単価もさることながら、障がいのある利用者がガイドヘルプで使用できる範囲は市町村により大きく異なります。
これは、今のように障がい福祉が契約制度でなかった措置時代(※~平成15年3月31日)に遡りますが、大阪府では約半数の市町村がプールへの利用に何らかの制限を設けていました。
その後、措置から契約社会となり移動支援が市町村基準から国基準へと移行した矢先の平成15年6月に厚労省や府では行き先制限をする動きを見せました。それを受けて翌7月、障がい者団体と府の話し合いの中で、府は行き先制限を撤廃し、プール利用を支援費請求で認めた経緯があります。
大阪府枚方市では、これまでもこれからも障がいのある利用者がプールでの利用にガイドヘルパーの利用は可能です。
また障がい者プール教室も好評で多くの利用者がガイドヘルパーと参加されています。
市の指定したプールでは、利用者及び介護者のプール入場料は無料としていることも利用につながると考えられます(2人介護の場合も受給者証の提示で2人目の介護者も無料となります)。
・・・・ですが、その他の地域ではいささか事情が違います。
大阪府堺市では、『プールサイドでの待機(トイレへの付き添いや身体を拭く等を行う)や着替えの介助は対象。なおプール内での遊泳介助はガイドヘルパーの業務範囲ではない。ただしガイドヘルパーが利用者の安全確認のため、プール内(水の中)にいる時間も算定とする』としています。
大阪府茨木では、『プールサイドでの待機(安全確保・トイレへの付き添い・身体を拭く等の目的)や着替えの介助は対象となる。ただし遊泳介助を目的としての利用はできないが、状況により安全確保のため、プール内(水の中)に入る場合がある』としています。
では他府県ではどのような解釈があるか見てみます。
札幌市では、『目的地に行くまでの移動の介助及び目的地での移動、食事、排せつ等の介助や危険回避のために必要な支援、したがってプール内であっても算定対象となるが「水泳の指導」や「一緒に遊ぶ」といった行為については移動支援の対象とならない』と説明しています。
新潟市では、「身体の機能回復や情緒の安定などを目的として利用する際に、当該施設に指導員などの配置が十分に認められない場合については、ガイドヘルパーのプール内での介助を認める」としています。
解釈や言い回しは、市村により異なりますが、いずれもスッキリとした回答ではなく「可」か「不可」なのか不明瞭だと言わざるをえません。
これでは、事業所はもちろんガイドヘルパーもどこまでが業務でどこまで対応すれば良いのか戸惑うことになると思います。
過去、横浜市が行った調査では「水泳時の対応についての講習を受けたヘルパーに限り行えないか」、「プールが好きな利用者が多いので入る援助は必要」などの声も上がっています。
冒頭にも記しましたが、府とのやり取りの中で見えたのは、府が指定しているガイドヘルパーの養成講座にはプール実技がないのに、業務としてしまい万一の事故の責任をガイドヘルパーに持たせるのは大きいと考えたと思います。
そして、その代替え案として施設スタッフ(プール監視員等)での対応案が担当者からでましたが、普段からよく利用者と接し介護を行っているガイドヘルパーではなく、介護経験のない施設スタッフに任せるとの考えの方が責任問題になるのではないかと思いました。
たしかに、プールでの介護には大きなリスクも伴います。
なのにガイドヘルパーの養成講座には、プール実技はありません。
それどころか、実技は1~2日しかないため、外出で行う大半のことは
カリュキュラムにありません。
思うように外出が出来ない利用者に、私たちガイドヘルパーは手となり足となり一緒に出かけることが業務です。
志の高い事業所やヘルパーは、カリキュラムが無い分それをカバーできる術を知っていると思います。
それは熟練ヘルパーや「障害者スポーツ指導員研修」を受けたヘルパーが繰り返し同行研修を行い、ケアにあたれば、プールだけが特別事故リスクの高い外出だとは思えません。
出来ないことを前提ではなく、障がいのある利用者も皆と同じように「プールを楽しむことが出来るのか」を議論をしていかなければならないと実感しています。