ドイツのメルケル首相が、アメリカ政府による携帯電話の盗聴に不快感を表明した。
同時に、スノーデンCIA元職員が所持している機密文書から、アメリカ国家安全保障局が35人の各国指導者の電話盗聴を行っていたことが判明し、重大な国際問題となりそうな展開だ。
「安倍首相の電話は大丈夫か?」と質問された菅官房長官は、アメリカ政府に確認もしないまま、「私は問題ないと信じている」と回答。
この記者会見での発言の真意がどこのあるのか、考え込んでしまった。
①盗聴の事実はないだろうと信じている、②盗聴されていても問題になるようなことは、なにも話していないはずと信じている、③盗聴は対等の国家間で行われれば大問題だが、対米従属の日本の首相の電話がアメリカにつつぬけになってもなんら問題でないと信じる。
この3つのうち、どれが正解だろうか?
ところで、昨日閣議決定され国会提出された秘密保護法案の第9条は、こういう内容だ。
「行政機関の長は、必要があると認めたときは、外国政府、国際機関に特定秘密を提供できる」。
盗聴という違法な手段で各国の情報を入手しているアメリカ政府に対し、「余計な手間や金をかけることありません。これからは日本みずから積極的に情報提供します。国民にはどんな情報を提供したのかは全く秘密にしたまま」と、いたれりつくせりで情報提供してやろうということだ。
これが杞憂でないことは、フクシマ事故のSPEEDI情報が福島県民と日本国民には知らされないまま、まっさきに米軍へ情報提供された事実が雄弁に物語っている。
SPEEDI情報を政府が「特定秘密」に指定したら、にアクセスしようとする行為自体が処罰の対象となってしまう。これが秘密保護法案のねらう社会の姿だ。