二けた×一けたのかけ算の筆算は、前期(一学期)に学んでいます。
ここで積み残しがあると、二けたどうしのかけ算には進めません。
九九は覚えているので、間違えないだろうと思いがちなのですが、ここに落とし穴があります。それは位取りの位置と繰り上がり計算です。
ていねいに作業をする子なら間違いにくいのですが、筆算は手書きなので、位取りの位置を間違えたり、繰り上がりの小さな数字を変なところに書いてしまったりして、結局間違えてしまう子が多いのです。
そして、その原因は、教科書に書いてある筆算のやりかたそのものにあります。
まず、12×4という簡単な問題を例にとります。
これを筆算でやると、最初に、12の「2」と「4」をかけて「8」を「4」の下に書きます。ここまでは何も問題がありません。
次に、12の「10」と「4」をかけた「40」の「4」を「1」の下に書きます。
これで答え「48」が出ます。
一の位どうしの計算が一けたならこれでも大丈夫です。
しかし、16×4だったらどうでしょう。
16の「6」と「4」をかけた24の「2」が十の位に書いてあるので、次の16の「10」と「4」をかけた「40」の4はどこにかけばいいのでしょう。
しかも、教科書では、なぜか「40」の0は書かないことになっています。これが間違いのもとなのです。
16の「1」は、10のことです。10×4ですから40だとわかる。だったら、40と書けばいいのです。
一の位どうしのかけ算(九九)の答えは一行目に書く。
十の位と一の位のかけ算(九九)の答えは線を引いて二行目に、0も含めて書く。
というふうにすれば、絶対に間違いません。
どんなに大きな数字になっても、一つ一つの計算は九九なので、位さえカン違いしなければ間違いようがありません。それには、行を変えて、0から書けばいいのです。
そして、こうすれば、二けたどうしのかけ算でも間違いません。
16×23の場合。
一行目に、16の「6」と23の「3」、つまり6×3の答え18を書く。
二行目に、16の「10」と23の「3」、つまり10×3の答えを書く。ゼロがひとつあるから、3じゃなくて30ですね。
三行目に、16の「6」と23の「20」、つまり6×20の答えを書く。ゼロがひとつあるから、12じゃなくて120ですね。
四行目に、16の「10」と23の「20」、つまり10×20の答えを書く。ゼロが二つあるから、2じゃなくて200ですね。
五行目に、一の位、十の位、百の位をタテに全部足した答えを書く。
答えは368ですね。
68×76の場合。
一行目に、68の「8」と76の「6」、つまり8×6の答え48を書く。
二行目に、68の「60」と76の「6」、つまり60×6の答えを書く。ゼロが1つあるから36じゃなくて360ですね。
三行目に、68の「8」と76の「70」、つまり8×70の答えを書く。ゼロが1つあるから56じゃなくて560ですね。
四行目に、68の「60」と76の「70」、つまり60×70の答えを書く。ゼロが2つあるから42じゃなくて4200になりますね。
五行目は、一の位、十の位、百の位をタテに全部足した答えを書く。
この場合は、十の位が16になるので、1を百の位に繰り上げて書きます。
さらに、百の位が11になるので、1を千の位に繰り上げて書きます。
答えは5168です。
筆算のよさは、すべて九九とたし算で答えが出るところにあります。小学校3年生でその便利さを「苦手」にしないためには、九九とたし算という今までの知識を使って、二けたの計算ができるんだという自信受けさせることが大事です。筆算では、ていねいに行を変えること、0から書くことをお勧めします。