頼まれてもいないのに、舞楽『陵王』の

面を作りました。






千年以上も昔に大陸から伝わり、

残っているのは日本のみという雅楽。



継承するにあたり、技術の低下が

嘆かれているこの世界で、


雅楽で舞う舞楽を二年間ほど最高の師匠の

元で教えを受ける機会をいただきました。

本当に私って強運!



蘭陵王は、あまりにも美しい面立ちで

あったため、敢えて獰猛な仮面をつけ、

戦に挑み、見事勝利した名将です。



武人の舞なので、男性が舞う時は

竜頭を模した仮面を用い、

女性が舞う場合は、化粧を施しただけで

舞うこともあるとされています。



季楽の会では女性が舞うので、

手にするものも、花であったり、

面もつけてはいません。



40~60代の女性メンバーで、

お稽古後に居酒屋で飲んでいると

偶然隣り合わせたテーブルの

20代の女性達と話した際、


『皆、綺麗な人達だから何か活動してますよね?』

と言われました。その通り(笑)



面をつけるのがもったいないほどですのよ。

ほほほ~。





子供の頃から平安時代が好きで、雅楽にも

惹かれていましたが、神道の巫女舞を十年も

舞わせていただくことになり、


その時に見た雅楽の生演奏と舞楽の

格好よさに憧れました。



けれどもそれは、長い長いいくつかの楽器の

お稽古の先にしか舞は許されないことを知り、

諦めていたのでした。



それが、ある日、楽器をすっ飛ばして、舞楽を

習えるというありがたい体験が出来たのです。



それも、最高の生き証人である

伊勢の岡先生からの直接指導によって。



それだけでなく、神社さまでの

奉納演舞の機会を何度もいただきました。

本当にありがたいことです。



出来れば『陵王』まで舞えるようになりた

かったのですが、


ここで私個人としては、画業と和太鼓に

集中するため、舞楽を休ませていただく

ことにしました。

忙しいことを言い訳にしないようにです。




しばらく前から、なんとなく

陵王の面を作りたいと思っていました。


ある日、その材料となる下地になりそうな

紙のお面を見つけ、更にすぐ髭になるパーツも

見つけてしまいました。


これはもう、作るしかありません。


季楽で陵王を舞えるのは、今のところ、

代表のあっこさんのみ。




あっこさんは陵王の面を求めていたよう

なので、使えるかどうかはわかりませんが、

勝手に作り季楽の会に寄贈させていただく

ことにしました。






舞楽の面や装束は、ひとつが数十万円、

一人分すべて揃えると数百万円では済まずに

それ以上の桁になる場合もあります。


そこまで拘らずとも装束は季楽の会ですでに

用意してありますので、お稽古代だけです。

ご安心を~💗



とにかく、そのような世界なのです。

何せ、元は貴族の娯楽ですからね。




陵王の面は、なるべく軽くなるように

仕上げましたが、もし、使えなければ、

それは仕方のないこと。


それよりも、創作意欲に任せて

作らせていただけたことに感謝です。


いくつかの陵王の面を参考に

作らせていただきました。



完成後に、ひとり白ワインを飲み、

頼まれてもいない仕事を終えた自己満足感で、

〆に天茶をいただいています。



もし、一度でも陵王の面がその

お役目を果たしてくれたなら、

こんなにありがたいことはありません。


季楽の会に関わらせていただいた約二年間、

この美しさを伝えたいと、皆のお稽古動画を

撮影し、勝手に広告担当かのように

宣伝してきました。


これも私の楽しみなのです。


舞って、作って、伝えて、

優雅にして贅沢な世界を 私が一番

楽しませていただきました。

ありがとうございます✨







そのうち、美しい舞人の絵を

描かせていただきたいものです。


また舞わせていただく日まで

しばしのお別れです…。