みが明ければいよいよ年長組である。「お“が”あ“さ”ん“ん”ん“」と泣き叫んでずっと先生に抱きかかえられていた入園式が、まるで昨日のことのようだ。


「おぼえとらんもん」


ビデオに録ってあるもん。見せようか?


「ダメ、ぜったい」


そのことを黒歴史と思えるほどに成長した我が子を嬉しく思う。


年少時は心配した息子の識字力も、年中ではなんとか平仮名は判るレベルになり、絵本も自分で勝手に読んでくれるので随分と手がかからなくなっていた。


「そういえば、いっちゃん(♀)からおてがみもらった」


年中~年長の識字率が飛躍的に向上するこの時期、幼稚園では特に女児の間で“おてがみ”が流行りだしていた。奇妙なことに私にはこの時期はおろか青春時代に至るまで女の子から“おてがみ”の類をもらった記憶がないのだが…まあおそらく記憶喪失だ。

それで、なんて書いてあるんだ? あそんでくれてありがとう、か? 来年も一緒のクラスになれたらいいねとかか?


「だ、い、す、き、だって」


はっはっは、見栄を張るでないわ。…本当だよ。


「どうすればいいかな?」


爆発すればいいと思うよ。


ぼーん。…おへんじかいたほうがいいよね」


礼儀として絶対書きなさい。


「“ぼくはきょうりゅうがすきです”でいい?」


お前は平仮名は読めても空気は読めないよな。


「おかあさんにもおなじこと言われた!」



いっちゃん(5)は長男にとっていわゆる『幼馴染』というやつだ。同じ幼稚園でクラスも一緒。妻同士・子供同士お互いの家を行き来するのは勿論、父親同士もゲーム仲間という、貴重で良き関係を築けている。

この年頃の女の子の「好き」は挨拶みたいなものだ。他にも仲の良い男児はいるし、決して息子が特別な存在というわけでもあるまい。男女問わず、仲の良い友達には同じような“おてがみ”を出しているのだろう。あれ、そう考えると私には女友達の一人もいなかったということに。


「じゃあ、お母さんがお父さんにラブレターをあげよう」


え、本当に。いきなりどうしたんだ? 内容によっては3人目が産まれるぞ。

長男
「なんてかいてあるの?」


豆腐一丁、牛乳、玉ねぎ3個、豚肉500グラム。

長男
「よかったね!」


…そうだね。一緒に買い物行こうか。

長男
「ガチャガチャやっていい?」


ダメ、ぜったい。






「あ、ゆうちゃん(長男のあだ名)だー」


近所のスーパーで噂の魔性の女いっちゃん(とそのパパ)と遭遇。タイムセールになるこの時間帯は幼稚園のママ友方ともエンカウント率が非常に高い。しかし今日はお父さんが買い物担当ですか。

いっちゃんパパ
「たぶん、中佐さんと同じ理由で」


そう言う彼の手の“ラブレター”に、苦笑いしか出てこない。

いっちゃん
「ゆうちゃんのおとうさん、こんにちわ」


お久しぶり。年長になっても息子をよろしくね。

長男
「まかしとけ!」


お前じゃねえ。


長男
「おとうさん、いっちゃんと行ってきていい?」


お父さんの索敵範囲から出なければよし。

いっちゃん
「ゆうちゃん、手つないでこ」

長男
「いいよー」






いっちゃんパパ
「イチは本当にゆうちゃんが好きなんですねえ」


あんなんのドコがいいんでしょうねえ。あ、戻ってきた。

長男
「おとーさん、なにかうの? もってくるよ!」


あー、とりあえず爆発しとけ。


長男
ぼーん!」

いっちゃん
ぼーん!」



手をつないだまま早足で去っていく二人の背中に、いっちゃんパパがぽつりと呟いた。


「ああゆうとこでしょうかねえ」











そうですね。




実は私も好きです。



先日金曜ロードショーでかの名作『ジュラシック・パーク』が放映されてから、恐竜をこよなく愛する我が家の長男(4)は、暇さえあれば毎日のように録画したそれを観るようになった。



けっこうスプラッタなシーンもあったりしたため観せる前はまた恐竜嫌いになるのを危惧したが、どうやら平気だったようだ。


息子
「にんげんって、おいしいのかな」


別の危惧も出てきたが。





「続きは?」というので続編を観せてみると


「ロストワールドはずっとくらかった」


「Ⅲはきょうりゅうが出ないところはいらなかった」


意外に的を射た批評をして、わが子の成長に驚かされたものである。






そんなある日こと


週末の家族サービスの予定を息子に相談すると、案の定言いだした。


「ジュラシック・ワールドがみたいです」



そりゃあんだけCMしてればこの子が食いつかないわけがない。




映画館独特の暗さ・大音量という幼児が嫌がる演出などものともせず、先日あっさり映画デビューを果たした彼であるが、一時間程度で終わる戦隊ヒーロー物とは違い、今度は2時間長編パニック映画である。飽きないか?


「ポップコーンがあればだいじょうぶ」


おねだりも知恵がついてきてお父さん嬉しいよ。








9/13(日)


次男(0)を妻に任せ、30分の距離にあるシネプレックスまで息子とドライブ。



「なにか“おはなし”しながらいこう!」



うむ、よかろう。話題を振りたまえ



「きょうりゅう、ぜつめつしましたねえ」



新しいな。世間話をする時のとっかかりは天気の話だろう。



「きょうは、はれ」



秋晴れだよな。


平和だなあ。



「ときどきいんせき



大災厄だなあ。そのどうしようもない恐竜脳はお父さんのせいなのかなあ?








家の近場にも映画館はあるのだが、せっかくなので今回は少し離れた市内まで足を延ばしてみた。10年ぶりくらいに来たそのシネプレは、周りのテナントもレイアウトも少しも変わらず郷愁を刺激する。


懐かしいな。ここはお母さんと結婚前にデートで来たことがあってね。


「おとうさん、はやくいかないときょうりゅうになっちゃうぞ!」


興味ありませんかそうですか。






カウンターでチケットと席を選ぶ。私としては字幕版、できれば3Dで鑑賞したいところだが、4歳時と一緒ではそうもいくまい。


「ぼく、じまくでもいいよ」



漢字読める?


「『火』とか『水』はわかる」



英語判る?


「へろー、ぼく、いぐあのどーん」



日本語吹き替え2Dでお願いします。席は通路側で。


「ポップコーンも!」








9月時点で興行収入80億越えの大ヒット映画も、2D日本語吹き替え版はやはり人気がないのか観客も10組程度。しかも


「こどもばっかりだねえ」


多分、お前が最年少だよ。





私たちが選んだのは中央列の通路側。すぐ前の席には、父娘連れが座っている。息子に気付いた女の子が背もたれから顔を出して手を振ってきた。息子よりひとつふたつ年上のようだ。


女の子
「こわいよ? 大丈夫?」



ああ、この子は今から始まる映画が不安なのだろうな。もしかしたら恐竜好きのお父さんの付き添いで嫌々来たのかもしれない。自分より年下の息子と話すことで、不安な気持ちを共有して少しでも気を紛らわせたいのだろう。


さて、息子はどう返すかな。


息子

「きょうりゅうはぜつめつしましたので」


……そうきたか。


女の子

「映画の話だよ。人が食べられるかも」


息子

「ぜつめつ、しましたので!」


女の子
「…………」



隣の父親がすいません、と頭を下げて女の子を前に向かせた。いや、こちらこそすいません。




息子よ、お前は少し女の子との会話を勉強したほうが良いな。


息子

「ていねいに言ったよ?」


大事なのはそこじゃない。







映画が始まってしまえば、流石はスピルバーグ監督。飽きさせない展開で普段は気が散りがちな息子を『ほぼ』釘づけにしてくれた。例外をネタバレしない程度に記す。






―『4歳の子供には難しい恐竜の名前は覚えにくい』といった内容のセリフのシーン―



「ぼく言えるよ。『あーけおぷりてくす』でしょ、『ものろふぉさうるす』でしょ」


凄いな、静かに観よう






―恐竜が人間を探すシーン―


「きょうりゅうは目より、はながきくんだよ」


物知りだな、静かに観よう。






―恐竜が人間の死角から襲い掛かるシーン―


俳優
『うわあああああ』


女の子
「きゃあ!」


女の子のお父さん
「うおおっ!」


息子
「すきあり」


ぶふぉっ


私と前のお父さんが同時に噴き出した。





―クライマックスシーン―


息子

「おとうさんトイレ」


あー、いいところなのだがまあ仕方無いな。


女の子
「じゃあ私も」


女の子のお父さん
「なんとな!?」


なんか、ごめんなさい



~トイレ終了後~



よし、早く戻ろう。良いシーンを見逃すぞ。


息子
「あの子のトイレおわるまでまつ」


なんとな!?






映画の内容についてはネタバレになるので語らないが、過去3部作と比べても格段に面白かった。恐竜好きの方々のみならず、ぜひ観て欲しい映画である。






映画から戻ったら、余勢を駆っていつものように恐竜ごっこを始めるだろうと思っていた。


「むしとりにいこう!」


おや、珍しいこともあるものだ。







最近は幼稚園では虫取りが流行りだしたらしい。



聞けば仲の良い友達もみんな恐竜から離れていったようだ。今は恐竜博士の息子も徐々に興味を失って、友達と次々に新しい趣味を見つけるに違いない。



そうやって好きなものが移り変わるのは、最終的な『夢』を見つける為の大事な過程。



少し寂しいが、恐竜ブームに付き合うのもあとわずかだろうな。


「バッタのにおいがする!」


そんなの判るのか?


「ぼくは目よりはながきく!」







あと1か月で、彼は5歳になる。積み重なる楽しい日々の思い出で、彼は今日のことを忘れてしまうかもしれない。それは仕方のないことだ。




私は忘れずにいよう。


その為に、ここに記事を残す。




そしていつか大きくなった君と、今日観た映画の話をするんだ。


恐竜展を満喫したその夜のこと


それは唐突にやってきた。




何かお腹の調子が悪いな、とトイレに向かった途端、不調は激痛へと一気にメガ進化。痛みで一歩も歩けなくなってしまったのだ。



全身の毛孔から脂汗が噴き出し、肌着はもとより寝間着代わりのジャージがあっという間に裾までぐっしょり濡れ、まともに声を出すことも出来ないまま蹲る。



妻が私の顔色を見て異常事態に気付いた。顔面蒼白だったようだ。


「病院連れて行こうか?」


少し様子を見よう。今は一歩も動けん


長男

「おとうさん、だいじょうぶ?」


おう息子よ。心配ありがとうよう。


「なんかうまれるの?」


何か勘違いをしているようだが。




一時間ほどトイレの住人と化していたが一向に痛みは治まらず、噴き出す汗は床に染みをつくるほどになっている。


これはさすがにまずい。


とはいえこの状態のまま自家用車で外来というのも厳しい話だ。




やむを得まい。


この日、生まれて初めて、私は救急車のお世話になることに決めた。







駆け付けた隊員さんに支えられて、どうにか担架に体を横たえる。お隣さんが何事かと顔を出すが、愛想笑いする余裕すらない。



救急車の外で隊員さんの声が聞こえた。妻に搬送先を伝えているらしい。


隊員さんの声
『旦那さんを○△□病院に連れて行きます。小さなお子さんもいらっしゃるようですので、準備が出来たら緊急外来へいらしてください』


妻の声

『わかりました』


息子の声

「なんで●▼◆びょういん(産婦人科)じゃないの?」



まだ勘違いをしているようだ。







救急車での移動中、自分なりにこの痛みの原因を考える。



とりあえず今のところ私一人にしか症状が表れていないのは不幸中の幸いだ。妻や息子が痛みでのた打ち回る姿など想像したくない。



まず考えられるのは食中毒だが、朝・昼・晩と家族で同じものを食べている。私だけがアタるのはおかしいだろう。


隊員さん
「何か変なもの触ったとかありますか?」



昼間に恐竜展に行きましたが、別に変なものは…とそこまで考えて気が付いた。


アンモナイトの発掘体験。私一人だけ化石に触っている。



「そのあとで手を洗いました?」



洗ってないどころかその手でフライドポテト食べました。てへっ。




え、まさかあれが原因なのか!?


あれに太古の菌か何かが付いていて、いま私の体を蝕んでいるというのか!?


ちょっとワクワクしてきたぞ←でも痛い



スパイダーマンだって蜘蛛に噛まれて特殊能力を身に着けた。


ということはこの痛みを乗り越えたらアンモナイトの力が!アンモナイトの力ってなんだ?カラに閉じこもる?超いらねえ




それから『アンモナイトは…なーんもないと』などとパプワくんの親父ギャグを思い出したり



一青窈の『アンモナイト』がリフレインしたり脳内がアンモナイトで渦巻き状態。なんて歌詞だ天才だよ一青窈。でも今は消え去れい







救急病棟に搬送され、採血、CTスキャン、点滴、一通りやっているうちに、痛みどめも効いてきたのだろうが随分と楽になった。




診断結果は腸炎。



「三日くらいで治ります。退院してオッケーです」


大して重病でもないのに、大騒ぎした自分が何か恥ずかしいが、とりあえず無事に妻子のもとに帰れたことを感謝しよう。特殊能力は目覚めなかったが、アンモナイトの能力は別にいらない。




「次からは気を付けなさいね」


はい、次はもっと恰好良い恐竜の化石を


「手を洗えむかっ




本当にごめんなさい





男のロマン。



それは男の中に死ぬまで消えずに存在する、憧れや夢や理想やファンタジー。


具体的にはドリルとかヒーローとか巨大ロボットとかそんなやつである。基本的に男の子は強くてでっかいものが大好きなのだ。○っ○○の話ではないので念のため




そのロマン志向の一角に常に君臨する、古生代に実在し、かつて地上を支配した絶滅種。


直立歩行型骨格爬虫類(なんかこういうと○ヴァっぽい)――そう『恐竜』である。




―長男が2歳の頃―


「恐竜が嫌いな男はいない」という自論に基づき、熊本県立美術館で開催された『大恐竜博』に連れて行ったら、大泣きしたあげく返ってトラウマを抱えてしまい、結果彼はしばらく恐竜嫌いに、私は親族から大目玉を食らってしまった。




その反省を踏まえ、ヒーローに興味が出てきた頃合で恐竜をモチーフにした戦隊物を見せ



毎晩のように恐竜図鑑を読み聞かせ



4歳になった今では、おもちゃも恐竜、ごっこ遊びも恐竜、レゴブロックでも恐竜、平仮名もまともに読めないのにやたら難しい恐竜の名前は言えるという、恐竜偏愛志向の子供に成長した。


狙い通り、むしろやりすぎた。






さて、そんな息子も夏休みに突入した最初の土曜日、彼にせがまれて行ってきました、御船恐竜博物館『羽毛恐竜の世界展』。







無論だが、私も男子として生まれた身。恐竜と見ればテンションが上がらずにはいられない。


恐竜だー!


長男

「うおお、きょうりゅうだー!」


「そこの二人、公共の施設で騒がない」



妻よ、覚えておきなさい。大人になるのは女性だけ。男は皆子供か老人なのだ。


「騒いでいい理由になりません」


もっともだ。




興奮気味の長男は暴走しないよう妻と首輪手を繋ぎ、私は生後半年の次男(爆睡中)を抱っこしながら特別展示ブースを巡る。奥の方から響く肉食恐竜の鳴き声がBGMだ。





これはあれだ。ドロマエオサウルス?


「“こえろふぃしす”じゃない?」


「お母さん、ついてけない」







「これはでんせつの“いぐあのどん”!」


「お父さん、変な言い回し教えないで下さい」


なぜ私が犯人と判った。







そして恐竜の花形・ティラノサウルス(ロボット)。BGMの正体はこれである。全長10メートルは実物より少し小さめとはいえ、実に見事な出来栄えに、息子が齧りついて離れない。



お、息子よ、そっちにアンモナイトの発掘体験ブースがあるぞ。見に行こう。


「ティラノみてるから、いい」


なんだとう。肉食恐竜がそんなにいいかっ!? まあいい、父の発掘さばき(?)を見れば彼も気が変わるだろう。見よ、この日の為に会社の先輩から借りてきた秘密道具『化石発掘専用ハンマー』!(CV・大山のぶよ)



注意書き『砂の中に化石が埋まっているので、専用のハケで砂を取り除いて見つけてみましょう』


ハンマーいらねえ。元々使う機会すげえ少ないのに。ガンダムハンマーと同じくらい






常設展示ブースに移動。





恐竜ファンには堪らない、圧巻のオブジェである。恐竜にはさほど興味のない妻は、興奮度最高潮に達した息子に「あれ見てあれ見て!」と、ばんばん叩かれて痛そうだった。



「これなーんだ!」


「頭の形が凄いねー。頭突きサウルス?


「“ぱきけふぁろさうるす”! はくあきのそうしょくきょうりゅう!」


「これはお母さん知ってます。トカゲです


「“でぃめとろどん”! さんじょうきのにくしょくきょうりゅう! ちゃんとおぼえて!」


「お父さん、凄く面倒くさいです」



貴女も大概だけどな。







帰り際、露店で買ったフライドポテトを長男と分け合いながら、恐竜談義に盛り上がる。興奮冷めやらぬ息子の手には、お土産に買ったブラキオサウルスのフィギュア。



「こんどいついく? あした?」



はええよ



そうだな、新しい恐竜が発掘されたらまた来よう。



「じゃあ、ぼくがようちえんでほる!」



そうなったら、次こそ日の目を見れるなあ、化石発掘専用ハンマー。













何万年後かしたら、人類も化石になって次代の知的生命体に発掘されるのだろうか。



彼らはどんな姿をしているのだろう。それこそ恐竜みたいな姿をしているかもしれない。



彼らにもブログみたいのものがあって『息子にせがまれて人類博物館に行ってきました』『うおお、ホモサピエンス発掘うう!』とか書くのかもしれない。







それもまた、壮大なロマンである。




パツキンさん


リサキングさん


むうみんさん


風姿さん


ケルベロス商会さん


フトシボさん


単車男さん


LADさん


食らうの洋子さん


つくね乱蔵さん


いぶさん


G-RX殿



そして、秋雨殿








皆さんと撮った集合写真を眺めながら、ふと思い出す。




それはもう10年近く前のこと。




当時は私もまだ独身で、あの頃の日課と言えば、外人部隊を叱咤する事、意中の人(現・嫁)の気を引くこと、そして前の職場を覗いては秋雨殿の仕事の邪魔をすることだった。



「中佐、これ読んでみ」



いつものようにふらりと業務妨害に現れた私に、秋雨殿が教えてくれた『ブチ抜き日誌』







その日に読んだ『悪来』の鮮烈な衝撃は、今でも昨日のことのように思い出せる。


Gを介して電話番号を交換し、初めて話した時の緊張は、今でも体が覚えている。


ただモンハンをするためだけの上京で、初邂逅。


息子が生まれた時に送ってもらったレゴブロックは、今や息子の一番のお気に入り。






DUOBLOGの黎明期にあって、すでにトップブロガーに名を連ねていた『パツキン』殿。対して私はと言えば、箸にも棒にもかからない末端のブロガーの一人。それが縁を重ねていま彼の結婚式に参加しているのだから、全く人生とはわからない。






     『今日は来てくれてほんとにありがとう』


     こちらこそありがとうございました。







こんな日がたまにあることで、また今日も人と繋がる明日を楽しみに生きていける。














熊本に戻り我が家のドアを開けると、息子がいつものように脚に絡みついてきた。


「おとうさん、おかえりー」



生きている限り人との関わりは避けられず、必ずしも良い出会いばかりではなかったけれど、振り返れば人生の節目節目に必ず何かの、或いは誰かの助けを得られてきたことは、恥多き私の人生の中でも胸を張って誇れる足跡だ。



いつかこの子にもそんな出会いがあるだろう。願わくば、君がそれを大事に出来る人になってくれますように。



「おとうさん、なにしてきたのー?」



んー?

















“ワルモノ”に会ってきたんだよ
















                                           東京事変 完

過去経験したことのないオフ会の、気持ちの良い熱気も冷めやらぬ翌日。新婚夫婦に分かれを告げ、九州組(私・秋雨・G-RX)は顔を見合わせた。




「行くか」







そう、秋葉原である。







ヲタだトリオだ変態だと虚名ばかりが独り歩きしている我らであるが、実際はどこにでもいる田舎の純朴な紳士集団。


ラブライブビルやAKBカフェには目もくれず、電気店やガンショップ、ケバブ露店を巡り歩く。


うむ、これぞ秋葉原の正しい散策よ。しかし、くのいちプレイには若干興味が←紳士





高性能を謳いながら、捨て値で売ってある中国製の怪しげなカードリーダー。


毎日の珈琲生活のお供に『笑い男』マグカップ。


駅前のガンダムカフェでは『名ゼリフクッキー』を購入。これはいいものだ。「名店銘菓のパラダイス東京に行って何故ガンダム!?」、と突っ込む恐れのない兄夫婦のお土産にする。




やばい、楽しい、聖地・秋葉原。半日で堪能するには時間も費用も足りな過ぎる。しかし搭乗時間も近づいてきた。そろそろ空港に移動せねばチェックインに間に合わん。



「ヨドバシに実物大のエントリープラグがあるらしい」


よし、見に行こう。







結果、3人揃って



搭乗手続きに間に合わず。






大失態である。特割サービスを使ったので便の変更は聞かず、このままでは通常便を購入するしかないが


「41390円です」


往復分の特割チケットより高え。流石にこの出費は痛いどころか失血死。



何とかせねば。ここは秋雨殿の無垢な瞳で魅了…いやG-RX殿の野生の男臭で誘惑すれば、いっそ三人でジェットストリーム土下座アタックを。



「ただ、一応離陸前には来られたわけですから、今回は次の便に変更いたします」



ほっと胸を撫で下ろすと同時に、窓口のお姉さんの冷ややかな口調にちょっとゾクゾクしたことは秘密だ。←紳士



















ちなみにこの日以降



私の名刺入れが変わっていることに気付いた者は、まだいない







結婚式より遡ること5日の9/23、コマンダーGより2次会奇襲作戦の概要が関係者へ通達された。



パッちゃんをダルシムに

RADをザンギエフに

フトシぼさんをサガットに



奇襲作戦というか、もはやただのコスプレ大会である。私の役割は…まさかベガをやれとでも!? 筋肉量が圧倒的に足りないぞ!? 負の波動はともかく



中佐にはコントローラーを持ってきてもらいたい。



息子が生まれてから据置き機を使わなくなったからな。ファミコン、スーファミ、

ゲームキューブ、プレステ何でも揃ってるが、一番必要な『息子を操るコントローラー』はない。



ストⅡネタをやれば乱蔵さんが「エドモント云々」と言うはず。


そこで中佐がコントローラーを持って「じゃあ私がエドモントを使いましょう」と




親愛なるGよ、この際言っておくが、言えば何でも叶うと思うなよ






その夜、結婚時に嫁が実家から持ってきたシャア専用コントローラーをキャリーバッグの底に忍ばせた。




そしてパツさんがダルシムに変身させられている途中で、ホテルにコントローラーを忘れたことに気づく。




G-RX

「だから中佐には全面的に任せられねえんだよ」



と悪態を付きながら、さっと自分のコントローラーを投げよこすG。一瞬、やらなくて済むかもと考えたがそんなに甘い男ではない。



中佐

「ら、乱蔵さん、エドモンドで参戦…」



ぎらり、と乱蔵氏の双眼が見開かれると、その巨体がすっくと立ち上がる。本日何度目か、死を覚悟した。ダメだ、G。やはりここは豪鬼で行くべきだったぞ(違



乱蔵氏

「どすこい」



やるんかい。








ブログを介して知ることなどたかが知れている。







大観峰の時といい今回といい、乱蔵氏はわたしが思っていたよりずっとずっと













素敵な方だった。


















喰らうの洋子氏

「あ、うち春麗やれるかも」



貴女は全部のイベントを喰らう気か。





関東関西九州のブロ友がキャラバン組んで黄昏の繁華街を歩く。都会でも熊本の田舎町でも夕暮れ時の風は変わらず気持ちいい。



2次会場への道程、一人別宿となる洋子殿の荷物をアイスコーヒーのお礼がわりに引き受ける。



どうせ荷物はホテルに置いて手ぶらの身、バッグくらいお安いものだが、彼女の荷物は他にもピンクのスーツケースもあった(こちらは乱蔵氏が引き受けていた)。ドナルド衣装を踏まえても少々大きすぎる感が否めない。


…詮索はやめよう。さすがに野暮だ。







掘りごたつ式の座敷にて



DUOブロガー・オフ会、開幕。




正面にいぶさん、右手に洋子殿、左にむうみんさんと、DUOの名だたる名花に囲まれて、なかなか女性と飲む機会などない私は少々落ちつかない。どんな話をしたものだろう。


そういえば、先日ドラム型洗濯機を買いまして…誰が興味持つ!? 


同じ洗濯機を買っていたむうみんさんが相手してくれました。感謝!






G「スーパー!」


ぼどよくアルコールが回ったところで、唐突に海賊コスプレショーが始まる。


我らが九州支部長・Gが扮するは“変態サイボーグ”。


海パンではなく短パンなのは流石に女性陣を憚ってのことだろう。いつもながら実に紳士的な変態である。






次はフトシぼさんの“狙撃の王様”。



もはや何年越しになるだろうか。フトシぼさんがかつてGに発注したそげキングマスクが、ついに日の目を見る瞬間がやってきたのだ。







そげキングである。


クオリティ低いとか


フトシぼさん可哀想とか色々意見はあるが





私はこれで大正解だと思った(腹痛えwww








ここまではGからの情報や「なう」で予想していた展開だったが、ここで意外な人物が海賊ショーに名乗りを上げた。



「ウチも入る~」



まさかの谷間王下七武海、降臨







女帝「図が高い!」


男性陣

「「ありがとうございます!」」




女帝「女性限定でお触りOKです」


女性陣

「「ありがとうございます!」」








撮影会と秘密の宴は一段落したものの、着替えることなくそのまま席に戻られあそばした食らうの女帝の谷間が視界の端に入り、正直目の置き所に困ることはなはだし。


目の前につくね夫妻もいるというのに横目でチラチラ見たりしては紳士・中佐のイメージは失墜だ。冷静になれ。そして考えるんだ。いかに自然に、かつバレずに。



G「なんなら中佐、席変わるぞ」



ありがとう!でも変態には譲らん。そんなことよりそのサングラス貸してくれ。それで万事解決だ。


いかん、メロメロの実の影響で我を忘れている。とりあえずおっぱいのことは頭から離そう。円周率を数えるんだ。π=…離れてねえ!落ち着け私、そげキングを見て冷静になるんだ。ダメだ。面白すぎる!



「おっぱいは断乳すると小さくなるのよ」



ここでいぶ先生おっぱい講座開催


やたらと食いつく喰らうの女帝と身を乗り出して耳を傾けるむうみんさん。その三人に挟まれる形の私は一体どうしたらいい。とりあえず真剣に聞いとこう。





『僕は硬派な男になるのが夢なんだ』。



幼き頃、幼馴染に偉そうに語った自分は今、美女に囲まれておっぱい講座受講中。友よ、大丈夫。私はけして夢を忘れてなどいない。今はちょっと寄り道中なだけで。



女帝「中佐さん、中佐さん。こんなものがあるよ~」







何でこんなの持ってるの!



女帝「着てみる?」



私の夢は海軍将校になることでした!(どん)




G「ちょい待て、それは将校用だ!佐官級には権利ないぞ」


本日付で4回級特進で中将になりました。文句ある奴はバスターコールで空中戦艦デコポンからの一斉砲撃により一匹残らず駆逐する。






○っ○い正義の名のもとに!




紳士にあるまじき発言の責任を取って、4階級降格します。










ちなみにタイトルを見て卑猥な読み方をした方は責任を取って













流行らせてください。




曲が終わる。



全員が一斉に、盛大に、心を込めて手を打ち鳴らす。



幸せな余韻を背中に感じながら、私は洋子殿とそっと会場を後にした。フィナーレの感動を味わえるのは出席者の特権だ。もう十分。もうこれ以上いてはいけない。





「良い式やわ」


その短い言葉に万感の思いを込めて。躊躇うことなく頷いた。




人生は幸と不幸の天秤が常に揺れている。よく結婚式で使われる“幸せのお裾分け“というのは、関わった方々にその天秤を僅かでも幸せ側に傾けて欲しいという願いの言葉。




確かに傾いたよ、ありがとう。






やがて上階から扉の開く気配がする。ひとつの祭りが終わり、幕間の時間がやってきた。









「ご無沙汰しています」と笑顔で近づいてきた青年の頭には黒のボルサリーノ。




参考画像























実に良く似合っているが、私にはあいにくヒットマンの知り合いはいない。とりあえず死を覚悟した。



「“単車”ですよ()


うん、分かってたけどねっ←大嘘。

4年ぶり! 眼鏡どうしたんだよう←照れ隠し。



単車男。私が先輩面出来る数少ない年下のブロ友であり、バイク仲間であり、狩友でもあり、妻帯者の悩みをも相談できる()貴重な人材だ。たしか業種も私と同じバイク関係だったはずだ。


「最近転職しまして」



そうか。でも殺し屋はよくないぞ





RADさんを除き、初めてお会いするブロ友ひとりひとりに改めてご挨拶させていただいたのもこのタイミングだった。




むうみんさん。


私の育児関係のなうにコメントを頂いたのをきっかけに、ブログを覗かせていただくようになった。その日溜まりのような記事には「母」の優しさと強さが溢れていて、読んでいてとても心が温かくなる。その書き手はお会いしてみたら想像の通り、『良母』の気品に満ちていた。


息子の成長を何かと気にかけてくださってありがとうございます。お会いできて光栄です。





風姿さん。


お互いのブログでの交流は皆無に等しかったが、実は結構昔から(多分お互いに)記事を覗かせて頂いていた。喩えるなら『いつも同じ電車で見かけるのに話しかけたことのない、でも気になるひと』か。ちなみに生まれてこのかた一度も電車通学の経験はない。


知的で品のある記事そのままに、『賢母』という表現がふさわしい大人の女性だった。強い目力がどこか妻に似ている。


私にはわかる。この人の“引き出し”は桁外れだ。





ケルベロス商会さん。


女性陣の中では一番付き合いが古く、常に変わらぬ記事スタイルへのこだわりと、簡潔で深みのある内容は大いに手本とするところだった。白と青のワンピースを着こなしたピシッとした立ち姿のケルさんは、想像よりもずっとずっと美人で…てゆうかこんな人がモンハンやってるのか。『こんがり肉忘れたあ!』とか言ってるのか。

これがギャップ萌え!


私が「けるべろすしょうかいさんですか?」と確認すると「フルネームはやめてっ」、と顔を赤らめていらしたのが、失礼な言い方だがとても可愛らしかった。


ブログで「ケル姐」などと気安く呼んで申し訳ありませんでした。お目にかかれたので、今後は気兼ねなく気安く呼びますねケル姐








最後に降りてきたのは、黒焦げのアフロショッカーと、黒焦げのヒーロー(の残骸)。



私にはあいにくこんなドリフな知り合いは…いたよ。



「やりきったぜ!」


「じゃ、着替えてくるわ!」














今日この日を境に




この愛すべき独身男達の人生の天秤が









少しでも恋愛側に傾きますように