ノーベル経済学賞受賞者であるコロンビア大学ジョセフ・E・スティグリッツ教授は、著書「世界の99%を貧困にする経済」(で、アメリカの経済格差を次のように告発している。

 「アメリカの中産階層では、2008年から2010年までのあいだに、富の40%が消えてなくなってしまった。平均的なアメリカ人の20年分の貯蓄が一瞬にして失われた計算だ。そして、2010年に景気が反転したとき、国民所得の増加分の93%は、所得上位1%の人々のふところに転がり込んだのである。」

 そして、「不平等が右肩上がりで拡大してきた」点では、日本も同様だと、日本の読者に警告を発する。

 「日本政府は最後の手段として、公共財への投資削減や社会保障制度の縮小に傾くかもしれない。しかし、そのような政策は、根源的な価値観と将来の経済展望を危機にさらす可能性がある」。

 2年に及ぶ「アベノミクス」、スティグリッツ教授の予言を忠実に実行したかのように、日本社会に惨状をもたらした。

 解散会見で安部首相は、「雇用は100万人増えました」「この春、平均2%以上給与がアップしました」と胸を張った。

 しかるに実態はどうか。

 正規雇用が22万人減って、非正規雇用が123万人増加。その結果、年収200万円以下の「ワーキングプア」は30万人も増えた。

 実質賃金は、15ヶ月連続してマイナスを続けている(アベノミクスの2年間の6割以上の期間に相当!)。

 国民の大多数が、「アベノミクス」の効果を実感できていないのは当然なのだ。ゴマカシはやめてほしい。

 一方で、大企業の儲けは、4兆円増え11兆円台に(12年4~6月期と、14年4~6月期の比較)。内部留保も20兆円増え280兆円に。

 そして、1億円以上の試算を持つ富裕層は、1年前より9万人増え283万人に達した。

 アベノミクスで取り残された「99%」が希望の持てる政策への転換が、強く求められている。

   大企業の内部留保の一部を活用して、賃上げを実現する。

   中小企業への国の支援を抜本的に強めつつ、時給1000円の最低賃金を実現する。

   コメの受給調整に政府が責任を持ち、米価暴落を止める。TPP交渉から撤退する。
 
   同時に、富裕層・大企業への適正化税を実施する。

 この一連の政策で、消費税に頼らず社会保障財源を作り出す事が可能になる。

 総選挙で訴えぬきたい重点政策のひとつだ。