いつものように、The Role of Qualitative Methods and Science in Describing and Assessing a Population's Health
を履修したので報告です!
 

学んだことと感想まとめ

質的研究はWhyやHowという疑問への答えを探すためのもので、予算や研究者のスキルで変えてはならない

質的研究を考える上で核となる概念が「認識論」である

認識論(Epistemology)は哲学の一部門でもあり、詳細は他稿でも述べられているが(https://ja.wikipedia.org/wiki/認識論)、質的研究を考える上での重要なアプローチは3つ

  • 客観主義 Objectivism 量的な研究ではこの視点に立つ

  • 構成主義 Constructivism 質的研究を行う上ではこの視点に立つ

  • 主観主義 Subjectivism この視点に立って研究を行うことはあまりない

たとえば上の写真をみたときにそれぞれの考え方で解釈すると

  • 客観主義者 「山がある 山の手前には雲がある 写真の上半分は空である」
  • 構成主義者 「日本人の多くはあの山を富士山だと認識するだろうが、外国人だと異なるであろうし、登山が趣味の人や、雲の専門家はこの写真のとらえ方が異なり、見る人によって違う現実がある」
  • 主観主義 「研究者である私たちが本質的にこの写真の中に好きなものを見る。意味は与えられるものであって、この写真になにが写っていようが関係ない」

となる。

いやぁ、ここで構成主義が出てくるとは指差し

 

 

 

↑これこれ!!Instructional Designのメンターの先生に超絶オススメされていて、さらっと読んでいたのですが、

かなり難しくて、附に落ちていない本ですね。。。ガーン

 

あくまでも研究者は研究対象と相互作用してしまうものだし、その文脈の中でどういったことがどのように起きていて、それを研究者である私はどう解釈したのか、という風に迫るものである

インタビューは少人数(グループだとすると4-10人)、長くても2h以内がおすすめ

インタビューをとにかく沢山しまくってからデータの取り方を考えるのでは無く、あくまでも最初のデータは、次のデータの取り方を反映させるために評価しなくてはならない。

jstage.jst.go.jp/article/jjphe/5/0/5_2020-002/_html/-char/ja

↑日本語だとこちらがわかりやすくまとまっている

分析のレベルは2つあり

  • 1 記述的 descriptive 言われたことをそのまま抽出
  • 2 解釈的 interpretative その反応により何が意味されているのか、隠れているものを考える

サンプリングの方法の例

  • Purposive sampling ある特殊な器具の使い方など、詳しい人にきかないと意味のない研究で
  • Theoretical Sampling Ground Theory Approach:GTAから産まれたもの ある理論を補強するために次はどんな人が良いかを考える

質的研究の質を担保する方法

参考:https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/13814788.2017.1375092

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8816392/

 

質を高める実際の戦略の例

  • Prolonged engagement 研究者はしっかり研究対象者と長く過ごす
  • Rich data インタビューは逐語抽出する
  • Triangulation 同じデータを違う方法で分析してみて、同じ結果が出るか?
  • Respondent validation 得られた結果を研究対象者に見せて、合っているか確認
  • Negative cases 当てはまらない例を敢えて取り上げる
  • Peer debriefing 同じ結果に到達するかどうか検証してもらう
 
質的研究にはあまり詳しくなかったので、研究者との相互作用も容認するものなんだと初めて知りました!
例えば、以前所属していた部署で学生教育の質的評価のためにインタビューを録音て逐語抽出を行って
学会発表したことがあるのですが、
私がインタビューした時点で忖度された回答になるから、意味ない?
という懸念がありますよね。
 
でも、それは当たり前のことであって、その文脈の中でも私の仮説があって、
(こういう教育は効率的なのだろうか?など)
その部分までキチンと説明しながら行った研究論文であれば、それはそれで良い飛び出すハート
 
というのは、なるほど~!という部分。
こういうアハ体験があるから、勉強ってやみつきになりますねピンク薔薇
 
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質的研究の入門科目としては、とてもわかりやすく、気軽に取り組めました。
が、いつもの0.5単位と違うところは、試験時間がめっちゃ短くてガーン
スライドをじっくり検索しながら回答するのは無理です!!
 
あくまでも暗記でなくて、理解を問う問題なので、コンセプトがわかっていれば悩まない選択肢も多いですが、
試験時間が短いと焦りますねガーン
 
Qualitative Methodsの選択科目の中では一番気軽な科目なので、質的研究を今後もしっかり深めたいひとには
向いていませんが、とりあえず概念を把握したい人にはお勧めですイチョウ