安倍首相が山田町で、被災地での消費税軽減策を発表した。


 「住宅ローン減税を特別に上乗せしていく」「給付措置についても検討」と述べたという。


 被災地の願いは、住宅再建のための支援の強化だ。


 陸前高田市の715万円(MAX)を筆頭に、岩手県内の沿岸自治他のほとんどで、独自の住宅再建支援策が決定している。それと比べて、国の姿勢がなっていないことが最大の問題だ。


 カナメの手段を講じないでおいて、どんな消費税軽減策をとろうと、被災者の願いに正面から応えているとはいえない。


 住宅ローン減税を強化したとしても、住宅建設を請け負う業者には何の手立てもないのが問題だ。


 建設ラッシュとなれば、岩手県内の建設業者に頑張ってもらわないといけない。ある建設会社の経営者は、「税率5%でも、年間の消費税50万円。利益でなく売上にかかる税金だから、払うのが大変で分割納付している。苦しくても、家族同然の従業員の首切りは絶対しないで頑張ってきたが、8%、10%になればどうなるのか。考えたくもない」と語っていた。

 

 業者が廃業に追い込まれれば、被災地の復興も、住宅再建もままならない。


 その上、被災者の8割近くが自力での住宅再建は困難といっている。


 資金調達が最大のネックであることは間違いない。「災害公営住宅に入居できても家賃が心配」という年金生活者の声をよく聞く。


 「給付措置」なるものが何なのかわからないが、年金削減、医療・介護保険の免除打ち切りを進めたことへの反省が全くないままに、被災者に気を使っているかのような取り繕いはやめてほしい。


 本当に被災地、被災者のことを思うなら、増税中止をこそ決断すべきなのだ。