ガイドヘルプにおける地域格差~その8~【通院】


  ガイドヘルプは、外出における支援ですが、「通院」を目的とした場合は、原則ホームヘルプでの業務となります。

高齢者の場合は、介護保険法における訪問介護や通院乗降介助等の対象となり、障がい者の場合は居宅介護や重度訪問介護等の対象となります。

ですが一部の地域では、「移動支援(ガイドヘルプ)」での利用を認めています。


大阪府 枚方市では、現在「原則、定期、不定期を問わず移動支援では利用不可」としています。

「ただし、居宅介護等で通院の支給決定がなされていない場合や緊急、臨時対応として例外的に移動支援での通院を認めています(その場合は別添えで「移動支援による通院報告書」の提出が必要です)」。


平成15年までは、介護保険対象者も障がい者も、「移動支援(ガイドヘルプ)」での利用を認めていました。しかし現在は、上記のように介護保険対象者は介護保険法内での対応、障がい者はホームヘルプでの対応との見解が示されました。

ホームヘルプにおいては、自宅発着が原則で、途中で「移動支援(ガイドヘルプ)」を挟んだり、切り替えたりも不可です。そのため「通院」と「買い物」などがあった場合は一旦自宅に戻り、再び出かけるとの対応となります。

このことから、利用者からも「使い勝手が悪い」との声も多く聞かれるところです。


 それでは、いくつか市町村別での例をあげてみていきます。


北海道 札幌市では、「通院は、居宅介護や介護保険法における訪問介護を優先利用。ただし時間等が不足する場合は、不足部分については移動支援を認める」としています。


東京都 江戸川区では、「通院の帰路に買い物をしたり、映画を観る等の場合は帰路のみ移動支援の請求を認める」としています。


新潟県 新潟市では、「通院にいおいて買い物等他の用件も併せて行う場合は移動支援で請求」としています。


大阪府 大阪市では、「定期的な通院に関しては居宅介護で対応し、突発的に病院に行く必要が生じた場合は、移動支援での利用も可能」としています。


大阪府 堺市では、「居宅介護に通院サービスはあるが、移動支援でも利用可能(介護保険対象者は除く)」としています。


大阪府 茨木市では、「通院は、居宅介護や介護保険法における訪問介護を利用。また1回の外出における移動支援との併給利用も不可(運用上の見解及び取り扱いが異なりその利用方法が複雑となり、不測の事態への対応に対する責任の所在が不明確になりやすいため)」としています


鳥取県 鳥取市では、「医師の指導に基づいて行われる、能回復または機能低下防止等の治療的訓練を行うために必要な外出先への移動については、移動支援で認める」としています。



 このように枚方市同様「ホームヘルプでの対応が原則」の市町村と、堺市のように「ホームヘルプかガイドヘルプのいずれかを選択できる」市町村、江戸川区のように「用途に合わせて途中切り替えが出来る」市町村があり、考えは様々です。


ホームヘルプ(居宅介護等)は、厚生労働省が基準を定め、都道府県(一部市町村)が指導する事業で市町村により差が少ないものであるにも関わらず、市町村が基準を定め運用する「移動支援(ガイドヘルプ)」の考え方が違い過ぎ、本来ある程度統一されているはずのホームヘルプにおける基準も影響を受けています。

 また単純に病院に行けるかどうかだけではなく、利用するサービスがホームヘルプかガイドヘルプでは、同じ通院でも利用料も異なります。

利用料以外にも、「中抜き」や「数件の病院行く」などにおいての利用に多くの問題を抱えてています。

 これは、移動支援のみならず、介護保険法や障がい者総合支援法における考え方、解釈に課題があるといえます。


いずれにせよ、利用者が「安心して病院にかかれる」仕組みが必要であると思います。