305.607.81 Public Health Practice (PHP) の履修が終わりました。

 

そもそも、MPHの卒業案件として、100時間の実地演習(Practicum)が必要です。これは、Facultyの承認を得ながらオリジナルに組んでも良いのですが、オンラインで提供されている科目の履修でもOKということで、そのうちの一つがPHPになります。PHPは90時間分に相当します。PHPの履修に先立って300.615のTools of Public Health Practiceが必要で、こちらは10時間分に相当しますので、併せて100時間分の実地演習をクリアすることができますし、そもそもTools~はMPHの必修科目となっています。

 

この記事を執筆時点で入学後最短でTools→PHPをクリアするには、Summer TermでToolsを取っておき、4th TermでPHPを履修する流れになります。Toolsは3rd Termでも履修できますが、そもそも3rdは重めの必修(Environmental Healthなど)が多いTermで、あまり3rdに先送りしないほうがよいと思います。内容も基本的なものでオリエンテーション科目に近い扱いです。

 

数年上の先輩からは、Hometown Assessmentなど自分の住んでいる街のリソースなどを調べたりするものがあって楽しかったと話をきいていましたが、私が履修した際はBostonなどアメリカのいくつかの都市&Topicの中から選ばなければなりませんでした。おかげで、そもそもの背景や文脈が全く分からない中からの調べ学習になるので、海外勢にはその点がキツいと思いました。

 

 

 

このサイトをベースにテーマに沿った調べ学習を行いました。その都市の現在の疫学的なデータ(人口、有色人種の割合、こどもの数など)や関連する法律(州の法律、市長命令(?))を調べて発表し、最後にその都市のステークホルダーに政策立案をプレゼンするという想定で1ページの配付資料と3枚のスライドを作り、2分で発表しました。提供レクチャーは多くなく、内容も伝え方などに特化したものでした。

 

私はボストンの幼児教育について調べました。そもそも、日本とアメリカだと幼児教育の制度がどう違うのかもわからないところからのスタートだったので結構大変でした。どこのサイトにどんな情報が載っているかとかも調べながらになりますよね。

 

先ほど紹介したCityHealthというサイトは、ある一定の評価基準を満たしているかどうかというルールに則り、それぞれの都市を金メダル・銀メダル・銅メダル・対象外とランク分けして公開することで、様々な政策立案を他の都市と比較することができるようになっています。例えばBostonの幼児教育は金メダルでしたが、幼児教育にアクセスできるこどもたちの割合や、教員の配置数などが評価項目になっており、Bostonはそれを殆ど満たしているということでした。アメリカに住んでいればこれらのサイトを使って自分の住みたい街を考えることもできますね。

 

ボストンの幼児教育は、NIEERというベンチマークの10個中9個以上満たしているという素晴らしい評価でしたが、この最新のレポートにたどり着くのも苦労しました。
https://www.cityhealth.org/resource/high-quality-accessible-pre-k-setting-children-up-for-long-term-success/ 

https://nieer.org/wp-content/uploads/2022/09/YB2021_Full_Report.pdf

↑このあたりのリンクを貼っておきます。


政策立案者に関しての情報は、まさかのWikipediaが役立ちました。普段「Wikiは使ってはならない」みたいな思い込みってないですか?私も検索したらWikiに当たって初めて「そういえばそんなサイトがあったね」くらいの感じでのぞいてみたのですが、本当によくまとまっていました。もちろんWiki一辺倒は望ましいことではありませんが、基本的なところ最低限の知識を仕入れるのには素晴らしく役立つと思いました。これからはChatGPTとかもこの段階で使っていく時代になるのでしょうが、とりあえず大学側からはレポートなどに使ってはいけないというメールが届いていたので、触っておりません。

https://en.wikipedia.org/wiki/Michelle_Wu
そもそもBostonの現在の市長さんはミシェル・ウーさんという台湾系の方で、それすら知らなかったのですが、Wikiには彼女の今まで行ってきた政策が項目別によくまとまっていて、参考になりました。ここからリンクを追っかけたり検索したりして多くの情報を集めていきました。(話がそれますが、36歳で市長になったらしいです!ウーさんも、彼女を選んだボストン市民も凄いですよね。)

 

最後のプレゼンだけ同期でやらないといけないので大変でした。いくつか時間帯が選べるのですが、早朝か深夜という感じで、めっちゃ眠い目をこすりながらプレゼンでした。最後質疑応答にも答えなくてはいけないのですが、質問は結構ワンパターンで、「資金調達方法」「ステークホルダーは誰」「反対する可能性のあるひとはだれ」「その政策立案の効果をあげるハードルはなにか」みたいなところを用意しておけば対応できそうでした。

 

プレゼンのその日のうちに他のメンバーのプレゼンへの相互評価シートを提出しなければならず、入力しながらきいていかないとあとから思い出せないのでしんどいと思います。また、Zoomで他のメンバーの配付資料がアップロードされてくるので、それもダウンロードしておかないと、あとから入手することが出来ないので相互評価シートの空欄を埋める際に辛くなります。

 

コースそのものは頑張ればA評価が取れそうな感じでしたが、私は最初、間違った方向に凝りすぎて評価低めだったので再提出制度で救っていただいた感じでした泣き笑いとにかくサンプルを参考に、シンプルに伝えたいことに絞る!というのが大切ですね。

 

 

とりあえず上巻だけ買って熟成されていた(積ん読になっていた)、カワチイチロー先生の教科書「社会疫学」が、今回ちょっと役に立っています。いままでの研究でMilestoneとなっているものはどれなのか、とか、こういう風に健康との因果関係を示そうとしたがダメだった、とか、背景の知識を仕入れるのには良いかもしれません。この履修のためだけに敢えて買うほどではないかもしれませんが、元々持っていらっしゃる方がいたらちょっとのぞいてみてください。

 

 

 

 

 

 

これでありがたいことに、累積56.5単位/80単位まで完了ですイチョウ