「この道しかない」というアベノミクスの成長戦略の重要な柱が、法人税減税だ。

その理窟は、企業の国際競争力を強める→そのためには海外進出を食い止め、海外から投資を呼び込むことだ→それらを促進するためには法人税減税が欠かせない。

というもの。

この論理は、日本の法人税が高いということが前提になる。

しかし、欠損金の繰り越し控除や研究開発減税、連結納税制度、受け取り配当金不算入制度など、各種の仕組みで、法人税の実効税率は18%を切っている(法定実効税率は地方税をあわせて35%)。

これまでにも、法人税は下げられ続けてきたが、企業の海外進出は止まっていない。

1990年に37.5%だった法人税が2012年に25.5%に下がったにも関わらず、企業の海外生産比率は13.7%から32.9%に伸びているのだ(地方税は除いた税率)。

しかも、例えばトヨタ自動車は、メキシコ、フィリピン、台湾などで、進出と撤退を繰返している。

税率よりも現地の需要を重視したビヘイビアと言える。

法人税率と企業競争力を強引に結びつけるアベノミクスの論理は破綻している。

「この道」の先に未来がないことの、ひとつの論証だ。




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