オオタキ1/50 E10製作記 01・プロローグ | 鉄道模型900ちゃんねる

オオタキ1/50 E10製作記 01・プロローグ

アリイが金型を引き継ぎ、現在も販売され続けている
名プラモ、オオタキの1/50蒸気機関車シリーズ。
 
その第一弾、D51とC62が発売されたのは、
SLブーム真っ只中の1968年のことで、
来年なんと50周年を迎えます。
 
…まあ「なんと」というほどでもないし、
この呉尾の温度についてこられる方が何人いるかは分かりませんが、
今回は制作記のプロローグとして、オオタキSLプラモ半世紀前夜祭を
勝手にセレブレイションしようと思います。
 
1968年8月、その50年前の広告がこちら。 

オオタキが銀車輪の初期仕様のD51(←クリック!)に
満足してなかったのか、全面的にC62推しの内容になっています。
(ひょっとするとD51単体のチラシもあったのかも知れません)
このイラスト通りのフォルムだったらよかったのですが…
実際は煙室、煙突、ドームにディフレクターなど、
肝心の上周りが似てないことは、今のアリイのものでも確認できます。
金型はずっとそのままですからね。
 
そして約半年後に、第三弾のC57が発売されました。
その当時、69年2月の広告がこちら。
C62よりは組み立てやすくなり、上周りも似てきたものの、
技術的にそれほどの進歩は見られませんでした。

さてさて、C62、D51、C57ときて、
「さあ次はD52かC59あたりか…」 と、
人気車種を期待していたところに、発売された第四弾が
なんとE10。
 
当初は板谷峠越えのために、
福島の庭坂機関区に配備された、
生産数たった5両のドマイナー車です。
SLファン全員が、大阪人ならずとも
「なんでやねーん!!」とズッコケつつツッコんだのは
想像に固いです。当時の広告を参考にすると、
C57発売から5ヶ月後のことでした。
 
しかし後述しますがこのE10、とんでもないオーパーツだったのです。
{CBFD2709-0E64-49A4-A02C-FF6D4448B9AC}
ここでオオタキの技術が、いきなりトップギヤに入ります。

そしてそのE10の3ヶ月後に名作9600が発売され、
翌年にはC51、D51なめくじが発売、同時に
足回りなどをなめくじ仕様に合わせて改良した
D51標準型リニューアル仕様が同時発売されました。
今から考えると、なんと早い開発スピードなことか!
 
その翌年、71年に出たC53を最後に新車種は終了しますが、
忘れた頃の8年後に、シリーズラストとなる
C57のバリエーション、やまぐち号が発売されました。
「ひょっとするとD51の時のようにリニューアルされるのか?」
との期待も虚しく、C57に追加パーツのみという仕様でした。
そしてその数年後にオオタキが倒産。
 
ときにこのSLシリーズは、開発セオリー通りに、
後期になるほど出来がよくなった、というわけではなく、
完成度においてはE10、9600がピーク。
{0ADD4B4D-52F6-40E2-8468-68C210DA7A70}
これは実際組み立てた多くの人が納得するところだろうと思います。
またモデルによってかなり芸風が違うことから、多数のスタッフが
入れ替わりながら複数車種の開発を同時進行させていたのでは
ないでしょうか。
 
ちなみにこれはC51とD51なめくじが発売された当時のポスター。
上記の通りD51標準もリニューアル発売されているのですが、
何も触れられてないのが面白いですね。
旧仕様とはしばらく店頭で共存することになるので、
型落ちの在庫を抱える結果となる販売店への配慮でしょうか。
 
全車種を作った上での、あくまで呉尾の個人的ランキングとしては、
出来のいい順に E10→9600→|||厚い壁→C53→C51→
D51なめくじ→|壁→C57→D51標準(新)→C62→D51標準(旧)。

1位と2位こそ意見が分かれそうですが、どうもオオタキSLプラモは、
人気と完成度が反比例する傾向にあるようです。
また、個人的見解ですが、完成度の高いトップ2機種が
絶版になってるというのはとても残念です。
 
このように、オオタキ1/50 SLシリーズの系譜は複雑。
そこで広告の掲載時期と手持ちのチラシ、ポスターを参考に
登場順(同時のものはカタログナンバー順)にわかりやすく
まとめるとこうなります。
 
・1968年
01  D51標準(旧)   8月?
02  C62        8月
・1969年
03  C57        2月
04  E10        7月
05  9600      10月
・1970年
06  C51      6月  
07  D51なめくじ  6月
08  D51標準(新)   6月
・1971年
09  C53       ?月
・1979年
10  C57やまぐち号 12月
 
という、7型式10バージョンのラインナップでした。
 
今回はリクエストをいただいたので、
長らく熟成させておいたE10を製作します。
 
{83B08C1A-D0FB-49FC-9677-D197C17A7C65}
 
E10は子供時代を含め、今まで数回製作した記憶があります。
そのフォルムはもちろん、忠実に再現された配管、シリンダーに近い先輪の再現、
動輪の間隔、そして重量感や接地感まで、以前のシリーズとは別次元の
技術のパラダイムシフト感覚があります。
 
本来ならパッケージのままコレクションしておきたかったのですが、
どうしても確認しておきたかったことがありまして…
{BB79EB0C-3016-4791-9F4E-4E17D6ED37F9}
それは、今の技術で製作したら、
果たして動輪はスムーズに回転するのか?
ということ。
9600以降のオオタキのプラモデルは、ちゃんと作れば
動輪がスムーズに回転(C53は微妙)します。
 
E10は「ちゃんと作れない技量の時代」にしか作ったことがなかったので
はたして今の技術で製作したら、動輪はスムーズに回転するのか
はたまたC57以前のギシギシ回転でしかないのか、とても興味があります。
(30年以上前に製作した手持ちのE10の動輪は、接着されてしまい回転しません)
 
それではパッケージオープン。
{70757E97-11A4-44F4-8111-FF5001D7A30E}
まずは同梱されたソノシートにいきなりのデジャヴ。
フジミC53のまねっこコジキ(@福島・子供時代のディスり常套句)
雪原を走るD51のポートレートも付属してます。
「タンク機関車なのに同じ1,800円かぁ…」というネガティブ感を
軽減させる目的のオマケ戦略でしょうか。
 
しかし部品を取り出してみると他のテンダー車シリーズよりも
ずっと部品が多いことに驚かされます。
{56B37D5F-60F8-4A7E-B160-B27B3ECD60B1}
 
オオタキSLシリーズでは唯一無二のクリアレッドパーツも。
{45FD6275-7635-4D33-953D-038AABF7DFD7}
尾灯レンズですね。勢い余って周りの反射板までもが
クリアレッドになっています。
 
他のシリーズのものに比べて1枚多いランナーパーツは
すべてパイピング。
{AE7DEE31-8F73-46D7-9C6A-384281A00D5E}
経年劣化でプラ樹脂の弾力は皆無でパキパキでしょうから、
ランナーからの切り出しはドクターX 大門未知子にお願いしたいくらい。
私、絶対失敗すると思うので。
 
まあ今回のE10は何度も作ってるものだし、
フジミC53のような不可抗力もないでしょうから、
サクッと本編3回くらいでまとめたいと思います。
 
ただ、久々に作るからには気合を入れて、実車に忠実に、
変態的にこだわって作ってみたいと思います。
 
ではまた。